平凡になりたい俺

ナポ

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【訓練場・中央】

審判役の教官が、魔力を感知する結界を張る。
ディノは気合い充分。対するリレフはため息しか出ていない。

「準備はいいか!」

「……はぁ。もういいよ。さっさと終わらせよう……」

リレフが、そっと右手を前に出した。

その瞬間。

ピシ……ッ

結界に細かな亀裂が入った。

「……っ?!」

周囲の教官たちがザワつく。

ディノは気づいていない。胸に手を当て、にこやかに名乗りを上げている。

「ではいくよ!この想い、君に届け!」

シュッと風を切って、ディノが駆け出す。小さな火球を撃ち出した。

それを見たリレフは

「……軽いな」

その一言とともに、
リレフの足元の地面が、バキバキに凍りついた。

直後――

ド オ オ オ ン!!

リレフの周囲一帯が白銀の氷嵐に覆われる。
訓練場の石畳がひび割れ、空気がピキピキと凍る音が響いた。

「ひ、冷たっ……!?」

ディノが立っていた場所の半径3メートル、完全に氷柱の迷宮。

「マ、マジかよ……!?」

観戦していた生徒たちが騒ぎ出す。

「えっ、あれって氷系魔法だよな?!」

「まさか結界の外まで冷気きてないか!?」

「またやってるな……」
ラース(無表情)

「やっぱり強いな……」
アネス(超無表情)

ディノは氷の檻に閉じ込められ、ガクブルしていた。

「り、リレフ!? ちょっと待って、これは恋の熱じゃなくて、命の危険を感じるよ!?」

「……これでも3割だ」

「嘘だろ!!!??」


結果、勝負は開始30秒でリレフの圧勝。

会場は沈黙、そして拍手、そして――

全員、2歩ほど距離を取った。

「……すごいよね。あんなに可愛い見た目で、あれ」

「氷の処刑人……」

「……近寄らんとこ」


その日の放課後。

リレフはベッドでぬいぐるみを抱きながら叫んだ。

「何が“目立ちたくない”だよ……!結局俺は、化け物枠じゃねぇか……!!」

アネスとラースは、部屋の外でそれを聞いていた。

「……慰めに行くか?」

「……今はそっとしておこう」

二人は、黙ってそれぞれの方向へ歩いていった。

そして、明日からリレフのあだ名が「氷の小悪魔」になったことを、彼はまだ知らない。

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