平凡になりたい俺

ナポ

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『……なんだよ、あの顔。ずるいだろ……』

次の日の朝。
リレフは自室のベッドに突っ伏したまま、学校に行く気がしなかった。

目を閉じるたびに、昨夜のことが頭をよぎる。

──俺だけを見てくれ。

──触れたい。でも、それで嫌われるのは怖い。

「……馬鹿じゃねぇのか、あいつ……」

頬がまだ、少し熱かった。


ラースと一緒にいると落ち着く。無理に踏み込んでこないし、
何も言わなくても、隣で静かに笑っててくれる。

でも

アネスの目……まっすぐすぎて、うっとおしいくらいなのに。
……見られてると、心臓、変な音する。

ラースを選んだのは、楽だったからかもしれない。
「フリの恋人」っていう言い訳が、気持ちをごまかせたから。

けど、アネスにはそれが通用しなかった。

「……なんなんだよ、俺……」

そう思った時だった。

コンコン、と控えめなノックが聞こえた。

「……ラースか?」

ドアを開けると、そこにいたのは、予想に反してディノだった。

「よっす、リレフ。今、ちょっと話しても……」

「帰れ」

バタン。

即座にドアを閉め、鍵をかける。
今は誰とも話す気になれなかった。

気づきたくなかった。誰かに好かれてるってだけで面倒なのに、俺まで……

目を伏せる。
浮かぶのは、アネスの声。ラースの微笑。ディノの熱量。

俺、誰が好きなんだよ……

答えなんて、出したくなかった。
でも――心のどこかで、アネスが泣きそうな顔で囁いた言葉が、何度も響いてくる。


「……俺だけを、見てくれよ」

(……ずるい。あんな顔、見せんなよ)

ベッドに顔をうずめたまま、リレフは息を殺す。

けれど、胸の奥はうるさく騒ぎ続けていた。

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