僕とオオカミどものシェアハウス

もこ

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教育実習一週目

10

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 土曜日の朝、少しだけ寝坊した僕がリビングに入ると、そこには誰もいなかった。時刻は8時。寝過ぎたか? 昨夜はちょっとだけ羽目を外してネットでいろんな曲を漁って聴いて夜更かしをしてしまった。

『みんな仕事かな?』
 家の中はシンとして、誰もいる気配がない。キッチンのカウンターにフレンチトーストとサラダが乗ったワンプレートが乗っていた。ラップの上にはメモが一枚。

「和の分」

 誰の字かは分からなかったけど、それを見てとても嬉しくなった。コーヒーを入れて、冷蔵庫からメイプルシロップを取り出し、テーブルに座る。まだほんのりと温かい。サラダにはトマトがない。ありがたい。

「いただきます。」
 テーブルに乗っていたリモコンでテレビをつける。何だかこの家に1人というのが落ち着かない。この4日間、僕が家を出るのが1番早かったから。

『行ってらっしゃい。』
 いつもユウが笑顔で送り出してくれた。最初は戸惑ったけど、昨日は笑顔で出かけることができた。テレビでは都内で詐欺グループが捕まったというニュースがやっていた。……結構大きな組織だったらしい。

カチャ……ドン

 玄関のドアの鍵が回されて開き、閉まる音がした。足音がする。誰か帰ってきた? リビングのドアに目をやると、ドアのガラスに人影が映り音もなく開いていった。

「おっ。起きてた?」
 ユウが会社のベージュ作業着を身につけて立っていた。会社帰り? それにしては早過ぎない?

「はい。朝食をいただいていました。ありがとうございます。ユウさんは仕事ですか?」
「うーーん、そのはずだったんだけどね、あの2人で手が足りそうだったから帰ってきた。元々俺とリョウは休みの予定だったし。」

 ユウが長袖の作業着を脱ぎながら話した。作業着の胸のところには「F」のロゴ。どこの会社なんだろう。

「そうですか。」
「俺もコーヒー飲みたいな。」
「あ、僕淹れます。」

 Tシャツ姿になったユウがキッチンに行こうとして慌てて声をかける。コーヒーぐらいなら僕も淹れられる。

「いいよ。そのまま食べてて。自分でやる。」
 ユウが長い茶髪を1つに纏めながら、にっこり微笑んで見てきた。王子様スマイル。少しだけ耳が熱くなる。何だかずるいよな。

「カズ、今日は休みだろ? これから食料品の買い出しに行くんだけど、手伝ってくれないか? 9時から開いてるスーパー見つけたんだよね。」
 コーヒーフィルターをドリッパーにセットしながら、ユウが話しかけてきた。

『今日?』
 今日は一日中家で教材研究をしようと思ったけど。9時からなら、そんなに時間がかかることはないだろう。それにいつも料理を作ってもらっている立場だ。何か手伝いたい。

「はい。ぜひ手伝わせてください。」
 僕の言葉にユウがまた微笑み返してきた。
 

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