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遭遇7 〜侑〜
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『えっ? 今のは何?』
中指で自分の唇に触れる。純からされたキス。唇から広がって顔が燃えるように熱い。知らないうちに玄関でヘナヘナと座り込んで、しばらくの間呆然としていた。
ピンピロピンピロピンピロピン……
遠くから微かな着信音が聞こえる。あれは、スマホに杏から電話が入った音。ゆっくりと立ち上がって、スマホを探しに歩いていった。どこに置いたっけ。
「侑? 今大丈夫?」
「うん。どうした?」
杏の声が変。電話をかけてくるような杏じゃない。これまでに2,3回しか無かったはず。何か用事があっても殆どメールで済ませてきた。少しだけ緊張した。
「あのね。明後日あたりモールでお茶しない?」
「学校じゃなくて?」
土日は殆ど彼氏と一緒の杏がどうしたんだろう? もしかして別れたとか? それで今週は学校に来れなかったわけ?
「うん、日曜日。できれば侑と一緒にいたい。話したいことがあるの。」
「いいよ。何時?」
杏の頼みなら断る理由がない。どうせこの土日は何もすることがないし。それに、今の自分のこの気持ちも話したい。
『気持ち?』
気持ちって何だろう? ゲイである純にキスされた。アイツは自分を男だと思ってる? いや女だって分かってるでしょ? じゃあ何で? 何故、純はキスしてきたの?
「10時。って侑、何かあった?」
自然と涙が流れ落ちてきていた。頭の中がぐちゃぐちゃ。自分は何故泣いているの? ゲイである純にキスされたことで、男扱いされてると思った? ううん違う。ゲイである純だからと安心してたのに、キスされて動揺してる?
「何もないよ。10時ね。どこで待ち合わせしよっか。」
「3階のフードコートは?」
「オーケー。」
杏に泣いてると悟られてはいけない。ただそれだけが頭にあって、平静な声を出すことに努めた。挨拶をして電話を切る。
『私は、自分は何がショックなの?』
カウンターに置いたティッシュに手を伸ばして掴み取り、顔を埋める。純にキスをされたことが嫌なんじゃない。自分は男じゃない。けれども女扱いもされるのもイヤ。純、純の気持ちが分からない。どうして自分にキスなんかしてきたんだろう?
考えても考えても分からない。でも、これだけは分かる。純からのキスが忘れられない。今もなお、唇に感触が残っているような気がする……。純を好きになったわけ? イヤ、そうじゃない……。
『自分の気持ちが、もっと分かりやすければいいのに。』
しばらくは止まらなそうな涙を拭いながら、杏に全てを打ち明けて、相談をしてみようかと漠然と考えていた。
中指で自分の唇に触れる。純からされたキス。唇から広がって顔が燃えるように熱い。知らないうちに玄関でヘナヘナと座り込んで、しばらくの間呆然としていた。
ピンピロピンピロピンピロピン……
遠くから微かな着信音が聞こえる。あれは、スマホに杏から電話が入った音。ゆっくりと立ち上がって、スマホを探しに歩いていった。どこに置いたっけ。
「侑? 今大丈夫?」
「うん。どうした?」
杏の声が変。電話をかけてくるような杏じゃない。これまでに2,3回しか無かったはず。何か用事があっても殆どメールで済ませてきた。少しだけ緊張した。
「あのね。明後日あたりモールでお茶しない?」
「学校じゃなくて?」
土日は殆ど彼氏と一緒の杏がどうしたんだろう? もしかして別れたとか? それで今週は学校に来れなかったわけ?
「うん、日曜日。できれば侑と一緒にいたい。話したいことがあるの。」
「いいよ。何時?」
杏の頼みなら断る理由がない。どうせこの土日は何もすることがないし。それに、今の自分のこの気持ちも話したい。
『気持ち?』
気持ちって何だろう? ゲイである純にキスされた。アイツは自分を男だと思ってる? いや女だって分かってるでしょ? じゃあ何で? 何故、純はキスしてきたの?
「10時。って侑、何かあった?」
自然と涙が流れ落ちてきていた。頭の中がぐちゃぐちゃ。自分は何故泣いているの? ゲイである純にキスされたことで、男扱いされてると思った? ううん違う。ゲイである純だからと安心してたのに、キスされて動揺してる?
「何もないよ。10時ね。どこで待ち合わせしよっか。」
「3階のフードコートは?」
「オーケー。」
杏に泣いてると悟られてはいけない。ただそれだけが頭にあって、平静な声を出すことに努めた。挨拶をして電話を切る。
『私は、自分は何がショックなの?』
カウンターに置いたティッシュに手を伸ばして掴み取り、顔を埋める。純にキスをされたことが嫌なんじゃない。自分は男じゃない。けれども女扱いもされるのもイヤ。純、純の気持ちが分からない。どうして自分にキスなんかしてきたんだろう?
考えても考えても分からない。でも、これだけは分かる。純からのキスが忘れられない。今もなお、唇に感触が残っているような気がする……。純を好きになったわけ? イヤ、そうじゃない……。
『自分の気持ちが、もっと分かりやすければいいのに。』
しばらくは止まらなそうな涙を拭いながら、杏に全てを打ち明けて、相談をしてみようかと漠然と考えていた。
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