自分とアイツ、俺とオマエ

もこ

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遭遇8 〜侑〜

1

 月曜日になっても杏は学校に来なかった。2コマめの授業は一緒でいつもお昼は杏と食べるのが定番。机の下で杏にメールを送ると、すぐに返事が来た。

 つわりが酷いらしい。今は実家に帰っているとか。昨日はあれから彼氏とそのご両親と一緒に自分の実家に行ったらしかった。

『大丈夫だったの?』

 つい心配になって踏み込んだことを聞いてしまった。でも、杏の答えにホッとしている自分がいた。

『お父さんは激怒していたけどね。こっちはご両親も一緒に行ったから思ったほどじゃなかったよ? 来週、また彼が来てくれるんだ。大丈夫だと思う。父さんに堕ろせとは言われなかったし。私の体は心配してくれてるしね。』

 良かった、大丈夫そう。授業のノートは見せるから、そう杏に伝えてメールを終えた。授業に集中しなくちゃ。冬休みの後はすぐにテストになる。そこからは自分のためにもノートを取ることに集中した。




 今日も杏は学校に来なかった。2日連続。ということは明日も休むのかも。つわりってそんなに大変なのかな? 昨日は午後の授業がなかったから速攻で家に帰ったけど、今日は午後もある。今日は弁当にしようか、学食に行くか……。

「侑ちゃん、一緒にご飯食べない?」

 授業が終わって夏帆ちゃんに声をかけられた。一緒にいるのは確か……穂花さん。いつも夏帆ちゃんと一緒にいる子。

「うん、是非。」

 きっと夏帆ちゃんと仲のいい穂花ちゃんの話を聞いているだけになるだろうけど、それでも独りで食べるよりいいや。そんな気持ちになりながら、荷物をまとめて立ち上がった。

「侑ちゃんって、侑香ちゃんだよね? あれ? 侑ちゃんが正解なの?」

 聞き役に回ろうと思ったはずなのに、外に出た途端に穂花ちゃんに話しかけられた。自分の両側に夏帆ちゃんと穂花ちゃん。後ろを歩くぐらいがちょうどいいのに。

「侑香だけど侑って呼んで? みんなにそうお願いしてる。」

 穂花ちゃんとは1年の時に少しだけ話をしたことがある。あの時は「侑香」と呼ばれる方が多かった。

「侑ちゃんってさ、背が高いよねーー。」
「うんうん、カッコいい。」

 両側から顔を覗かせて和かに話す顔が見える。2人とも同じくらいの背の高さ。杏よりは高いけど、160あるかどうか、そんな程度。

「そうかなあ。」

 適当に返事をする。背の高さなんて問題じゃない。ま、自分が他の女の子より背が高めなのは自覚はしているけど。けれども「カッコいい」とは先週の金曜日に夏帆ちゃんに言われたばかり。

 今日はいつもの茶色のダウンじゃなくて、ベージュのコートを着てきた。合わせてきたのはネル生地で裏起毛の温かなチェック地のズボン。少しだけ裾が広がっているのがお気に入り。

 キャスケットの帽子を被ろうかと思ったけどやめた。茶色のキャスケットはこのズボンに似合わない。ズボンは全体的に深緑色に見えるから。

「でも今日はいつもと雰囲気違う。」
「うん、私もそう思った!」

 2人の言葉に苦笑する。いつもジーンズが多いからかな。でも何も答えずに、それから何を食べようかと話が移り変わった2人に合わせながら、学食の入り口に入って行った。


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