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『幽霊だけど、姿を見られちゃいました。(ついでに触られてます。)』

部屋にいる幽霊が可愛いんだが。(章親side)

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章親side

 

俺は一ノ瀬章親。
いたって普通の大学生だ。
 
幽霊や妖が視える以外は、いたって普通な大学生。


今俺は、大学近くのアパートの内見に来ている。

このアパートには、数週間後に引っ越す予定だ。
何でも、前の住民を一ヶ月も経たずに追い出した、幽霊がいるという噂だった。

 
住民は、別のアパートに引っ越しをした。
不動産会社の人は、霊媒師に依頼してお祓いを済ませたと言っていた。

 
俺は部屋の玄関に入って早々に、はあっとため息を着いた。

 

いや、全然祓えてねえじゃねえか。

部屋に入ってすぐに、霊の気配を感じる。
部屋の中には姿が見えないから、何処かに隠れているな。

 

一通り部屋の中を見て、ベランダについて説明がされていたときだ。

ふと、外から視線を感じた。
視線はベランダの方からだ。

振り返ったり、ジーッと見てしまうと逃げられる可能性がある。

 
相手に気が付かれないように、チラッと様子を盗み見た。

ベランダの窓枠にちょこんと両手をのせて、ひょっこりと頭を出して、こちらを見ている少年の顔が見えた。



目はくりっと大きくて、少し毛先にクセのある黒髪。

頭のてっぺんでは、柔らかそうな髪が一束フヨフヨとしている。
いわゆるアホ毛が立っていて、ちょっとかわいい。


大人しそうな見た目をしている、若い男だった。年頃は俺と同じくらいか、少し年下くらいかな。

 
少年は恐る恐るというように、俺と不動産会社が話をしている様子を見ていた。

 
今のところ、何かをするような素振りはない。


ベランダに近づくと、ハッとしたように姿を隠してしまった。
窓をガラリと開けてベランダに出た。


まあ、何処にでもある人一人が寝そべられそうな広さのベランダだ。

 
先ほど見た少年は、隅っこの方でベランダの手すりに座って、俺の方を見ていた。
俺は視えていないふりをしながら、少年の全体像を盗み見た。

 
俺よりも背が低そう。服装はVネックの長袖にジーンズ。
線が細くて華奢な体格だ。

 
顔も整っていて、可愛らしい感じの容姿。
色白で、印象的なのはやはり大きな目だろう。口は小さくて、臼桃色でぷっくりしている。


その辺にいる女の子よりも、はるかに可愛らしい美少年が、そこにいた。



(うわー。幽霊だけど、可愛いな。)

こんなことを心のなかで呟いていると、その少年がポツリと言った。


「うわ、イケメンだ。」

男の割に少し声が高くて、驚いた顔はほんの少し幼い。
美少年の幽霊に褒められても、何とも複雑な思いがする。

 

契約書にサインしたとき、俺の隣に美少年の幽霊が、フヨフヨと浮いて近づいてきた。


「あれ、家賃がめちゃくちゃ安くなってる。」


お前のせいだっつの。


まあ、今は大人しくしていても、暮らしてみると悪さをする可能性もある。
俺はアパートを契約して様子を見ることにした。

 

一緒に暮らして数週間、全く悪さをする気配がない。
むしろ、俺の生活を何気なくサポートしてくれている。
部屋はいつも綺麗でホコリがないし、洗い物もほんの少し少なくなっている。


朝は忘れ物が無いように、そっとカバンに持ち物をしまってくれるし。

 

なんじゃこりゃ。
こんな幽霊、初めてすぎて対応に困る。

 

今朝は、アルバイトと大学の課題で辟易して、寝坊しそうになったときだ。


「起きて!遅刻しちゃいます!!」

 
耳もとで聞こえる声は、男にしては少し高めで、可愛い。
目をうっすらと開けて見ていると、美少年が眉を寄せて困り顔をしている。


肩をゆさゆさとゆすって、俺を起こそうと必死だ。
その必死な様子がなんか可愛くて、二度寝した振りをした。

まあ、授業はなんとかなんだろ。補習で。

 
そしたら、眠気も相まって本当に二度寝してしまったらしい。

身体をぐいっと強く押されて、思いっきりベッドから床に落とされた。痛てえ。

 
仕方なく起きて、鏡の前で身支度をしていたら、美少年の幽霊が後ろにフヨフヨと近づいてきた。

俺の後頭部に指先を伸ばして、髪をちょんちょん触られる。


「ここ、寝ぐせついてるよー。」と教えてくれているが、俺の髪で遊んでいるのが可愛い。

 
俺は試しに、「おー。」と返事をしてみた。

ぱちくりと大きな目を瞬かせて、首を傾けている。なんだその仕草、可愛すぎか。

 
今日、部屋に帰ったら美少年の幽霊に、姿が最初から視えていたことを話してみよう。


名前くらい聞きたい。
可能なら、触ってみたい。
もっと声を聞いて、色々な話をしてみたい。

 


部屋に帰って夕食を取っていると、いつものように美少年の幽霊が左隣にちょこんと座った。


独り言を話した幽霊に、返事をする。

大きな目を溢れんばかりに見開いて、固まってしまった。


幽霊は、相良咲弥と名乗った。
自分のことはあまり覚えていないらしい。

俺が咲弥の姿を見れていると言ったときは、心底驚いていた。

そして、試しに咲弥に触ってみたら、思いっきり触れて自分でも驚いた。

 
多分、夏休みに実家のじいちゃんに貰った、お守りの腕輪のせいだと思う。
腕輪は、悪さをする幽霊は強制的に浄化するが、害のない幽霊に対しては何も起こらない。


じいちゃんのくれるお守りは、いつもどこか不思議な力があるから、そのせいだろうな。

 

触ったら咲弥はもっと驚いて、お祓いを俺に勧めてきた。


いや、お前が勧めてどうすんだ。


左頬を撫でると猫みたいに手にすり寄ってきて、可愛かった。

 

それ以降、俺と咲弥の同居生活が始まった。


咲弥は姿がバレたから吹っ切れたのか、家事全般をしてくれるようになった。
お皿を洗ってくれたり、俺の前でも掃除機をかけたり。

 
……これ、普通の人は、皿とスポンジが宙に浮いてるように見えるんだよな。

掃除機も勝手に動きまわってるように見えていると思うと、すごいシュールだ。

 

くるくる動きまわる咲弥が可愛くて、つい目で追ってしまう。


少し寂しがり屋で、のんびりとした性格も可愛い。
容姿なんて、実は俺の好みのタイプど真ん中だった。


一緒に暮らしていくうちに、幽霊とは分かっていたけど惚れてしまった。

 

自分の感情に気がついてからは、咲弥にスキンシップと称して触りまくった。

咲弥は、いまいち恋愛とかに疎いようで、俺が『可愛い』って言っても『もう揶揄わないでよ!』と怒ってくる。

割と本気でそう思っているのに…。

 

「いってらっしゃい。」と「いってきます。」の頬へのキスもせがんだ。
実家での習慣だと言えば、渋々了承してくれた。

当然、うちの実家にそんな外国風な習慣なんてない。
咲弥は最初こそ戸惑っていたものの、何回かして慣れた。チョロい。

 
部屋に帰ると咲弥が待っていてくれるのが、すごく嬉しかった。

 

いつころからか、咲弥に抱き着いて寝るようになった。


咲弥は、『いつの間にか幽霊になっていた。』と言っていた。
咲弥がある日突然、いなくなってしまうことだってありえる。


俺の寝ている間に咲弥が消えてしまうのではないかと思うと怖かった。

 
大人しく俺に抱きしめられてるし、「抱き枕にしないで。」と言ってくるけど、あんまり抵抗してこない。

 
俺の体温が、咲弥に移ればいいのに。


そう思いながら、毎晩一緒に寝ていた。

 

最初のうちは、一緒に寝ても手を出さないようにしていたんだ。
でも、好きなやつが大人しく俺の腕の中にいるなんて、拷問に近い。

 
寝相の悪い振りをして、お腹周りを擦ったり、後ろから抱きしめて、首筋に痕を少しだけ残すくらいに留めていた。

 

その日は、とうとう我慢できなくて、咲弥の胸を触り出した。
俺の指が咲弥の乳首を掠めたときに、肩がビクッと跳ね反応した。


幽霊でも、触られると気持ちいいのか…?


咲弥の反応がもっと見たくて、左右の小さな突起を指で押しつぶして捏ねた。

 
「……んっ、……ふっ、んン!」

 
突起を捏ねる度に咲弥の身体が跳ねて、抑えきれていない声に興奮した。
きゅっと左の突起を摘まんでやると、いっそう声が零れて。


咲弥も感じていると思うと、もう、止められなかった。


「んあっ!!」

俺はゆっくりと咲弥のモノに手を伸ばして、服の上から上下に擦った。
胸への愛撫で反応していたそれは、少しの刺激でもどんどん膨らんでいく。


服の上から擦り上げる度に、咲弥の身体が、ビクつくのが可愛くて仕方ない。

もっと咲弥の肌を感じたくて、服の裾から中に手を入れた。


少しひんやりとした肌は滑らかで、小さな突起は触ってほしそうにぷっくりと腫れていた。

ぷっくりとした突起を、中指と人差し指で挟んで、人差し指で先端を刺激する。

 
本人は必死に声を我慢しているようだけど、甘い声が絶えずに漏れている。
その、抑えきれなくて漏れ出てしまった声が、俺を余計に興奮させた。

 
俺の愛撫で快感に悶えて、身体を震わせる咲弥が愛おしい。

 
咲弥の首にそっと顔を近づけて、首筋にチュッと所有痕をつける。
いつも痕が薄くなってくると、必ず重ねて消えない様にしている。


咲弥に気が付かれないように、首の後ろにつけていた。
何か痕を残しておかないと、咲弥を簡単を失いそうで、落ち着かなかった。

 

胸と股間への刺激を繰り返していると、本当に小さな震える声で、咲弥が呟いた。

 

「……もっ、…直接、さわっ…てぇ…よぉ……。」

 

そうだよな。
こんな中途半端な刺激じゃあ、辛いよな。



こんなに、快感に震えた声でお願いをされたら、たまらない。

 

俺はクスっと思わず笑みが零れてしまった。

まだ、俺が寝ていると思っているようだけど、そろそろ狸寝入りもやめようか。

 

 

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