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第三章『魅了H。駆出し淫魔は大悪魔に誘惑され、黒い天使は嫉妬する』
第五十九話「デートの後に行く場所って、一つしかないよね?」
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「楽しかったな。ジェットコースターというモノは。この、スガガーっと全てを吹き飛ばすような疾走感は病みつきになる」
「そうだね。日常では味わえない、爽快さとスリルが堪らないよね!」
僕と紫織はすっかり興奮して、東京ドリームパーク内を練り歩いていた。
紫織は僕より背が高いのに、小動物のように動き回る。
だから終始、振り回されるように腕を引っ張られていた。
ある広場の一角で、僕は前につんのめる。
紫織が突然立ち止まったからだ。
組まれた腕が勢いで、彼女の柔らかい膨らみに沈み込む。
あ、温かい。
「ご、ごめん。わざとじゃなくて……」
「…………」
そんなことを気にも止めない彼女が指を差した方向。
そこには、クマさんモチーフのつけ耳を展示している売店だった。
そこかしこで、カップルがお揃いつけ耳を着けて、はしゃいでいる。
「うわぁ」
僕は引いてしまった。
中高校生ならともかく、普段は職場でカッチりスーツを着ているような、いい歳した男女が、イチャイチャしながらつけ耳ではしゃいでいるのだ。
それはここ、夢の園の空間だからこそ許されるわけで、現実に戻ったら絶対着けることなんかないのに。
またしても無意味な皮肉をしてしまったと、少し後悔したその時。
「……あれ、着けたい」
ボソッと、か細い声で紫織が言うのだった。
熱に浮かされたような瞳。
つけ耳を見つめるその横顔は、普段職場に居たら絶対見ない顔だった。
「……あっ」
紫織が驚いた声をあげる。
気付けば彼女の手を引いて、僕は売店に向かって走り出していた。
手早くつけ耳を取って支払いを済ませ、紫織の頭にそっとつけてあげた。
「ぇ……」
「あまりにも熱心に見てたから、つい。値段とか気にしないで。今日ここに連れて来てくれたお礼だと思って」
僕は急に恥ずかしくなって目を逸らす。
けど、目の前の紫織がキラキラした目線を向けているのが分かってしまう。
「ならば、私も宋真さんのを買う」
「へ?」
僕がよそ見している内に、先程僕がしたのと同じようにパパッと購入をすませてしまう。
「受け取って」
「あ、はい」
「着けないの?」
「い、いや。ちょっと恥ずかしいかなーなんて……ぶっ!」
振り向くと、僕が買ったつけ耳を着けた紫織の姿。
もふもふの愛らしい耳。
長身でクール、ダークファッションの彼女とギャップがいい塩梅でマッチしている。
なるほど、これが萌え……。
ちょっと古い流行り言葉に歳を感じてしまい、ちょっとショック。
「着けて。写真撮るから」
すずいっと迫られて、クマさん耳の装備を余儀なくされる」
慣れない手つきで何とか装着したところに、パシャリとスマホで写真を撮られた。
「リア充写真、ゲット」
澄ました顔でもテンションが高いのが伝わってくる紫織が僕に写真を見せてくる。
「うわぁ」
本日二回目。
なんだこれ。良い歳して僕ら、カップルみたいじゃないか。
「楽しくないか?」
「いや。すっごく楽しい」
嘘は吐いてない。
さっきから皮肉ったことばかり考えてしまうのは、単に僕がこういう陽キャ行動に慣れてないからだ。
本当の本当、心の奥底。僕の純真な部分。
そこはとても温かくて、紫織と一緒に遊んでいることが楽しいと訴えていた。
「私ら、相性良いかもね」
どくん。
僕の心臓が一際大きく跳ねるのだった。
◆
二◯時
閉園時間まで後一時間。
散々アトラクションを乗り散らかし、スイーツを食べ散らかした僕達は疲れ果てていた。
「そろそろ行く?」
紫織が訊く。
「うん、そうだね」
少し名残惜しいけど、楽しかった。
疲れ果てるよりは、少し余韻を残す方が、想い出として強く残るだろう。
そんなことを考えながら、彼女の隣を並んで歩く。
東京ドリームパークの出口から、しばらく歩く。
「着いた」
「あれ、駅ってこっちだっけ?」
普段行き慣れない場所だから完全にお任せしてたけど、目の前の建物はどう見ても駅じゃなかった。
それどころか。
「あの、ここって」
「ラブホテル。デートの後は決まって行くものだって。……人間は」
人間は?
「あ、あー確かにー」
思わず声が裏返る。
『帰る?』じゃなくて『行く?』って言ってきたのは、そういうことだったのか。
テーマパークの帰り。夜の街。男女が2人きりり。ラブホテル。
密かに叶えたい夢ランキングトップ3の一つが全て現実化している事に気づいて、僕は勃起する。
叶えたい夢ランキングトップ3に入るシチュエーションの一つ。
それが全て現実化している事に気づいて、僕は思わず勃起する。
「宋真さん、ココ、大きくなってる」
「うわっ」
ふーっと耳元に息を吹きかけられると同時、ひんやりとした手が僕の股間をさわさわしていた。
身長の高い紫織が、上目遣いで僕をまっすぐ見つめてくる。
普段はクールでミステリアス。仕事場の雰囲気と違う一面に、僕は興奮を隠せない。
紫織って、こんなに積極的な子だったの?
あれ、なんか頭がボーッとしてきた。
この感覚、前にもどこかで……。
彼女に胸を押し当てられると、おっぱいの柔らかさしか考えられなくなった。
そのまま意識が無くなったかのように、ふらふらと僕はホテルの入り口に吸い込まれていく。
◆
「……は?」
僕はベッドの上で目を覚ました。
煌びやかな豪華な内装。
ああ、ここがラブホテルっていう場所か。
天井は鏡張りで、僕が全裸で縛られている光景がくっきりと映る。
あれ、そういえば僕、寝てたの?
え、なんで縛られてるの?
「は、触手?」
手足を縛っているのは、僕が一番よく知っている、魅了魔法で召喚した大淫蟲だった。
「フフッ、目覚めたか」
「……紫織? いや、誰だっ!?」
首だけ右に振り向くと、女王様スタイルで椅子に座る紫織の姿。
しかし、先ほどの私服姿ではない。
マイクロビキニのような、紫色のボンテージ。
右目の奥には瞳の代わりににハートマークが浮かび、背中には並みの黒よりも深い、漆黒の翼。
直感でわかる
こいつは、シトラスと同じ悪魔だ。
「我が名は、シトリー。アホ弟子の教育がてら散歩しにきた、ただの大悪魔だよ」
「そうだね。日常では味わえない、爽快さとスリルが堪らないよね!」
僕と紫織はすっかり興奮して、東京ドリームパーク内を練り歩いていた。
紫織は僕より背が高いのに、小動物のように動き回る。
だから終始、振り回されるように腕を引っ張られていた。
ある広場の一角で、僕は前につんのめる。
紫織が突然立ち止まったからだ。
組まれた腕が勢いで、彼女の柔らかい膨らみに沈み込む。
あ、温かい。
「ご、ごめん。わざとじゃなくて……」
「…………」
そんなことを気にも止めない彼女が指を差した方向。
そこには、クマさんモチーフのつけ耳を展示している売店だった。
そこかしこで、カップルがお揃いつけ耳を着けて、はしゃいでいる。
「うわぁ」
僕は引いてしまった。
中高校生ならともかく、普段は職場でカッチりスーツを着ているような、いい歳した男女が、イチャイチャしながらつけ耳ではしゃいでいるのだ。
それはここ、夢の園の空間だからこそ許されるわけで、現実に戻ったら絶対着けることなんかないのに。
またしても無意味な皮肉をしてしまったと、少し後悔したその時。
「……あれ、着けたい」
ボソッと、か細い声で紫織が言うのだった。
熱に浮かされたような瞳。
つけ耳を見つめるその横顔は、普段職場に居たら絶対見ない顔だった。
「……あっ」
紫織が驚いた声をあげる。
気付けば彼女の手を引いて、僕は売店に向かって走り出していた。
手早くつけ耳を取って支払いを済ませ、紫織の頭にそっとつけてあげた。
「ぇ……」
「あまりにも熱心に見てたから、つい。値段とか気にしないで。今日ここに連れて来てくれたお礼だと思って」
僕は急に恥ずかしくなって目を逸らす。
けど、目の前の紫織がキラキラした目線を向けているのが分かってしまう。
「ならば、私も宋真さんのを買う」
「へ?」
僕がよそ見している内に、先程僕がしたのと同じようにパパッと購入をすませてしまう。
「受け取って」
「あ、はい」
「着けないの?」
「い、いや。ちょっと恥ずかしいかなーなんて……ぶっ!」
振り向くと、僕が買ったつけ耳を着けた紫織の姿。
もふもふの愛らしい耳。
長身でクール、ダークファッションの彼女とギャップがいい塩梅でマッチしている。
なるほど、これが萌え……。
ちょっと古い流行り言葉に歳を感じてしまい、ちょっとショック。
「着けて。写真撮るから」
すずいっと迫られて、クマさん耳の装備を余儀なくされる」
慣れない手つきで何とか装着したところに、パシャリとスマホで写真を撮られた。
「リア充写真、ゲット」
澄ました顔でもテンションが高いのが伝わってくる紫織が僕に写真を見せてくる。
「うわぁ」
本日二回目。
なんだこれ。良い歳して僕ら、カップルみたいじゃないか。
「楽しくないか?」
「いや。すっごく楽しい」
嘘は吐いてない。
さっきから皮肉ったことばかり考えてしまうのは、単に僕がこういう陽キャ行動に慣れてないからだ。
本当の本当、心の奥底。僕の純真な部分。
そこはとても温かくて、紫織と一緒に遊んでいることが楽しいと訴えていた。
「私ら、相性良いかもね」
どくん。
僕の心臓が一際大きく跳ねるのだった。
◆
二◯時
閉園時間まで後一時間。
散々アトラクションを乗り散らかし、スイーツを食べ散らかした僕達は疲れ果てていた。
「そろそろ行く?」
紫織が訊く。
「うん、そうだね」
少し名残惜しいけど、楽しかった。
疲れ果てるよりは、少し余韻を残す方が、想い出として強く残るだろう。
そんなことを考えながら、彼女の隣を並んで歩く。
東京ドリームパークの出口から、しばらく歩く。
「着いた」
「あれ、駅ってこっちだっけ?」
普段行き慣れない場所だから完全にお任せしてたけど、目の前の建物はどう見ても駅じゃなかった。
それどころか。
「あの、ここって」
「ラブホテル。デートの後は決まって行くものだって。……人間は」
人間は?
「あ、あー確かにー」
思わず声が裏返る。
『帰る?』じゃなくて『行く?』って言ってきたのは、そういうことだったのか。
テーマパークの帰り。夜の街。男女が2人きりり。ラブホテル。
密かに叶えたい夢ランキングトップ3の一つが全て現実化している事に気づいて、僕は勃起する。
叶えたい夢ランキングトップ3に入るシチュエーションの一つ。
それが全て現実化している事に気づいて、僕は思わず勃起する。
「宋真さん、ココ、大きくなってる」
「うわっ」
ふーっと耳元に息を吹きかけられると同時、ひんやりとした手が僕の股間をさわさわしていた。
身長の高い紫織が、上目遣いで僕をまっすぐ見つめてくる。
普段はクールでミステリアス。仕事場の雰囲気と違う一面に、僕は興奮を隠せない。
紫織って、こんなに積極的な子だったの?
あれ、なんか頭がボーッとしてきた。
この感覚、前にもどこかで……。
彼女に胸を押し当てられると、おっぱいの柔らかさしか考えられなくなった。
そのまま意識が無くなったかのように、ふらふらと僕はホテルの入り口に吸い込まれていく。
◆
「……は?」
僕はベッドの上で目を覚ました。
煌びやかな豪華な内装。
ああ、ここがラブホテルっていう場所か。
天井は鏡張りで、僕が全裸で縛られている光景がくっきりと映る。
あれ、そういえば僕、寝てたの?
え、なんで縛られてるの?
「は、触手?」
手足を縛っているのは、僕が一番よく知っている、魅了魔法で召喚した大淫蟲だった。
「フフッ、目覚めたか」
「……紫織? いや、誰だっ!?」
首だけ右に振り向くと、女王様スタイルで椅子に座る紫織の姿。
しかし、先ほどの私服姿ではない。
マイクロビキニのような、紫色のボンテージ。
右目の奥には瞳の代わりににハートマークが浮かび、背中には並みの黒よりも深い、漆黒の翼。
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