【完結】下級悪魔は魔王様の役に立ちたかった

ゆう

文字の大きさ
14 / 28
ディニス編

4

しおりを挟む
その何気ないウェスとのやり取りが、魔界で大ごとになってしまい、私がウェスから距離を取るきっかけとなってしまった。

「なんて軽率なことを!側から見ればディニス様が後継者をウェスに決めたように聞こえてしまうんですよ!?」

そう怒ったのはレヴォンだっだ。

「ああ、確かに軽率だった。私にあの子を後継者にするつもりはない。その実力もないからな。あの子は私の愛し子、ただそれだけだ」
「それだけにしたって問題です。ディニス様に認められたいものは多くいるのにあんな弱くて醜悪な…」
「レヴォン」

私の前でウェスを悪く言うなどいくら有能は側近でも許せない。
私の怒気に触れた気づいたレヴォンは「申し訳ございません…」と謝った。

「二度とそのようなことを言うな。ウェスの前ならなおさらだ」
「はい…」

だが、ことはそれだけでは終わらなかった。
レヴォンのようにウェスを邪魔に思いはじめた者たちが彼を害するようになったのだ。

ウェスはまだ人間で言うところの幼子程度の知能しかない。陰口も多く叩かれているようだが、本人はよく分かっていないようだ。
だがそれを幸いとは思っていられなかった。

物理的にウェスに危害を加える魔族が出てきたのだ。危機感の無いウェスは、会うたびに傷が増えている。

その度に胸が痛んだ。私があの時皆の前で親になるなど言わなければここまで酷いことにならなかったのでは無いだろうか。

治療をしてやってもその次には前回より傷が増えている。いい加減辞めさせなければ危険だ。そう思い、配下の魔族たちに注意をしようとしたが、それをソロンが止めにきた。

「そのようなことをしても余計にウェスの立場が悪くなるだけです。今度はディニス様にバレないような害し方になるかもしれません」
「しかし、このままでは…」

傷ついていくあの子を放っておけず言葉を濁した私に、ソロンの思いもよらぬ提案をした。

「ではいっそウェスに冷たく当たるというのはどうでしょう」

最初、彼が何をいっているのか分からず、私は目を見開いた。

「ディニス様が庇うから他の魔族たちの反感を買うのです。だからあなたがウェスに冷たくすれば、皆の興味も無くなるでしょう」
「それは…まあ、一理あるな。ウェスには話をしておいて、そのような演技をすれば…」
「いえ、ウェスにも黙っていた方が良いかと」
「なぜだ?それでは私が本当にウェスを嫌いになったと思われてしまうではないか」

ウェスを傷つけたくないのにそんなことをしたらあの子はひどく落ち込むだろう。そう考え却下しようとした私にソロンは呆れたように首を振った。

「考えてもみてください。ウェスは…まだ知能が低いです。そんなことを言われても上手く演技などできないでしょう」
「それはそうかもしれないが…」
「ウェスを守りたいなら、ディニス様も心を鬼にしてください。ほとぼりが冷めて、ウェスが成長した頃に事情を話せばいいじゃないですか」
「ウェスのために…そうだな…わかった」

そうして、私はウェスに冷たく接することにした。



しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

手切れ金

のらねことすていぬ
BL
貧乏貴族の息子、ジゼルはある日恋人であるアルバートに振られてしまう。手切れ金を渡されて完全に捨てられたと思っていたが、なぜかアルバートは彼のもとを再び訪れてきて……。 貴族×貧乏貴族

【8話完結】どんな姿でも、あなたを愛している。

キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。 声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。 「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」 ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。 失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。 全8話

『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。

春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。 チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。 
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。 ……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ? 
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――? 見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。 同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨

【旧作】美貌の冒険者は、憧れの騎士の側にいたい

市川
BL
優美な憧れの騎士のようになりたい。けれどいつも魔法が暴走してしまう。 魔法を制御する銀のペンダントを着けてもらったけれど、それでもコントロールできない。 そんな日々の中、勇者と名乗る少年が現れて――。 不器用な美貌の冒険者と、麗しい騎士から始まるお話。 旧タイトル「銀色ペンダントを離さない」です。 第3話から急展開していきます。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

処理中です...