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第八話

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「こちらが、エイダです。裏庭の管理人をやっております」
「は、はい! お初にお目にかかります、エイダ・ルイスと申します!」

 リュドミラ王太后は、わずかに微笑んでくれた。

「初めまして、エイダ。お話はかねがね、世話になっているデ・ヴァレスからも孫のエリヴィラからも聞いておりますわ」
「お、畏れ多いことでございます」
「このような姿をお見せしてしまってごめんなさいね。歳を取ると体が言うことを聞かないものだから、このまま失礼するわ」
「どうかお気遣いなく! 私ごとき、陛下のお声を聞かせていただけるだけで十二分に幸運でございます」

 このとき、私はものすごく緊張していた。国母であるリュドミラ王太后と顔を合わせ、ましてやお声をかけていただけるなんて、一介の宮廷メイドにも裏庭の管理人にも分不相応だ。

 だが、リュドミラ王太后はなぜ私を呼んだのか。その疑問は、すぐに明らかにされた。

 リュドミラ王太后がさっそく本題に入ったのだ。

「お時間を取らせると申し訳ないから、手短にお伝えするわね。エイダ、あなたにお願いがあるの」
「私に、ですか?」
「ええ。あなた、結婚はしていないわね?」
「はい、独身でございます」
「では、ちょうどよかったわ。私の主治医であるトゥルトゥラ博士の嫡男、カレヴィとお見合いをしてほしいの」

 あまりにも突然の話に、私は一瞬思考が停止して、それから復唱してやっと話を理解できた。

「お見合い、お見合い……私が?」
「ええ。草花の扱いに長けた女性を探していたのよ。とりあえず、会うだけ会ってみてくれないかしら」

 言いたいことはいろいろあるが、リュドミラ王太后に口答えは許されないし、畏れ多い。

 私はすぐに了承した。

「か、かしこまりました。では、カレヴィ様と会ってまいります」

 お見合いしてすぐに結婚というわけではない、会うだけなら問題ないだろう。軽い気持ちでそう思って、私はカレヴィ・トゥルトゥラという男性と会うことになった。
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