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第十一話
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どのくらい気を失っていたか分からないが、ブランシュは自分が盛大に鼻血を出していることに気付いた。ふと焦点が合った目に飛び込んできた光景は、リオネルが自分の体を抱き抱え、目が覚めたブランシュの顔を覗き込んでいるところだった。
「ブラン!」
ハンカチでブランシュの鼻血を拭い、リオネルは真剣な面持ちでブランシュを見ていた。眉根が下がり、心底心配してくれているではないか。ブランシュは強がった。
「だ、大丈夫、ですわ、ちょっと、魔法を使いすぎただけ」
ブランシュは原因については分かっていた。封魔道具のせいだ。封魔道具のそばでは魔法は阻害される、それでも抵抗して全力で魅了魔法を使ったものだから、体が耐えきれずにどこかの血管が切れてしまったのだ。以前、魔法の使い手の講師にそうなるから魔法を使いすぎてはいけない、と教えられていたことがあった。
私、どうなるのかしら。他人事のようにブランシュは思いつつも、リオネルが無事でよかったと安堵した。
いやいや、安堵していてはいけない。婚約を断らなければ。
唐突に当初の目的を思い出したブランシュは、その話を切り出そうとする。
「そ、そんなことより」
「喋るな! 医者がすぐ来る、とにかく血を止めないと!」
「いいえ! 私、あなたのことが」
嫌いです、と言おうとした矢先に、リオネルがハンカチでブランシュの顔を乱暴に拭いたものだから、何も言えない。
それだけでなく、リオネルは本気で怒って、周囲にいるらしき人々へ叫んでいた。
「ええい、遅い! 医者はどこだ!」
ああ、これは婚約の話どころではない。
そう察したブランシュは、もういいやと眠ることにした。また今度考えよう、今日はもう疲れた。目を閉じると、すうっとブランシュは意識を失った。
「ブラン!」
ハンカチでブランシュの鼻血を拭い、リオネルは真剣な面持ちでブランシュを見ていた。眉根が下がり、心底心配してくれているではないか。ブランシュは強がった。
「だ、大丈夫、ですわ、ちょっと、魔法を使いすぎただけ」
ブランシュは原因については分かっていた。封魔道具のせいだ。封魔道具のそばでは魔法は阻害される、それでも抵抗して全力で魅了魔法を使ったものだから、体が耐えきれずにどこかの血管が切れてしまったのだ。以前、魔法の使い手の講師にそうなるから魔法を使いすぎてはいけない、と教えられていたことがあった。
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「ええい、遅い! 医者はどこだ!」
ああ、これは婚約の話どころではない。
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