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第9話 ドワーフ族のブルンガ彷徨い続けて早5年
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時間が停止した滅びた村。
そこには死体が無数に転がっている。
逃げても逃げてもどこに行っても、かつての知り合いや友人の死体が転がっている。
彼等はにんまりと微笑んでいるように死んでいる。
不思議と涙は流れてこない。
今はそれ所ではないからだ。
どうやって生き延びるかを考える必要がある。
大工ジョブをどう扱うか。
「建設!」
建物がパズルのように崩壊して次から次へと組み立てられていく。
オーガがそこに立っていたので、組み立てられた建物をオーガの檻に変形させていく。
オーガは暴れまわる中で、俺とテルシアはそれを見届けて。
「破壊!」
建物を破壊させる。破壊させるには建物の一部に触れなくてはならない。
俺はゆっくりと触れると、建物が崩壊しオーガが押しつぶされる。
そうしてオーガの死体は消滅していき、滅びた村の時間は止まりっぱなしだった。
「行こうか」
「良いんですか? 死体だけど、両親の顔を見れるんですよ?」
「15歳の時に失った家族、今は20歳、あれから5年が経った。それでも両親の死体は見たいとは思わないんだよ」
「それは失礼しました」
「では行こうか」
目の前には2階層に続く階段が出現していた。
そこを登ると、やはり時間が止まっていた。
どこかの平原である事は分かる。
空には太陽が輝き。
そこにはオーガがいた。
それも3体だった。
「大工の技は使えませんねー」
「だな、建物がない、いやあの木は」
その木は巨大な木だった。
たしか滅びたかつての村にも同じ木があった。
「つまりここは」
【そうだ。滅びた村の100年前の記憶だ】
「一体どうなってるんだ」
【そのオーガ3体もかつてはここにいたオーガキングの末裔だ。だがこの大地は平原となってしまった】
「オーガキング?」
【しいて言えば、オーガキングより上のオーガゴッドだな】
「名前が恥ずかしいんですが―」
「テルシアは黙ってて」
「ひどいですー」
【ようはそこは元々オーガ達の楽園だったわけだ。人間達が侵略するまではな】
「それってつまり……」
「人間が悪ってことだな」
俺が呟き。
【グッジョブ、その通りだ!】
にんまりとクヴァリスタンが笑っている姿が脳裏に蘇った。
「やる事は1つですねーカルクさん」
「その通りだ」
「「にげるぞおおおお」」
俺とテルシアは全力疾走で逃げる。
ランダムジョブが切れるまでの辛抱だったのだが、3体のオーガはこちらを注意深く見ているだけで動かない。
なので俺とテルシアは距離を取って様子を観察する。
そのうち大工ジョブが解除された。
地面を破壊しまくって落とし穴を作ろうかとも思ったが、無駄なようなのでやめた。
ランダムジョブを発動させる。
【忍者ジョブになりました。15分後に解除されます】
「忍者って東方の地の部族だろ【スキル:影分身】【スキル:身代わりの術】ってこれは!」
逃げ続けるのを止めた。俺は目の前のオーガに向かって仕掛ける事にした。
「テルシアーヒールの準備忘れるなよ」
「もちろんです」
3体のオーガを鑑定しても、どのオーガは計り知れない凄さを持っている事を理解出来る。
3体はこちらに興味をもち、1体がゆっくりと体の向きを変えた瞬間、オーガは目の前に飛来していた。
「うぉおお」
思わず、スキル:身代わりの術を発動させると、どこからともなく現れた大木にオーガの拳が炸裂していた。
俺はというとオーガの後ろに瞬間移動ならぬ超スピードで移動していた。
後ろに殺気を感じると2体目のオーガが拳を炸裂させてきた。
俺は身代わりの術を発動させどこに移動させるか頭で理解させ移動していた。
「ふぅ」
3体目がゆっくりとこちらにやってくる。
嫌な予感がしたので、影分身を発動させる。
体が分かれていき、影から実体のある俺が出現する。
今の俺に出来る数は5体が限界だった。
「すげーお前俺だ」
「俺はお前だ」
「そうだ。俺はお前だ」
「そうだぜ、俺はお前だ」
「そうだ」
「ちょっとどれにヒールすればいいんですかー」
思わずテルシアが突っ込んできたがそれを無視しつつ。
「「「「「全員だ」」」」」
俺でもどれが俺か今一分からなくなってきた。
オーガ3体が胸を叩いてこちらに走りだす。
地面を蹴り上げる姿はもはや怪力すぎる事を表していたのだが。
右腰からリヴァイドスの剣を抜きざま、5人の俺が同時に抜く。
忍者の剣術のイメージがちょっとおかしくなっており、体のポーズが恰好を付けてしまうような形となってしまう。
そのスピードは高速の如くで、1体のオーガを斬り刻む事に成功した。
2体目はぎょっとして後ろに下がるも、2体目も斬り刻む事に成功した。
3体目は2体のオーガの死を感じたのか、体がめきめきと盛り上がっていく。
それは1階層のオーガの姿よりも異常その物だった。
「よーし、おめーらコンビネーションやるぞ」
「すごそうだなー」
「できんのかー」
「出来るに決まってる」
「よっしゃー」
「って訳わからないわよー」
テルシアが相変わらず突っ込むが。
5人同時に地面を蹴り上げた。
オーガが体を回転させると、5人同時に身代わりの術を発動させる。
5本の大木が出現すると、5人はオーガの四方を取り囲む。
後はリヴァイドスの剣で止めを刺した。
3体のゴブリンは消滅していくのだが。
もちろん忍者ジョブも解除されて、自分という友達が出来た事を感謝し、消滅していく影分身達。
1本の大きな木がそびえている姿を見て、そこでゆっくりと居眠りしている、ブルンガがいた。
子供ドワーフだったブルンガは20歳の大人ドワーフの男になっていた。
ただ髭がぼうぼうと生えており、もはや訳の分からない顔になっているが。
彼はぐがーといびきをかいて眠っている。
体は傷だらけで今にも死んでしまいそうだった。
俺の瞳から涙がぽつりぽつりと流れて。
顔をくしゃくしゃにしながら、叫んだ。
「テルシア! 今すぐ、今すぐブルンガをヒールしてくれ」
「い、いたんですねぇー」
その日俺の人生は大きく変わったような気がした。
そこには死体が無数に転がっている。
逃げても逃げてもどこに行っても、かつての知り合いや友人の死体が転がっている。
彼等はにんまりと微笑んでいるように死んでいる。
不思議と涙は流れてこない。
今はそれ所ではないからだ。
どうやって生き延びるかを考える必要がある。
大工ジョブをどう扱うか。
「建設!」
建物がパズルのように崩壊して次から次へと組み立てられていく。
オーガがそこに立っていたので、組み立てられた建物をオーガの檻に変形させていく。
オーガは暴れまわる中で、俺とテルシアはそれを見届けて。
「破壊!」
建物を破壊させる。破壊させるには建物の一部に触れなくてはならない。
俺はゆっくりと触れると、建物が崩壊しオーガが押しつぶされる。
そうしてオーガの死体は消滅していき、滅びた村の時間は止まりっぱなしだった。
「行こうか」
「良いんですか? 死体だけど、両親の顔を見れるんですよ?」
「15歳の時に失った家族、今は20歳、あれから5年が経った。それでも両親の死体は見たいとは思わないんだよ」
「それは失礼しました」
「では行こうか」
目の前には2階層に続く階段が出現していた。
そこを登ると、やはり時間が止まっていた。
どこかの平原である事は分かる。
空には太陽が輝き。
そこにはオーガがいた。
それも3体だった。
「大工の技は使えませんねー」
「だな、建物がない、いやあの木は」
その木は巨大な木だった。
たしか滅びたかつての村にも同じ木があった。
「つまりここは」
【そうだ。滅びた村の100年前の記憶だ】
「一体どうなってるんだ」
【そのオーガ3体もかつてはここにいたオーガキングの末裔だ。だがこの大地は平原となってしまった】
「オーガキング?」
【しいて言えば、オーガキングより上のオーガゴッドだな】
「名前が恥ずかしいんですが―」
「テルシアは黙ってて」
「ひどいですー」
【ようはそこは元々オーガ達の楽園だったわけだ。人間達が侵略するまではな】
「それってつまり……」
「人間が悪ってことだな」
俺が呟き。
【グッジョブ、その通りだ!】
にんまりとクヴァリスタンが笑っている姿が脳裏に蘇った。
「やる事は1つですねーカルクさん」
「その通りだ」
「「にげるぞおおおお」」
俺とテルシアは全力疾走で逃げる。
ランダムジョブが切れるまでの辛抱だったのだが、3体のオーガはこちらを注意深く見ているだけで動かない。
なので俺とテルシアは距離を取って様子を観察する。
そのうち大工ジョブが解除された。
地面を破壊しまくって落とし穴を作ろうかとも思ったが、無駄なようなのでやめた。
ランダムジョブを発動させる。
【忍者ジョブになりました。15分後に解除されます】
「忍者って東方の地の部族だろ【スキル:影分身】【スキル:身代わりの術】ってこれは!」
逃げ続けるのを止めた。俺は目の前のオーガに向かって仕掛ける事にした。
「テルシアーヒールの準備忘れるなよ」
「もちろんです」
3体のオーガを鑑定しても、どのオーガは計り知れない凄さを持っている事を理解出来る。
3体はこちらに興味をもち、1体がゆっくりと体の向きを変えた瞬間、オーガは目の前に飛来していた。
「うぉおお」
思わず、スキル:身代わりの術を発動させると、どこからともなく現れた大木にオーガの拳が炸裂していた。
俺はというとオーガの後ろに瞬間移動ならぬ超スピードで移動していた。
後ろに殺気を感じると2体目のオーガが拳を炸裂させてきた。
俺は身代わりの術を発動させどこに移動させるか頭で理解させ移動していた。
「ふぅ」
3体目がゆっくりとこちらにやってくる。
嫌な予感がしたので、影分身を発動させる。
体が分かれていき、影から実体のある俺が出現する。
今の俺に出来る数は5体が限界だった。
「すげーお前俺だ」
「俺はお前だ」
「そうだ。俺はお前だ」
「そうだぜ、俺はお前だ」
「そうだ」
「ちょっとどれにヒールすればいいんですかー」
思わずテルシアが突っ込んできたがそれを無視しつつ。
「「「「「全員だ」」」」」
俺でもどれが俺か今一分からなくなってきた。
オーガ3体が胸を叩いてこちらに走りだす。
地面を蹴り上げる姿はもはや怪力すぎる事を表していたのだが。
右腰からリヴァイドスの剣を抜きざま、5人の俺が同時に抜く。
忍者の剣術のイメージがちょっとおかしくなっており、体のポーズが恰好を付けてしまうような形となってしまう。
そのスピードは高速の如くで、1体のオーガを斬り刻む事に成功した。
2体目はぎょっとして後ろに下がるも、2体目も斬り刻む事に成功した。
3体目は2体のオーガの死を感じたのか、体がめきめきと盛り上がっていく。
それは1階層のオーガの姿よりも異常その物だった。
「よーし、おめーらコンビネーションやるぞ」
「すごそうだなー」
「できんのかー」
「出来るに決まってる」
「よっしゃー」
「って訳わからないわよー」
テルシアが相変わらず突っ込むが。
5人同時に地面を蹴り上げた。
オーガが体を回転させると、5人同時に身代わりの術を発動させる。
5本の大木が出現すると、5人はオーガの四方を取り囲む。
後はリヴァイドスの剣で止めを刺した。
3体のゴブリンは消滅していくのだが。
もちろん忍者ジョブも解除されて、自分という友達が出来た事を感謝し、消滅していく影分身達。
1本の大きな木がそびえている姿を見て、そこでゆっくりと居眠りしている、ブルンガがいた。
子供ドワーフだったブルンガは20歳の大人ドワーフの男になっていた。
ただ髭がぼうぼうと生えており、もはや訳の分からない顔になっているが。
彼はぐがーといびきをかいて眠っている。
体は傷だらけで今にも死んでしまいそうだった。
俺の瞳から涙がぽつりぽつりと流れて。
顔をくしゃくしゃにしながら、叫んだ。
「テルシア! 今すぐ、今すぐブルンガをヒールしてくれ」
「い、いたんですねぇー」
その日俺の人生は大きく変わったような気がした。
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