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ストバーラ帝国編
再会
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ダンジョンでレイスと遭遇してから1週間経った。今日から冒険者生活を再開しようと、バチード支部に顔を出したらセレナが声をかけてくれた。
「ルカ!心配したぞ!身体はもう平気か?」
「ありがとう。大丈夫だよ。今日から依頼を受ける予定」
「よかった。本当は家まで見舞いに行こうと思ったが、モニカに止められてな」
さすがモニカ。よくわかってる。もしセレナが見舞いに来ていたら、兄さんが大変なことになっていただろう。
今もセレナの動きを睨みながら警戒してるし。
セレナとの話をそこそこで切り上げて依頼を受けた。
今日はいつもより楽な依頼を受けたので、早めに終わってしまった。
中途半端な時間をどう過ごすか、大通りを歩きながら兄さんと相談していると意外な人物に出会った。
本当に驚いた。グレイセル王国を脱出する時に出会った人物だから約2年ぶりの再会だ。
「坊主久しぶりだな!少し背が伸びたか?兄貴はあいかわらずだな」
「グレース!久しぶり!いつからこの街に?」
「1週間前だ。といっても明日にはここを離れるがな」
「そうなんだ残念。ねぇ、この後時間ある?」
「今日は仕事もないし暇だが」
「じゃあさ、前に別れ際にした約束覚えてる?」
「いや?忘れたな」
「『次会うことがあったら美味いもん奢ってやるよ』って約束」
「げっ」
「いやー、僕達もちょうど暇でね。グレースここの出身だよね?美味しいもの楽しみだなぁ」
「坊主は可愛げがなくなったな……約束だからな、行きつけの店に連れてってやる!」
「やった!!兄さんも一緒でいい?」
「むしろ一緒じゃないと後が怖えよ。前より用心棒っぷりが酷くなってないか?」
「そうかな?」
兄さんの視線に気づいたグレースが僕と距離を取った。
前からそうだったような気もするがよく思い出せない。とりあえず兄さんを怒らせないように距離感には気をつけよう。
グレース行きつけの店は、昼過ぎの中途半端な時間にもかかわらずほぼ満席だった。
この店は朝から営業していて、食堂とバーを一緒した飲食店のようだ。前世のバルに近いかもしれない。
「なんだ、坊主は飲まないのか?」
「16歳になるまでお酒は飲まないよ」
「真面目だねぇ」
兄さんと約束したしね。飲めるようになるまであと2年か。まだまだ先だな。
食べ物の注文はグレースにお任せした。どんなものがくるのか楽しみだ。
「乾杯」
3人で木のジョッキを鳴らす。僕は果実水、兄さんはエール、グレースはワインだ。
「俺達のパーティーがやっと銀級になってな。しばらく長期任務に入るから故郷に帰ってたんだよ」
「おお!おめでとう!」
「ありがとな。坊主は冒険者になれたのか?そうは見えないが」
「失礼な。最近銅級に昇格したよ」
「へぇ!坊主すごいな!もう銅級かよ」
「兄さんなんて2ヶ月で銅級になったよ」
「兄貴のほうは、うん、なんとなくわかるわ。2ヶ月は早すぎるけどな」
お互いの近況を話し合っていると、注文したメニューが運ばれてきた。
最初に運ばれてきたのは、具がたくさん入ったオムレツだ。ケーキのように切り分けられている。食べてみると、固焼きの卵なのにふんわりとした食感だ。具材のジャガイモは、崩れそうなくらい柔らかくて口の中でとろける。じっくりと火を通しているのだろう。野菜の甘みと香ばしさが感じられて味わい深い。
次はトマトが載ったバケットを食べてみる。トマトとオリーブオイルの風味とわずかに感じるにんにくの香りで何個でも食べられそうだ。シンプルな料理だからこそ、素材へのこだわりを感じる。
最後は、港町らしい海鮮のパエリアだ。前世が日本人だったからお米が食べられて嬉しい。品種は違うけど米は米だ。具材はエビ、イカ、貝、パプリカにトマト。サフランは入っていないようだ。前世の記憶と少しだけ違っていて面白い。一口食べるとお米の食感に驚く。日本のお米と比べると歯応えを感じるが、魚介の旨みが染み込んだお米は噛めば噛むほど美味しい。
気がつくと2人が僕の食べっぷりに注目していた。
「坊主は美味そうに食べるな」
「美味しいからね。近くにこんな美味しい店があるって知らなかった」
「普段は外食しないのか?」
「いつも僕が作ってるよ」
「そういや坊主は料理が得意だったな。それならおすすめの国がある」
「料理好きにおすすめの国?」
「ラウリア王国っていってな。そこはな、別名スパイス王国と呼ばれている」
「スパイス王国か。どんなものがあるの?」
「とにかくたくさんだ!すごかったぞ!ラウリア王国は西大陸の南にある国でな。俺達はしばらくそこで過ごしてた」
「へぇー」
「飯は美味いし、美人も多くていい国だった。踊り子のスタイルがすっげぇよくってな!坊主もそういうのに興味あるんじゃないか?」
「おい、ルカに変なこと吹き込むな」
「ひっ、すみません」
兄さんの剣幕にグレースが顔を引きつらせる。
踊り子に興味はないが、スパイス王国か。これはカレーが作れるかもしれない。ミヅホでお米を買って、ラウリア王国でカレーを作る。完璧だ。
無限収納の魔法もできたし、ちょうどいいかもね。
「ラウリア王国か。いいね。行ってみたい」
「お?坊主もそういう年頃だな」
「ルカ!」
「踊り子には一切興味ないけど、スパイスが気になる。兄さんが好きそうな料理ができるかも」
「そうか。なら行ってみたいな」
「そっちかよ。つまんねーの」
その後ラウリア王国のことやグレース達のことなど、たくさん話をして解散した。店を出るともう夜になっていた。
「じゃあな坊主。またどこかで会えたらいいな!その時は坊主が奢れよ」
「わかった。約束ね」
果たされるかわからない約束を交わす。でもなんとなく、またいつか出会えそうな気がする。
その時は約束を忘れたふりをしておこう。きっとそのほうが面白いことになるから。
そんな未来を想像して少しだけ楽しくなった僕は、大きく手を振ってグレースと別れた。
「ルカ!心配したぞ!身体はもう平気か?」
「ありがとう。大丈夫だよ。今日から依頼を受ける予定」
「よかった。本当は家まで見舞いに行こうと思ったが、モニカに止められてな」
さすがモニカ。よくわかってる。もしセレナが見舞いに来ていたら、兄さんが大変なことになっていただろう。
今もセレナの動きを睨みながら警戒してるし。
セレナとの話をそこそこで切り上げて依頼を受けた。
今日はいつもより楽な依頼を受けたので、早めに終わってしまった。
中途半端な時間をどう過ごすか、大通りを歩きながら兄さんと相談していると意外な人物に出会った。
本当に驚いた。グレイセル王国を脱出する時に出会った人物だから約2年ぶりの再会だ。
「坊主久しぶりだな!少し背が伸びたか?兄貴はあいかわらずだな」
「グレース!久しぶり!いつからこの街に?」
「1週間前だ。といっても明日にはここを離れるがな」
「そうなんだ残念。ねぇ、この後時間ある?」
「今日は仕事もないし暇だが」
「じゃあさ、前に別れ際にした約束覚えてる?」
「いや?忘れたな」
「『次会うことがあったら美味いもん奢ってやるよ』って約束」
「げっ」
「いやー、僕達もちょうど暇でね。グレースここの出身だよね?美味しいもの楽しみだなぁ」
「坊主は可愛げがなくなったな……約束だからな、行きつけの店に連れてってやる!」
「やった!!兄さんも一緒でいい?」
「むしろ一緒じゃないと後が怖えよ。前より用心棒っぷりが酷くなってないか?」
「そうかな?」
兄さんの視線に気づいたグレースが僕と距離を取った。
前からそうだったような気もするがよく思い出せない。とりあえず兄さんを怒らせないように距離感には気をつけよう。
グレース行きつけの店は、昼過ぎの中途半端な時間にもかかわらずほぼ満席だった。
この店は朝から営業していて、食堂とバーを一緒した飲食店のようだ。前世のバルに近いかもしれない。
「なんだ、坊主は飲まないのか?」
「16歳になるまでお酒は飲まないよ」
「真面目だねぇ」
兄さんと約束したしね。飲めるようになるまであと2年か。まだまだ先だな。
食べ物の注文はグレースにお任せした。どんなものがくるのか楽しみだ。
「乾杯」
3人で木のジョッキを鳴らす。僕は果実水、兄さんはエール、グレースはワインだ。
「俺達のパーティーがやっと銀級になってな。しばらく長期任務に入るから故郷に帰ってたんだよ」
「おお!おめでとう!」
「ありがとな。坊主は冒険者になれたのか?そうは見えないが」
「失礼な。最近銅級に昇格したよ」
「へぇ!坊主すごいな!もう銅級かよ」
「兄さんなんて2ヶ月で銅級になったよ」
「兄貴のほうは、うん、なんとなくわかるわ。2ヶ月は早すぎるけどな」
お互いの近況を話し合っていると、注文したメニューが運ばれてきた。
最初に運ばれてきたのは、具がたくさん入ったオムレツだ。ケーキのように切り分けられている。食べてみると、固焼きの卵なのにふんわりとした食感だ。具材のジャガイモは、崩れそうなくらい柔らかくて口の中でとろける。じっくりと火を通しているのだろう。野菜の甘みと香ばしさが感じられて味わい深い。
次はトマトが載ったバケットを食べてみる。トマトとオリーブオイルの風味とわずかに感じるにんにくの香りで何個でも食べられそうだ。シンプルな料理だからこそ、素材へのこだわりを感じる。
最後は、港町らしい海鮮のパエリアだ。前世が日本人だったからお米が食べられて嬉しい。品種は違うけど米は米だ。具材はエビ、イカ、貝、パプリカにトマト。サフランは入っていないようだ。前世の記憶と少しだけ違っていて面白い。一口食べるとお米の食感に驚く。日本のお米と比べると歯応えを感じるが、魚介の旨みが染み込んだお米は噛めば噛むほど美味しい。
気がつくと2人が僕の食べっぷりに注目していた。
「坊主は美味そうに食べるな」
「美味しいからね。近くにこんな美味しい店があるって知らなかった」
「普段は外食しないのか?」
「いつも僕が作ってるよ」
「そういや坊主は料理が得意だったな。それならおすすめの国がある」
「料理好きにおすすめの国?」
「ラウリア王国っていってな。そこはな、別名スパイス王国と呼ばれている」
「スパイス王国か。どんなものがあるの?」
「とにかくたくさんだ!すごかったぞ!ラウリア王国は西大陸の南にある国でな。俺達はしばらくそこで過ごしてた」
「へぇー」
「飯は美味いし、美人も多くていい国だった。踊り子のスタイルがすっげぇよくってな!坊主もそういうのに興味あるんじゃないか?」
「おい、ルカに変なこと吹き込むな」
「ひっ、すみません」
兄さんの剣幕にグレースが顔を引きつらせる。
踊り子に興味はないが、スパイス王国か。これはカレーが作れるかもしれない。ミヅホでお米を買って、ラウリア王国でカレーを作る。完璧だ。
無限収納の魔法もできたし、ちょうどいいかもね。
「ラウリア王国か。いいね。行ってみたい」
「お?坊主もそういう年頃だな」
「ルカ!」
「踊り子には一切興味ないけど、スパイスが気になる。兄さんが好きそうな料理ができるかも」
「そうか。なら行ってみたいな」
「そっちかよ。つまんねーの」
その後ラウリア王国のことやグレース達のことなど、たくさん話をして解散した。店を出るともう夜になっていた。
「じゃあな坊主。またどこかで会えたらいいな!その時は坊主が奢れよ」
「わかった。約束ね」
果たされるかわからない約束を交わす。でもなんとなく、またいつか出会えそうな気がする。
その時は約束を忘れたふりをしておこう。きっとそのほうが面白いことになるから。
そんな未来を想像して少しだけ楽しくなった僕は、大きく手を振ってグレースと別れた。
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