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冒険の旅

犯罪者ギルドの壊滅

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 ---引き続きザインSIDE---
 ザインとマカンヌは、周囲を精霊と忍術札で囲い、証拠固めの調査を始めていた。
 まぁ、マカンヌの能力ならば包囲網等一瞬で完成して居る訳だし、ザインがトリーシアを放った時点で誰一人逃げる事は叶わない状況は出来て居る。
「風よ集わん、我の元へ、我が名はあなたの友 ザイデリュゥス、顕現し賜え、其方の名はレジーナ。」
 ザインは精霊達と遊んで行くうちにレジーナには物まね《ボイスレコーダー》の才能《機能》が有る事に気付いて居た。
 そしてそれを使い、騎士団長と犯罪者ギルドの繋がりを証明する為に彼らの会話を録音する為にレジーナを放った。
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「おいおい、良いのかよ、騎士団長様が直接こんな所に来るなんてよ、誰かに見られたら不味いんじゃねぇのか?」
「ふん、そんなヘマするかよ、俺がどんな手段で騎士団に潜り込んだと思ってやがる、俺をなめるな?」
「はははは、そりゃそうだな、元お頭、コアークさんよぉ、で、今日は何の用だ?」
「お前達に消して欲しい奴がいてな、冒険者のエリーって女だ。」
「ほぉ、女か、そいつはどんななんだ?」
「まだ子供だが、容姿は悪くねぇ、実力は有るみたいで生意気になっちまってるからな、殺したく無いならきっちり調教してやって欲しいんだ。」
「ふっふっふっふ、面白そうじゃねぇか、そう言うのにうってつけの奴が数人は居るからな、拉致して立派な肉人形に仕立ててやったら良いんだろ?任せな。」
「じゃあ、頼んだぜ、報酬はいつも通り、受け渡し場所で。」
 騎士団長コアークが立ち上がる。
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「ん、証拠十分、全員捕らえる。」
「了解~、腕が鳴るわぁ~。」
 屋根裏に居た二人が動き始める。
 天井から降り立つマカンヌ、手にはエリーにお願いして素材を貰い自分で打ったあの忍刀が握られている。
 格好もすっかり忍び装束だ。
 マカンヌ自体も転生者でその知識こそ有るが、現在のそんな装備関連はすっかりエリーに毒されて居る。
 まさに真っただ中と言った所に降り立つマカンヌ。
「何者だ!」
「くノ一マカンヌ、参る!」
 マカンヌを囲んだ盗賊達がマカンヌの一太刀で倒れる。
「峰打ちだ、安心するが良い。」何故か何かが混ざったようなセリフで格好をつけたマカンヌだったが、その背後から振り下ろされるハンドアックスに気付いて居なかった。
 そこにレジーナが現れ、その攻撃を止める。
 そして近くに音も無くふわりと降り立つ魔法少女コスのザイン。
「マカンヌ、油断、ダメ。」
「あらぁ~、ありがとう~。」
「く!着けられたかっ!?」
 ギルドの頭目とコアークが裏口に向かって走り出す。
「水遁、水柱!」裏口である筈の場所から、鉄砲水が流れ込む。
「ぐぉぁっ!?」
 正面口からも脱出しようとする盗賊達が・・・
「土遁、岩牙!」戸の外から、尖った岩が飛び込んで来て塞いでしまう。
「うぉっ!なんだ!?」
「トリーシア、イーファゴーレム。」
「はぁい、やっと出番ね、滾って来たわ!」
 蔦で出来たゴーレムが出現し、その胸の辺りにトリーシアが入って、蓋のような葉が閉じる。
 そして弦を伸ばして盗賊達を一気に縛り上げて行く。
 こうしてあっと言う間に犯罪者ギルドは、壊滅するのだった。
 そしてザインは、用意周到にも、レジーナに噂話を流させる事を忘れなかった。
 風の噂っつー奴だよね。
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 雁字搦めの盗賊達とコアークを引きずりながら、蔦の巨人?が、王都の街並みを練り歩く。
 その両肩には、魔法少女コスのザインと、くノ一コスのマカンヌ。
 それを恐れながらも開いた口が塞がらない様子で眺める住人達。
 蔦の巨人は王城へ向けて歩いている。
「「「「「「「「いったい何!?」」」」」」」
 まぁ、そうだろうね。
 ザインは心の中で突っ込むのだった。
 程無くして、通報を受けた騎士団が集まって来る。
「何事だ・・・って何じゃこりゃぁ!」
「騎士団の皆さぁ~ン、悪者捕まえて来たわよ~。」
 マカンヌが蔦ゴーレムの上から、にこやかに手を振りつつ騎士団に向かって声を掛ける。
「何だって?長年に亘ってなかなかしっぽが掴めなかった連中を捕らえて来たと言うのかっ!?」
 すると、蔦に絡め取られて身動きの取れないコアークが、騎士団に向かって怒鳴る。
「貴様ら!俺を助けろ!俺だ!」
「騎士団長!?」
 驚きの声を上げる騎士団員の前にザインが立ちはだかって。
「ダメ、悪者、逃がさない。」
「ちがう!ちがうんだ! 俺は個人的に捜査をして居ただけなんだ!」
「ウソ、良くない、証拠なら、有る。」
「いや、さっき俺も噂を聞いた、気がする、騎士団長が犯罪ギルドの前任の頭目だったって噂。」
「俺も聞いた、このまま連れて行かせよう。」
「そうだな、じゃあ俺が先導する、お前達、その巨人と一緒に付いて来い。」
「ん、判った。」
「よろしくねぇ~。」
 ザインとマカンヌの両名は、つい先程勲章を受けたばかりの英雄達だったので、兵達の心証は非常に良かったのだ。
 そして謁見の間での騎士団長の失態も既に知られて居た為に誰もが騎士団長の話は聞く耳を持たなかったのだった。
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