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「サラ、起きなさい」

兄様…?枕に突っ伏してイヤイヤと抵抗する。兄様も僕と深夜までお話ししていたのに、眠くないのですか?

「あと…5分……」

「サラ、これが最後だよ?今起きないと…」

兄様が僕の肩を揺らすが、どうしても目が開けられない。

「もうどうなっても知らないからね」

兄様がため息をついている。ごめんなさい…もう少しだけ…もう少し…
僕は兄様の言葉の意味が理解出来ないまま、意識を沈めていく。
中途半端に起こされて浅い眠りであるものの、まだすがりつくように微睡んでいると、布団を剥ぎ取られ僕の身体を誰かが転がすように仰向けにした。
えっ?何?僕はまだ寝ていたいんだ…

「サラ…」

誰かが僕に囁く。
兄様はこんなに声低くないよねぇ?でも無理まだ眠っていたい。僕は頑なに目を閉じたままだ。

「に…い…?まだ…無理ぃ…」

全く目が開けられない。後5分!後5分だけ寝かせて下さい!そう思っていたら、僕の全身に強烈な寒気のようなものが走った。
えっ?えっ?な、何?一瞬で目がパッチリとはいかないが、脳が覚醒した。恐る恐る薄目を開けていくと、僕の目の前にもそもそと動く何かがあった。

「えっ?ちょっ?何?えっ?」

次の瞬間、僕の胸に濡れた何かが這うと、僕の腰がビクリとはねた。まさか…

「レシュノルティア!!!」

僕の胸元にいる物体がのそりと動くと、嫌な方の予想通り、キラキラした笑顔のレシュノルティアが顔を上げた。

「おはよう、サラ」

レシュノルティアは僕にそう言うと、いつのタイミングでボタンが外されていたのかわからないが、素肌の僕の胸に顔を埋めようとした。
僕は慌ててレシュノルティアの頭を両手で掴むと顔を強引に上げさせた。

「おはよう、じゃないですよ!何してるんですか!」

「何って、治療だけど?」

レシュノルティアは僕に掴まれたままの頭をコテンと傾けた。

「こんな朝っぱらから何してるんですか!寝込みを襲うだなんて、犯罪ですよ!犯罪!」

「誤解しないでくれ。俺はちゃんとリンドウの許可を得て部屋に入ったし、治療に関しては昨日同意してくれただろ?」

「知りませんよ!!とにかく僕の上からどいてください!」

何か右胸が痒いし!レシュノルティアの頭から手を離して右胸を掻こうとして気付いた。
あれ?乳首が……ある?ハッとして自身の乳首を見ると、少しずつ沈んでいくところだった。

「えっ、何で?どういうこと?」

「だから治療していたと言っただろう?」

レシュノルティアはニッと笑うと、僕の手を掴むと、赤い舌を見せつけるようにして沈みかけていく僕の乳首をひと舐めした。
ゾワゾワとした感覚がまた僕の身体を襲う。

「んっ…」

「舐めて吸って、優しく弄ってやると、サラの恥ずかしがり屋な乳首はやっと顔を出してくれるんだよ」

「そ、そんな…」

こんな恥ずかしいことされないと僕の乳首は治らないの?

「継続して治療したら癖がついて治るから、頑張ろうな?」

継続してって、いつまで?何回で?

「はぁ…サラの勃起乳首可愛い…」

レシュノルティアはうっとりとした顔をして言うと、呆然としている僕の乳首に吸い付いた。

「やっ!やめーーいぃ!!」

治療プランは一度練り直させてくれ!!
だがレシュノルティアから逃れようとする僕は、腕は掴まれ拘束されており、開いた足の間にレシュノルティアが居るため、下半身に体重をかけられて動きを止められている。動けない…しかも…

「サラ、勃ってるね」

「朝だからだよ!生理現象!どいて!起きるからどいてってば!」

「そうだな、俺も勃ってる。ほら、一緒だ」

レシュノルティアが体重をかけた身体を前後に揺らして、硬い何かを僕に擦り付けた。
ひいぃぃ!!
違う、これはアレじゃない。僕に擦り付けられているものはあまりにも大きすぎる。うん、現実的でない。直接見えているわけではないから、嘘だよ。

「ご、御冗談はよしてください。とりあえず僕は一旦起床の準備をしたいので、どいてもらえませんか?」

「まだ起きるのには早い。治療優先でも大丈夫だ」

「えっ?」

僕は何とか首だけを動かして窓を見る。少し開けられたカーテンの隙間から見える空は、まだ薄ぼんやりとしていて、夜が明けきってないようだ。

「僕の貴重な睡眠時間を返せ!」

「あぁ、サラは眠ってて良いよ。俺が勝手に治療しておくから」

どこの世界に乳首弄られながら眠れる奴が居るんだ!変態かっ!いや、最初からコイツは変態だった。
冷静になれ、冷静になれ…呪文のように自分に言い聞かせる。
どうすれば穏便に僕の上からどいてくれるのか…

「う…」

僕がグルグルと考えている間にもレシュノルティアは刺激に慣れていない僕の乳首を舐めて吸おうとする。
このままでは駄目だ。

「うぅ…嫌だ……うぐ…怖い……」

必殺!泣き落とし!
僕は生粋の弟気質だから、悲劇のヒロインぶって涙を流すくらい、簡単…ではないけど、出来ないことはない!実際震えるフリをして涙を浮かべている。

「さ、サラ、ごめん、ごめんな?怖かったな?」

レシュノルティアは震える僕を見てオロオロしはじめた。案外チョロいな。
名残惜しそうではあるが、テキパキと僕の服のボタンを直すと、まるで宝物でも扱うように優しく僕を抱きしめた。

「怖がらせてごめん。サラが可愛くて自分が抑えられなかった」

「じゃあ…もう二度としないでください」

「それは無理だ」

何でだよ!と思いつつ涙目で睨みつけると、レシュノルティアは困った顔をして、キッパリと拒否した。

「サラに怖い思いはさせたくないけど、このままでは怖い思い以上のことが起きてしまう」

「どういうことですか?」

「もう…限界なんだ…己の理性だけでは止められない、ギリギリの状態なんだよ」

意味がわからない。僕が理解出来るように説明してよ。
僕の頭に?マークが浮かんでいるのが分かったのか、レシュノルティアは溜息をついた。

「正直、昨日の時点で実行する予定だったが、何とか今日まで我慢した俺を褒めてくれ」

「何のことか分かりませんが、嫌です」

「俺は今日、サラを抱くつもりで来ている。泣いて叫んで拒絶されても、絶対に抱く。さっきはちょっと泣き顔に怯んでしまったが、もう大丈夫だ」

「はぁっ!?何が大丈夫だ、だ!?」

何その犯罪宣言?昨日の賭けのこと、もうお忘れですか?まだ勝負もしていないのに、勝手に僕をどうにかしようとおっしゃいましたか?

「賭け勝負のことお忘れですか?」

「忘れてなどいない。だが、勝負の前に身体の関係を持ってはいけないという決まりもない。そして俺とサラは婚約関係にある。両家の許可も既に取っている。そこにお互いの気持ちがあるかないかだけだ」

やばい。これはやばい。貞操の危機だ。
両家の許可とは?父上、僕の純潔を売ったのですか?酷い!

「貴方は僕に一生拒絶されても良いのですか?確実に嫌いになりますよ?」

「身体から落とす自信がある」

胸を張ってレシュノルティアが自信満々に言い切った。マジかよ。
というかこんな話、寝不足の頭でベッドの上でするもんじゃない。

「一旦離れてください。冷静に考えたいので、顔洗ってきます」

「サラ、そのままでいくつもりか?」

え?レシュノルティアの言葉が理解できずにいると、レシュノルティアは僕の腰を撫でた。
あっ……僕勃ったままじゃん…腰撫でるなよ!

「トイレに行って抜いたらいいだけなので」

僕がそう言うと、レシュノルティアが僕の腰を撫でていた手で掴んだ。

「勿体無い。俺が抜いてやる」

「へっ?」

という間抜けな声を出しつつ状況が掴めずにいると、腰を掴まれたままベッドに押し倒された。
すると光の速さで寝巻きをたくし上げられ、穿いていたパンツを強引に剥ぎ取られるとベッドサイドに投げられた。

「ぎゃーーー!!」

僕は思い切り悲鳴をあげた。うん、叫んだはずなのに…僕の叫び声が響いているだけで、誰かが僕の部屋に駆け付けてくれるような気配はない。

「待って待って待って!!」

「涙は引っ込んでいるようで良かったよ」

レシュノルティアは僕を飢えた獣みたいな目で見下ろして、喉をゴクリと鳴らした。
はっ!僕今パンツ取られてんじゃん!慌てて下半身を隠そうとしたけど、時既に遅し。
僕の勃ったソレはレシュノルティアの口の中に収まってしまったのだった…
もうね、どうしようもないよね。そもそも体格的にも力じゃ勝てないし、嘘泣きもバレてるし。
ふ、フェ…もごもごなんて、知識だけはあっても僕にとって未知の世界だし、口に含まれただけでも衝撃が強すぎて、抵抗出来ると思う?無理無理。

「あっ…」

僕の可愛い息子がレシュノルティアの舌と唇に弄ばれている。衝撃的すぎて全身に力が入りませんよ。どうしてくれるんですか!
恥ずかし過ぎて僕は顔を自分の腕で覆うことしかできない。こうなってしまっては仕方ないとして(仕方無くないけど!)、早く終わってくれ。どうか早く!!!いや、終わったら終ったで僕の人生も終わりそうだ!あーーー!!

「んんっ…もっ…」

ゾクゾクと全身に鳥肌が立った。こ、これは…出ちゃう!出そう!出そうです!口を!離してください!レシュノルティアは無言で僕の息子を扱くように咥えつつ、舌でねっとりと僕を追い詰める。喋られるのも嫌だが、無言も怖いよ!
僕の足がピンと伸びると、次の瞬間僕は我慢出来ずに吐精した。レシュノルティアの口の中に…殺してくれ…今すぐ僕を殺してくれ!!

「ふぅう…うぐ…酷い…」

顔を隠していた腕を外して、顔を上げたレシュノルティアを睨みつけると、レシュノルティアはにっこり笑って薄っすら口を開け、べぇっと舌を出して中の僕が吐き出したものを見せ付けると、ゴクリと飲み込んだ。

「変態!!変態!!」

僕はレシュノルティアの頭をペシペシと叩くが、掴まれた腰から手が離されることもなく、ククッとレシュノルティアが笑うだけだった。

「サラの味は極上だな。毎日でも飲みたい」

デレっとした顔で言うな!

「変態!!!」

「気持よくなかったか?」

「そういう問題以前のことだよ!同意もなしに僕を辱めて、変態!鬼畜!もう!もう!お婿に行けない…」

「サラ、心配することはない。お婿に行かせるつもりもないし、サラは俺の嫁なんだから素直に気持ち良くなっていればいい」

レシュノルティアは僕の胸にチュっとキスを落として恐ろしい事を言う。

「……もう嫌だ…」

吐精した疲れと寝不足とで、僕は目を閉じて意識を手放した。というか気絶した。
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