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3.カルロス様にお願いしました
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バルコニーにいた人たちはカルロス様の姿を見て皆さん青い顔をして出て行ってしまったわ。私は無性に腹が立って、
「なんて失礼なのかしら。カルロス様はこの国の為に一生懸命働いてくださっているのに、酷すぎるわ。」
「ロザリー嬢は私のことが怖くないのかい?」
「全く怖くないですわ。とても頼もしいと思います。この分厚い胸も太い腕も…失礼しましたわ。」
私は抱っこされているのをいいことにちょっとだけ胸と腕を触らしてもらったわ。カルロス様は目を丸くして驚いていたけど、すぐに降ろされてしまったわ。残念…。
「実は私は、カルロス様のような体躯の方が好きなのですが、近くにおられないのです。カルロス様は以前国王陛下に女性は嫌いだとおしゃっていたのをお聞きしたのでご安心ください。カルロス様のことは残念ですが、すでに諦めております。ですが、せめて似たような方をご紹介いただけないかと思いお呼び出しした次第です。」
「ええっと、すまない、びっくりし過ぎて頭が混乱しているようだ。君のように美しい女性が私のような体躯の者を好むというのか?私は耳がおかしくなったのだろうか?」
「カルロス様に美しいと言っていただけるなんて、社交辞令だと分かっていても嬉しいです。」
「君は何を言っているんだい?君が美しいことはこの国の者なら誰でも知っているだろう。そして私が猛獣と呼ばれていることも…。」
「カルロス様、私はひょろっとした男性は好きではありません。がっしりとして頼りがいのある、カルロス様のように筋肉が沢山ある方が理想なのです。」
「そうか…、すまない。二十八年生きてきた経験が、初めて混乱をきたしているようだ。とりあえず、ロザリー嬢の気持ちは理解した。一つだけ誤解を解きたいのだが、いまは仕事中なのでさすがに無理だ。今日の話の続きをしたいのだが、後日改めて会ってもらえないだろうか。」
「えっ?カルロス様が会ってくださるのですか?苦痛ではないですか?」
「全く苦痛ではない…。その時にそのことについても話したいと思うがいいだろうか?」
「もちろんですわ。私はカルロス様のことが一番本当は好きなのですから。どんなに体調が悪くてもその日は会いますわ。」
「いや、そこまでしてもらわなくても良いのだが…。」
「いえ、私がしたいのです。カルロス様あとから、やっぱりなしなんてことはないですよね?」
「ああ、絶対に会いに行く。」
「では、次のお休みはいつですか?」
「次は丁度明日だが…。」
「明日お待ちしていてもよろしいですか?」
「明日?そんなに急では宰相殿がお困りにならないだろうか?」
「大丈夫です。お父様は私の為に屈強な体躯の持ち主を国中探してくださるおつもりなんですよ。そのようなお父様がカルロス様の訪問を嫌がるわけがございません。」
「何、国中探す。それはもう始めてしまったのだろうか?」
「いえ、カルロス様に聞いてからにしてもらったのでまだです。」
「そうか、それは良かった。では、明日十三時に伺わせてもらうこととする。それでいいだろうか?」
「もちろんですわ。では明日、お待ちしておりますね。」
「ああ、明日。では、ホールまでもう一度送ろう。」
今度はきちんと腕を貸していただけたわ。ただ、太すぎてほとんど回せなかったけど…。ホールの中ではお父様が待っていてくださって、
「お父様のおかげでお話ができました。明日、詳しいお話をするために、ハイゼル公爵家に来て下さるそうです。」
「そうか、良かったね。それにしても、カルロス君、うちの娘を抱きかかえるとはどういうつもりだね。」
「すみません、宰相殿、てっきり誰かにご令嬢は脅されているものだと勘違いしまして…。」
「まぁ、娘が幸せそうだから許すが、次はないからな。」
「はい、もちろんだす。すみませんでした。」
「えっ?もうだめなんですか?」
「だめだよ、ロザリー。婚約者でもない男性に抱っこなどされてはお嫁に行けなくなるんだよ。」
「そうですか、分かりましたわ、お父様。」
「ロザリー、今日はもう帰ろうか?帰って、明日のことを侍女のエマと相談しなさい。」
「そうですわね。お父様は本当に頼りになりますわ。カルロス様、明日お待ちしております。」
「ああ、必ず伺うので待っていて欲しい。」
それから私はお父様と急いで帰ろうとしたのだけど、お父様が国王陛下に呼ばれてしまって、仕方なく少しだけ待つことになったの。
「幸せ過ぎて顔がニヤけてしまうわ。明日またお会いできるなんて、うふふ。」
そんなことを考えていると、イザベラが
話しかけてきたの。
「なにをニヤニヤしているのよ、気持ち悪い。頭でも打ったの?あなたカルロス様が好みって本気なの?」
「ええそうよ。素敵だと思わない?」
「あなたは馬鹿なの?猛獣のどこがいいのよ。」
「そんな言い方しないでちょうだい。イザベラとは男性の好みが違うのよ。」
「人が心配して言ってあげてるんじゃない。」
「心配いらないわ。だって近衛騎士団長さまよ。」
「心配するわよ。この国一番の美男子と言われる私のお兄様はどうなるのよ。」
「なんで、イザベラのお兄様が出てくるのよ。ジルド様はとてもお優しいし、それこそ、この国一番の美男子なんだからお相手には困らないでしょう?」
「困らないわよ。でも釣り合いってものがあるでしょう、美男には美女よ。」
言いたいことだけ言うとイザベラはどこかへ行ってしまったわ。本当にイザベラとジルド様は兄妹なのかしら?ジルド様は温厚であんなにお優しいのに。
それから急いでハイゼル公爵家に帰って来て、私は一生懸命今日の話を侍女のエマにしたのだけど、この反応は本日何人目かしら?猛獣という言葉と、私の悲しそうな顔を見て、協力すると言ってくれたあとに、国中から探すというくだりまで、どこかに台本でもあるのかしら?やっといま、明日の十三時にカルロス様が来てくださると伝えられたわ。流石に疲れたわね。それからエマは、どうせならカルロス様の女性嫌いもお嬢様の美しさで治してあげたらいいのですわ。もしかしたらもう治っているかもしれませんよ。なんて嬉しいことを言ってくれていたけど、話の途中で眠すぎて寝落ちしてしまったの。エマ、寝落ちしてごめんなさいね。明日は頑張るから早めに起こしてちょうだいね。
私は半分夢の中で謝りながら眠ってしまったの。
「なんて失礼なのかしら。カルロス様はこの国の為に一生懸命働いてくださっているのに、酷すぎるわ。」
「ロザリー嬢は私のことが怖くないのかい?」
「全く怖くないですわ。とても頼もしいと思います。この分厚い胸も太い腕も…失礼しましたわ。」
私は抱っこされているのをいいことにちょっとだけ胸と腕を触らしてもらったわ。カルロス様は目を丸くして驚いていたけど、すぐに降ろされてしまったわ。残念…。
「実は私は、カルロス様のような体躯の方が好きなのですが、近くにおられないのです。カルロス様は以前国王陛下に女性は嫌いだとおしゃっていたのをお聞きしたのでご安心ください。カルロス様のことは残念ですが、すでに諦めております。ですが、せめて似たような方をご紹介いただけないかと思いお呼び出しした次第です。」
「ええっと、すまない、びっくりし過ぎて頭が混乱しているようだ。君のように美しい女性が私のような体躯の者を好むというのか?私は耳がおかしくなったのだろうか?」
「カルロス様に美しいと言っていただけるなんて、社交辞令だと分かっていても嬉しいです。」
「君は何を言っているんだい?君が美しいことはこの国の者なら誰でも知っているだろう。そして私が猛獣と呼ばれていることも…。」
「カルロス様、私はひょろっとした男性は好きではありません。がっしりとして頼りがいのある、カルロス様のように筋肉が沢山ある方が理想なのです。」
「そうか…、すまない。二十八年生きてきた経験が、初めて混乱をきたしているようだ。とりあえず、ロザリー嬢の気持ちは理解した。一つだけ誤解を解きたいのだが、いまは仕事中なのでさすがに無理だ。今日の話の続きをしたいのだが、後日改めて会ってもらえないだろうか。」
「えっ?カルロス様が会ってくださるのですか?苦痛ではないですか?」
「全く苦痛ではない…。その時にそのことについても話したいと思うがいいだろうか?」
「もちろんですわ。私はカルロス様のことが一番本当は好きなのですから。どんなに体調が悪くてもその日は会いますわ。」
「いや、そこまでしてもらわなくても良いのだが…。」
「いえ、私がしたいのです。カルロス様あとから、やっぱりなしなんてことはないですよね?」
「ああ、絶対に会いに行く。」
「では、次のお休みはいつですか?」
「次は丁度明日だが…。」
「明日お待ちしていてもよろしいですか?」
「明日?そんなに急では宰相殿がお困りにならないだろうか?」
「大丈夫です。お父様は私の為に屈強な体躯の持ち主を国中探してくださるおつもりなんですよ。そのようなお父様がカルロス様の訪問を嫌がるわけがございません。」
「何、国中探す。それはもう始めてしまったのだろうか?」
「いえ、カルロス様に聞いてからにしてもらったのでまだです。」
「そうか、それは良かった。では、明日十三時に伺わせてもらうこととする。それでいいだろうか?」
「もちろんですわ。では明日、お待ちしておりますね。」
「ああ、明日。では、ホールまでもう一度送ろう。」
今度はきちんと腕を貸していただけたわ。ただ、太すぎてほとんど回せなかったけど…。ホールの中ではお父様が待っていてくださって、
「お父様のおかげでお話ができました。明日、詳しいお話をするために、ハイゼル公爵家に来て下さるそうです。」
「そうか、良かったね。それにしても、カルロス君、うちの娘を抱きかかえるとはどういうつもりだね。」
「すみません、宰相殿、てっきり誰かにご令嬢は脅されているものだと勘違いしまして…。」
「まぁ、娘が幸せそうだから許すが、次はないからな。」
「はい、もちろんだす。すみませんでした。」
「えっ?もうだめなんですか?」
「だめだよ、ロザリー。婚約者でもない男性に抱っこなどされてはお嫁に行けなくなるんだよ。」
「そうですか、分かりましたわ、お父様。」
「ロザリー、今日はもう帰ろうか?帰って、明日のことを侍女のエマと相談しなさい。」
「そうですわね。お父様は本当に頼りになりますわ。カルロス様、明日お待ちしております。」
「ああ、必ず伺うので待っていて欲しい。」
それから私はお父様と急いで帰ろうとしたのだけど、お父様が国王陛下に呼ばれてしまって、仕方なく少しだけ待つことになったの。
「幸せ過ぎて顔がニヤけてしまうわ。明日またお会いできるなんて、うふふ。」
そんなことを考えていると、イザベラが
話しかけてきたの。
「なにをニヤニヤしているのよ、気持ち悪い。頭でも打ったの?あなたカルロス様が好みって本気なの?」
「ええそうよ。素敵だと思わない?」
「あなたは馬鹿なの?猛獣のどこがいいのよ。」
「そんな言い方しないでちょうだい。イザベラとは男性の好みが違うのよ。」
「人が心配して言ってあげてるんじゃない。」
「心配いらないわ。だって近衛騎士団長さまよ。」
「心配するわよ。この国一番の美男子と言われる私のお兄様はどうなるのよ。」
「なんで、イザベラのお兄様が出てくるのよ。ジルド様はとてもお優しいし、それこそ、この国一番の美男子なんだからお相手には困らないでしょう?」
「困らないわよ。でも釣り合いってものがあるでしょう、美男には美女よ。」
言いたいことだけ言うとイザベラはどこかへ行ってしまったわ。本当にイザベラとジルド様は兄妹なのかしら?ジルド様は温厚であんなにお優しいのに。
それから急いでハイゼル公爵家に帰って来て、私は一生懸命今日の話を侍女のエマにしたのだけど、この反応は本日何人目かしら?猛獣という言葉と、私の悲しそうな顔を見て、協力すると言ってくれたあとに、国中から探すというくだりまで、どこかに台本でもあるのかしら?やっといま、明日の十三時にカルロス様が来てくださると伝えられたわ。流石に疲れたわね。それからエマは、どうせならカルロス様の女性嫌いもお嬢様の美しさで治してあげたらいいのですわ。もしかしたらもう治っているかもしれませんよ。なんて嬉しいことを言ってくれていたけど、話の途中で眠すぎて寝落ちしてしまったの。エマ、寝落ちしてごめんなさいね。明日は頑張るから早めに起こしてちょうだいね。
私は半分夢の中で謝りながら眠ってしまったの。
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