麗しの勘違い令嬢と不器用で猛獣のような騎士団長様の純愛物語?!

miyoko

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10.デートの日がきました。馬車の中で色々とお話ししました。

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私は丁寧に一針一針心を込めて刺繍したハンカチを持って、行きたいところリストも持って準備万端でカルロス様の馬車を待っているところ。今日はカルロス様の瞳の色の紫のドレスにカルロス様の髪色の真っ赤なイヤリングとブローチを付けているわ。ドキドキするけどすごく楽しみ。カルロス様の馬車が見えてきたわね。
「ロザリー嬢、お待たせしただろうか?」
「いえ、ピッタリのお時間ですわ。」
「それでは侍女殿ロザリー嬢をお借りします。夕方までには必ず帰りますので。」
「はい、お嬢様カルロス様のそばを離れてはいけませんよ。」
「ええ、気をつけるわ。」
カルロス様にエスコートされて馬車の中へ、手がごつごつしていて大きいわ。私の両手が片手で覆えちゃうんじゃないかしら?馬車に乗ると、カルロス様の体が大きいので中が狭く感じたわ。膝もちょっと動くとぶつかりそうだし、
「ロザリー嬢、今日はどこから行くんだい?」
「私の好きな雑貨屋さんからでもよろしいですか?」
「もちろん。楽しみだ。可愛らしい小物を見るのは好きなんだ。」
「そうでしたか、嬉しいですわ。一緒に色々見てくださいますか?」
「ああ、もちろんだ。」
「御者の方には先程エマがこの用紙と同じ物を渡してくれているのですが、すべて行くのは無理なので行けそうなところをあとで選びませんか?」

「ああ、楽しみだ。」
ああ、またカルロス様の微笑みをまじかで見てしまったわ。心臓がドクドクとうるさいわ。
「ロザリー嬢、その、今日の服装ももしかして。」
「ええ、もちろん、カルロス様の色です。どうですか?」
「ああ、とても似合っている。私の色を着てくれてありがとう。」
「とんでもないですわ。私が着たくて着たんです。それより、これを頂いてはもらえないでしょうか?」
「これを私に?開けてもいいかな?」
「もちろんです。」
「これは、私のために作ってくれたのか?」
「はい、刺繍は得意なんです。」
「本当に上手だ。嬉しい。ずっと大切に飾っておきたい。」
「いえ、ハンカチですので、必ずお使いください。また作りますので。」
「分かった、ありがとう。」
カルロス様の本当に幸せそうな笑顔を見たら、胸が苦しくって、このまま天国に逝ってしまいそうで怖いわ。普段の鋭い眼差しから急に優しく微笑まれると、そのギャップが凄くて心臓がキュンってなるし、あの薄い唇の口角が上がるとドクンってなるし、心臓がキュン、ドクン、キュン、ドクンって忙しいのよ。それに私の目の高さに素敵な胸板があってかなり心臓に悪いわ。幸せで死にそうになることもあるのね。

「ロザリー嬢、どうかしたのかい?」
「いえ、ただ、幸せ過ぎて死にそうになることもあるのだと思っていただけですわ。」
「本当だな。私の心臓も稽古をつけている時よりもすごいぞ。」
「本当ですか?私はカルロス様のお胸の筋肉を見たらたぶん興奮して死んでしまいます。ですが私の顔の位置が丁度お胸の位置で目のやり場に先程から困っております。」
「ふふふ、ロザリー嬢は本当に私の体躯が怖くはないんだね。嬉しいよ。夢の中にいるみたいだ。」
「私も先程からふわふわと、とても素敵な夢を見ているような感じですの。」
「カルロス様のお好きな物を聞いてもいいですか?」
「好きな物?食べ物なら甘いものが好きだな。飲み物はコーヒーより紅茶が好きかな。ロザリー嬢は何が好きなんだい?」
「コーヒーは苦くて苦手です。紅茶はミルクティーが好きです。甘いものは大好きです。カルロス様はなんのお花が好きですか?」
「実は道端に咲いているような花が好きなんだ。例えば小指の爪ほどもない青い花、名前は知らないがあれが風でそよそよと揺れるのは可愛らしいと思う。」
「分かります。あれはたしか、とても長い名前なんですよ。オオイヌノフグリだったかしら?」
「あの花に名前があったのか。知らなかったな。ところで、ロザリー嬢はイザベラ嬢と仲がいいのかい?」
「どうして、イザベラ嬢の名前が出てくるのですか?どちらかというと苦手ですわ。」
「そうなのか、ジルド殿に昨日、妹からロザリー嬢と私がお付き合いを始めることを聞いたが本当か尋ねられてね。びっくりしたんだよ。」

「まだ誰にもお付き合いのことはお話しておりませんが、あのパーティーにイザベラも来ていたので、私がカルロス様のことが好みだということはお伝えしましたわ。いけませんでしたか?」
「好み…それは嬉しい…問題ないな。」
「私が友と呼べるのはたぶんクレアだけです。イザベラもよく話しかけてはくれますのであちらは私のことを友だと思ってくれているのかもしれませんがいつも言いたいことだけ言ってどこかへ行ってしまうんですよ。でもイザベラのお兄様のジルド様はお優しくて素敵な方ですよ。」
「そうか、ジルド殿は素敵な方か…。」
「あっ、誤解しないでください。容姿は好みではありませんの。でも、いつも優しく皆さんに接している姿は好感が持てるということです。」
「イザベラ嬢とジルド殿はたしか血がつながっていなかったね。」
「そうなのですか?」
「ああ、そうだよ。ニクルス公爵は前妻との間に子供が生まれなくてね、弟殿から一人養子をもらっている。それがジルド殿だ。その後すぐに、前妻殿が病気で亡くなられて、後妻に入られた夫人との間に生まれたのがイザベラ嬢だ。」
「そうだったのですね。イザベラはジルド様の言う事だけはとてもよく聞くのですよ。ですから、性格は似ても似つきませんが、本当のお兄様だと思っておりました。」
「ふふふ、意外とロザリー嬢は物事をはっきりというのだね。」
「・・・こういう令嬢はお嫌いですか?」
「いや、遠回しに言われては私には伝わらないから、好ましく思う。」
「そ、そうですか。」
二人で照れていると、御者の方が付いたことを教えてくれたわ。


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