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31.カルロス視点:ロンだけが頼りだ
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俺は次の日、女性の閨の教育についてロンに聞いてみた。
「お前な、俺がなんでも知っていると思ったら大間違いだからな。」
「そんなことは思っていない。それでも俺よりは知っているだろう?」
「それはそうかもしれないが、聞きたくはないが聞かないとロザリー嬢の命に関わりそうだな…。どうして急に女性の閨の教育について知ろうと思ったんだよ。」
「それはだな。ロザリーは誰からも閨について教わったことがなくてだな。侍女殿が私を推薦したらしいんだ。だからなんとしてもロザリーのペースで怖がられることなく進めないといけないのだが…。」
「何かしちまったのか!」
「ああ、やってしまったな。」
「やってしまった⁉」
「倒れた。たぶん酸欠だ…。」
「酸欠?どうしたら酸欠になるんだ?」
「どうって、まずはキスからだと思って教えていたんだ。舌を絡ませて欲しくてだな…そのうち俺がロザリーの舌に吸い付いてしまって、たぶん彼女の吸うべき空気ごと吸ってしまったんだろうな…。そんな時に思いっきり胸を揉んでしまったから…胸が押されて息が吸えなかったんだろう…。苦しかったよな…。」
「なにを冷静に分析してるんだよ!お前はロザリー嬢を殺す気か?」
「あんなにか弱いご令嬢なんだぞ、そこら辺のご令嬢とはわけが違うんだ!キスも含めて全てソフトに終わらせろ!なにが舌を絡ませたいだ!猛獣の舌は既に人間の舌じゃないんだよ。牛だ牛!分かったら二度とロザリー嬢の口の中に舌を入れるな!」
「牛!そ、そうか、二度と入れない…。全てソフトに、難しいな…。」
「とにかく彼女の息づかいに神経を集中させろ、ずっと顔を見ていろ、子犬か子猫を撫でる感覚で触るんだ!分かったか?」
「そんなに優しく触るのか?知らなかった…。」
「それくらいでお前の場合は丁度いいんだよ。」
「ロンに聞いて良かったよ。もう少しでロザリーに怪我をさせるところだった。」
「・・・」
「ところでお前は伯爵家だし、元は嫡男だから閨の教育は受けたんだろう?」
「受けたには受けたな…。」
「どういう意味だよ?」
「やり方は聞いたし、見た。しかし実際に行う段階になったらというか、裸になった時点で教育係が逃げて行ったからな。」
「・・・それでよく、ロザリー嬢の教育係を引き受けたな…。」
「だからこそだ、普通を知ってほしくなかったんだ…。」
「なるぼどな。まぁ、頑張ってみろよ。ゆっくり時間はあるんだからな。」
「私を怖がらないだろうか…。」
「どうだろうな、こればかりはロザリー嬢にしか分からないな。この一年でお前のことをもっと好きにさせておけば大丈夫だろう…。」
「もっと好きにか。ありがとうロン。」
「ああ、とにかく焦るなよ。ロザリー嬢のことは子猫だと思うんだぞ。」
「ああ、分かった。」
「話は変わるが、ビンツがあれからどうなったか知ってるか?」
「北の塔にぶち込まれたんだろう?」
「そのはずだったんだが、替え玉を使って逃げたらしいんだ。」
「えっ?」
「ビンツの母親は元々隣国の王女だっただろう。隣国は古代の魔術を使える者がほんの一握りだがまだいるらしくてな、どうやらその魔法使いに頼んで替え玉とすり替えたらしいんだ。替えられた者はずっと人違いだと言っていたらしいが守衛は無視をしていたそうだ。まぁそうなるわな。ところが魔法が解けて今朝その男が全くの別人だと分かっって大騒ぎさ。これはまだ公になっていないんだが、そこの守衛が俺の幼馴染でな、お前にロザリー嬢のことをしっかり守るように伝えてくれとさっき言われたんだ。どうやらまだロザリー嬢のことを諦めていないらしいからな…。」
「そのことは宰相殿も国王陛下もご存知なのか?」
「もちろんだ。今、隣国に使者を出して、魔法の痕跡を辿ってもらうようにお願いしているところらしい。もしもそちらにビンツが逃げて来た時は速やかにこちらに引き渡してもらうことになっているから安心しろ。因みにジルド殿がそちらに向かってくれているらしいぞ。既にパシュー国の方は第三王子が陛下に就任し、落ち着いてきているようだ。第三王子はなかなかキレる男らしい。それよりも俺はジルド殿のことを勘違いしていたみたいだな…。」
「ああ、俺もだ。ジルド殿は信用できる男だ。一人の女性をずっと愛せる人に悪い人はいない。」
「俺もその件に関しては同感だ。それにしてもお前は相変わらず、恥ずかしいことをよくその顔で平気で言うな。」
「顔は関係ないだろうが。」
「あるんだよ。俺が恥ずかしくなるんだよ。その顔で愛する人って言った時に顔を赤くするな!」
「ロン、俺は元々照れ屋なんだ、その上経験も無いんだぞ!少しは大目に見てくれ。」
「たしかに…以前王妃様に褒められただけで真っ赤になっていたな…。」
「そういうことだ。」
「たしかあの時は王妃様の飼い猫を見つけてさしあげたんだったな。」
「そうだ、それで、『この子は優しい方にしか懐かないからカルロスはお優しいのね』って王妃様に微笑まれて、真っ赤になってしまったのだ…。」
「そう言えば、王妃様も少しもお前を怖がらないな。」
「王妃様は幼い頃に陛下と一緒に俺の祖父の肩に乗って喜んでいたそうだから…お美しいが心は強いお方だぞ。」
「あの方の飼い猫も太り過ぎで凶暴で有名だもんな…。あの猫を可愛らしいって言っておられるってことはそういうことか…。」
「そこで俺を見るな!失礼なやつだな。」
「とにかく、ロザリー嬢のことをしっかり守ってやれよ。」
「ああ、分かった。ありがとう。」
俺が手を回すまでもなく、既にロザリーは宰相殿と共に王宮に来ており、宰相殿の執務室で過ごしていた。
「お前な、俺がなんでも知っていると思ったら大間違いだからな。」
「そんなことは思っていない。それでも俺よりは知っているだろう?」
「それはそうかもしれないが、聞きたくはないが聞かないとロザリー嬢の命に関わりそうだな…。どうして急に女性の閨の教育について知ろうと思ったんだよ。」
「それはだな。ロザリーは誰からも閨について教わったことがなくてだな。侍女殿が私を推薦したらしいんだ。だからなんとしてもロザリーのペースで怖がられることなく進めないといけないのだが…。」
「何かしちまったのか!」
「ああ、やってしまったな。」
「やってしまった⁉」
「倒れた。たぶん酸欠だ…。」
「酸欠?どうしたら酸欠になるんだ?」
「どうって、まずはキスからだと思って教えていたんだ。舌を絡ませて欲しくてだな…そのうち俺がロザリーの舌に吸い付いてしまって、たぶん彼女の吸うべき空気ごと吸ってしまったんだろうな…。そんな時に思いっきり胸を揉んでしまったから…胸が押されて息が吸えなかったんだろう…。苦しかったよな…。」
「なにを冷静に分析してるんだよ!お前はロザリー嬢を殺す気か?」
「あんなにか弱いご令嬢なんだぞ、そこら辺のご令嬢とはわけが違うんだ!キスも含めて全てソフトに終わらせろ!なにが舌を絡ませたいだ!猛獣の舌は既に人間の舌じゃないんだよ。牛だ牛!分かったら二度とロザリー嬢の口の中に舌を入れるな!」
「牛!そ、そうか、二度と入れない…。全てソフトに、難しいな…。」
「とにかく彼女の息づかいに神経を集中させろ、ずっと顔を見ていろ、子犬か子猫を撫でる感覚で触るんだ!分かったか?」
「そんなに優しく触るのか?知らなかった…。」
「それくらいでお前の場合は丁度いいんだよ。」
「ロンに聞いて良かったよ。もう少しでロザリーに怪我をさせるところだった。」
「・・・」
「ところでお前は伯爵家だし、元は嫡男だから閨の教育は受けたんだろう?」
「受けたには受けたな…。」
「どういう意味だよ?」
「やり方は聞いたし、見た。しかし実際に行う段階になったらというか、裸になった時点で教育係が逃げて行ったからな。」
「・・・それでよく、ロザリー嬢の教育係を引き受けたな…。」
「だからこそだ、普通を知ってほしくなかったんだ…。」
「なるぼどな。まぁ、頑張ってみろよ。ゆっくり時間はあるんだからな。」
「私を怖がらないだろうか…。」
「どうだろうな、こればかりはロザリー嬢にしか分からないな。この一年でお前のことをもっと好きにさせておけば大丈夫だろう…。」
「もっと好きにか。ありがとうロン。」
「ああ、とにかく焦るなよ。ロザリー嬢のことは子猫だと思うんだぞ。」
「ああ、分かった。」
「話は変わるが、ビンツがあれからどうなったか知ってるか?」
「北の塔にぶち込まれたんだろう?」
「そのはずだったんだが、替え玉を使って逃げたらしいんだ。」
「えっ?」
「ビンツの母親は元々隣国の王女だっただろう。隣国は古代の魔術を使える者がほんの一握りだがまだいるらしくてな、どうやらその魔法使いに頼んで替え玉とすり替えたらしいんだ。替えられた者はずっと人違いだと言っていたらしいが守衛は無視をしていたそうだ。まぁそうなるわな。ところが魔法が解けて今朝その男が全くの別人だと分かっって大騒ぎさ。これはまだ公になっていないんだが、そこの守衛が俺の幼馴染でな、お前にロザリー嬢のことをしっかり守るように伝えてくれとさっき言われたんだ。どうやらまだロザリー嬢のことを諦めていないらしいからな…。」
「そのことは宰相殿も国王陛下もご存知なのか?」
「もちろんだ。今、隣国に使者を出して、魔法の痕跡を辿ってもらうようにお願いしているところらしい。もしもそちらにビンツが逃げて来た時は速やかにこちらに引き渡してもらうことになっているから安心しろ。因みにジルド殿がそちらに向かってくれているらしいぞ。既にパシュー国の方は第三王子が陛下に就任し、落ち着いてきているようだ。第三王子はなかなかキレる男らしい。それよりも俺はジルド殿のことを勘違いしていたみたいだな…。」
「ああ、俺もだ。ジルド殿は信用できる男だ。一人の女性をずっと愛せる人に悪い人はいない。」
「俺もその件に関しては同感だ。それにしてもお前は相変わらず、恥ずかしいことをよくその顔で平気で言うな。」
「顔は関係ないだろうが。」
「あるんだよ。俺が恥ずかしくなるんだよ。その顔で愛する人って言った時に顔を赤くするな!」
「ロン、俺は元々照れ屋なんだ、その上経験も無いんだぞ!少しは大目に見てくれ。」
「たしかに…以前王妃様に褒められただけで真っ赤になっていたな…。」
「そういうことだ。」
「たしかあの時は王妃様の飼い猫を見つけてさしあげたんだったな。」
「そうだ、それで、『この子は優しい方にしか懐かないからカルロスはお優しいのね』って王妃様に微笑まれて、真っ赤になってしまったのだ…。」
「そう言えば、王妃様も少しもお前を怖がらないな。」
「王妃様は幼い頃に陛下と一緒に俺の祖父の肩に乗って喜んでいたそうだから…お美しいが心は強いお方だぞ。」
「あの方の飼い猫も太り過ぎで凶暴で有名だもんな…。あの猫を可愛らしいって言っておられるってことはそういうことか…。」
「そこで俺を見るな!失礼なやつだな。」
「とにかく、ロザリー嬢のことをしっかり守ってやれよ。」
「ああ、分かった。ありがとう。」
俺が手を回すまでもなく、既にロザリーは宰相殿と共に王宮に来ており、宰相殿の執務室で過ごしていた。
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