転生したら王子だったけど僕だけ前世のまま(モブ顔)だった( ゜д゜)

あんこもっち

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幼少期編

婚約者

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アレクの剣術の修行が始まって2年経った。

アレク年齢を考えれば、彼の成長速度は異常だった。それもそのはず、王子としてはあり得ないほど過酷な訓練を日々送っていたからだ。

もはやアレクはわずか10歳にして黒金騎士団の団長であるボルトと打ち合えるだけの実力を身につけ、たとえ魔獣に囲われたとしても魔法と剣で難なく薙ぎ倒すことが出来るほどの力を身につけたのである。

またポーションのおかげで大きな怪我で苦しむ事もなく、毎日着実に鍛えられていった。

そしてアレクが11歳になる頃、アレクはまた父王から呼び出されるのであった。



ドキドキする。

久しぶりの父からの呼び出しだ。
剣術の修行が始まってから時々もうやめたいと父上に打ち明けてきたがいつも却下されてきた。それからしばらく父上から呼び出しは無かった。

それなのに今になって呼び出しなんて、なんでだろう。

さすがに2年前に呼び出された時の事を思い出す。

父上からの呼び出しの度に僕は魔法の修行をすることになり、さらに剣術の鍛錬が追加された。そう、これはいずれも父上から呼び出しがあった時なのだ。

また何かやらされるのではないかと心配になるが、父上からまた何か鍛錬を追加されそうになったらちゃんと断ろう。

これ以上はもう無理。
ほんと、もうムリ。

異世界転生の小説でブラック企業で過労死する主人公の話がたくさんあるけどさ。僕もその域に入ろうとしてるんじゃないか?

異世界転生してからの過労死なんて勘弁してほしい。

スローライフを強く希望する。
もちろん無理なのはわかってるけどさ。

僕は深い溜息をついて王の執務室に向かった。

「入れ」
「はい、失礼します」

すぐに案内された僕は父上のもとに近づいた。今日の父上は機嫌が良いようだ。なんだかいつもよりニコニコしている。そんな父の顔を見ると何だか嫌な予感がしてくる。

「アレクよ!よく毎日の厳しい鍛錬に耐えた!魔法といい、剣術といいボルトからも成長の様子を聞いている。本当に頑張ったな!」

父上からその言葉を聞いたとき、不意に僕の目から涙が零れ落ちた。

う、うぅぅぅ!

いきなり父に褒められて僕は思わず泣き崩れた。

本当に苦しかった。

しかし、訓練に耐えた甲斐があった。
父上に認めて貰えたことが何よりの褒美だ。

父も嬉しそうに微笑んだ。
涙が止まらない上、さらに胸が熱くなる。

「そうそう、アレクよ。そんな素晴らしい成長を成し遂げた其方に褒美をやろう」

キタ!
父の言葉に僕は反射的に思わず身構えた。

「な、なんですか?」

「ふふふ、それはな、なんと!お前に婚約者が出来たぞ!今度お茶会の時に紹介する!婚約者に失礼のないよう王族らしくしっかり対応するようにな!」

父上はニッとしながら言った。

え?

なんですと?

「はっ?こ、婚約者です、か?」

「うむ、お前ももうすぐ12になる。学園に行く前に婚約者を決めておくのが王族のしきたりでな。何人かの候補はあったが、今回は1人だけ熱心な娘がおってな。両家にとっても良い話だったので受けておいたぞ!」

どうだ!喜べ!と言わんばかりの笑顔で父上がサムズアップする。そういえば私の頃はと急に自分の昔話をし始めた。もちろん今の僕にとって、そんな父上の話など聞く余裕はない。

こ、婚約者!?

僕は転生後初めてある意味違う衝撃に狼狽えた。先程の父上の褒め言葉で涙を流して感動していたが、もはやそんなこと・・・もうどうでもいい。

異世界に転生して十数年、ここ数年はガチの強化トレーニング漬けになっていた僕にとって、この話はガルシア師匠の魔法修行やボルト師匠の剣術トレーニングの時よりも衝撃的なニュースだった。

僕はいまボルトのしごきが始まる時よりも心臓の鼓動が早くなっており、緊張によるせいか全身の感覚が麻痺するほど蝕んでおり胸の辺りがバクバクしている。

こんなこと、初めて大型の魔獣と対峙した時以来のことだ。

『婚約者』

良い響きだ。

前世は地味な高校生だった。
もちろん異性との交際経験ゼロ。
幼なじみが美少女なんて設定もナッシング。

今世初めての経験だよ。

婚約者、許嫁ってやつね。

むふふ、

どんな娘だろう。

僕はまだ見ぬ娘に対し、要らぬ期待を抱いてはいけないと思いつつ、内心かなり期待していた。
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