14 / 77
幼少期編
婚約者
しおりを挟む
アレクの剣術の修行が始まって2年経った。
アレク年齢を考えれば、彼の成長速度は異常だった。それもそのはず、王子としてはあり得ないほど過酷な訓練を日々送っていたからだ。
もはやアレクはわずか10歳にして黒金騎士団の団長であるボルトと打ち合えるだけの実力を身につけ、たとえ魔獣に囲われたとしても魔法と剣で難なく薙ぎ倒すことが出来るほどの力を身につけたのである。
またポーションのおかげで大きな怪我で苦しむ事もなく、毎日着実に鍛えられていった。
そしてアレクが11歳になる頃、アレクはまた父王から呼び出されるのであった。
♢
ドキドキする。
久しぶりの父からの呼び出しだ。
剣術の修行が始まってから時々もうやめたいと父上に打ち明けてきたがいつも却下されてきた。それからしばらく父上から呼び出しは無かった。
それなのに今になって呼び出しなんて、なんでだろう。
さすがに2年前に呼び出された時の事を思い出す。
父上からの呼び出しの度に僕は魔法の修行をすることになり、さらに剣術の鍛錬が追加された。そう、これはいずれも父上から呼び出しがあった時なのだ。
また何かやらされるのではないかと心配になるが、父上からまた何か鍛錬を追加されそうになったらちゃんと断ろう。
これ以上はもう無理。
ほんと、もうムリ。
異世界転生の小説でブラック企業で過労死する主人公の話がたくさんあるけどさ。僕もその域に入ろうとしてるんじゃないか?
異世界転生してからの過労死なんて勘弁してほしい。
スローライフを強く希望する。
もちろん無理なのはわかってるけどさ。
僕は深い溜息をついて王の執務室に向かった。
「入れ」
「はい、失礼します」
すぐに案内された僕は父上のもとに近づいた。今日の父上は機嫌が良いようだ。なんだかいつもよりニコニコしている。そんな父の顔を見ると何だか嫌な予感がしてくる。
「アレクよ!よく毎日の厳しい鍛錬に耐えた!魔法といい、剣術といいボルトからも成長の様子を聞いている。本当に頑張ったな!」
父上からその言葉を聞いたとき、不意に僕の目から涙が零れ落ちた。
う、うぅぅぅ!
いきなり父に褒められて僕は思わず泣き崩れた。
本当に苦しかった。
しかし、訓練に耐えた甲斐があった。
父上に認めて貰えたことが何よりの褒美だ。
父も嬉しそうに微笑んだ。
涙が止まらない上、さらに胸が熱くなる。
「そうそう、アレクよ。そんな素晴らしい成長を成し遂げた其方に褒美をやろう」
キタ!
父の言葉に僕は反射的に思わず身構えた。
「な、なんですか?」
「ふふふ、それはな、なんと!お前に婚約者が出来たぞ!今度お茶会の時に紹介する!婚約者に失礼のないよう王族らしくしっかり対応するようにな!」
父上はニッとしながら言った。
え?
なんですと?
「はっ?こ、婚約者です、か?」
「うむ、お前ももうすぐ12になる。学園に行く前に婚約者を決めておくのが王族のしきたりでな。何人かの候補はあったが、今回は1人だけ熱心な娘がおってな。両家にとっても良い話だったので受けておいたぞ!」
どうだ!喜べ!と言わんばかりの笑顔で父上がサムズアップする。そういえば私の頃はと急に自分の昔話をし始めた。もちろん今の僕にとって、そんな父上の話など聞く余裕はない。
こ、婚約者!?
僕は転生後初めてある意味違う衝撃に狼狽えた。先程の父上の褒め言葉で涙を流して感動していたが、もはやそんなこと・・・もうどうでもいい。
異世界に転生して十数年、ここ数年はガチの強化トレーニング漬けになっていた僕にとって、この話はガルシア師匠の魔法修行やボルト師匠の剣術トレーニングの時よりも衝撃的なニュースだった。
僕はいまボルトのしごきが始まる時よりも心臓の鼓動が早くなっており、緊張によるせいか全身の感覚が麻痺するほど蝕んでおり胸の辺りがバクバクしている。
こんなこと、初めて大型の魔獣と対峙した時以来のことだ。
『婚約者』
良い響きだ。
前世は地味な高校生だった。
もちろん異性との交際経験ゼロ。
幼なじみが美少女なんて設定もナッシング。
今世初めての経験だよ。
婚約者、許嫁ってやつね。
むふふ、
どんな娘だろう。
僕はまだ見ぬ娘に対し、要らぬ期待を抱いてはいけないと思いつつ、内心かなり期待していた。
アレク年齢を考えれば、彼の成長速度は異常だった。それもそのはず、王子としてはあり得ないほど過酷な訓練を日々送っていたからだ。
もはやアレクはわずか10歳にして黒金騎士団の団長であるボルトと打ち合えるだけの実力を身につけ、たとえ魔獣に囲われたとしても魔法と剣で難なく薙ぎ倒すことが出来るほどの力を身につけたのである。
またポーションのおかげで大きな怪我で苦しむ事もなく、毎日着実に鍛えられていった。
そしてアレクが11歳になる頃、アレクはまた父王から呼び出されるのであった。
♢
ドキドキする。
久しぶりの父からの呼び出しだ。
剣術の修行が始まってから時々もうやめたいと父上に打ち明けてきたがいつも却下されてきた。それからしばらく父上から呼び出しは無かった。
それなのに今になって呼び出しなんて、なんでだろう。
さすがに2年前に呼び出された時の事を思い出す。
父上からの呼び出しの度に僕は魔法の修行をすることになり、さらに剣術の鍛錬が追加された。そう、これはいずれも父上から呼び出しがあった時なのだ。
また何かやらされるのではないかと心配になるが、父上からまた何か鍛錬を追加されそうになったらちゃんと断ろう。
これ以上はもう無理。
ほんと、もうムリ。
異世界転生の小説でブラック企業で過労死する主人公の話がたくさんあるけどさ。僕もその域に入ろうとしてるんじゃないか?
異世界転生してからの過労死なんて勘弁してほしい。
スローライフを強く希望する。
もちろん無理なのはわかってるけどさ。
僕は深い溜息をついて王の執務室に向かった。
「入れ」
「はい、失礼します」
すぐに案内された僕は父上のもとに近づいた。今日の父上は機嫌が良いようだ。なんだかいつもよりニコニコしている。そんな父の顔を見ると何だか嫌な予感がしてくる。
「アレクよ!よく毎日の厳しい鍛錬に耐えた!魔法といい、剣術といいボルトからも成長の様子を聞いている。本当に頑張ったな!」
父上からその言葉を聞いたとき、不意に僕の目から涙が零れ落ちた。
う、うぅぅぅ!
いきなり父に褒められて僕は思わず泣き崩れた。
本当に苦しかった。
しかし、訓練に耐えた甲斐があった。
父上に認めて貰えたことが何よりの褒美だ。
父も嬉しそうに微笑んだ。
涙が止まらない上、さらに胸が熱くなる。
「そうそう、アレクよ。そんな素晴らしい成長を成し遂げた其方に褒美をやろう」
キタ!
父の言葉に僕は反射的に思わず身構えた。
「な、なんですか?」
「ふふふ、それはな、なんと!お前に婚約者が出来たぞ!今度お茶会の時に紹介する!婚約者に失礼のないよう王族らしくしっかり対応するようにな!」
父上はニッとしながら言った。
え?
なんですと?
「はっ?こ、婚約者です、か?」
「うむ、お前ももうすぐ12になる。学園に行く前に婚約者を決めておくのが王族のしきたりでな。何人かの候補はあったが、今回は1人だけ熱心な娘がおってな。両家にとっても良い話だったので受けておいたぞ!」
どうだ!喜べ!と言わんばかりの笑顔で父上がサムズアップする。そういえば私の頃はと急に自分の昔話をし始めた。もちろん今の僕にとって、そんな父上の話など聞く余裕はない。
こ、婚約者!?
僕は転生後初めてある意味違う衝撃に狼狽えた。先程の父上の褒め言葉で涙を流して感動していたが、もはやそんなこと・・・もうどうでもいい。
異世界に転生して十数年、ここ数年はガチの強化トレーニング漬けになっていた僕にとって、この話はガルシア師匠の魔法修行やボルト師匠の剣術トレーニングの時よりも衝撃的なニュースだった。
僕はいまボルトのしごきが始まる時よりも心臓の鼓動が早くなっており、緊張によるせいか全身の感覚が麻痺するほど蝕んでおり胸の辺りがバクバクしている。
こんなこと、初めて大型の魔獣と対峙した時以来のことだ。
『婚約者』
良い響きだ。
前世は地味な高校生だった。
もちろん異性との交際経験ゼロ。
幼なじみが美少女なんて設定もナッシング。
今世初めての経験だよ。
婚約者、許嫁ってやつね。
むふふ、
どんな娘だろう。
僕はまだ見ぬ娘に対し、要らぬ期待を抱いてはいけないと思いつつ、内心かなり期待していた。
12
あなたにおすすめの小説
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる