転生したら王子だったけど僕だけ前世のまま(モブ顔)だった( ゜д゜)

あんこもっち

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幼少期編

モブ王子目覚める

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アイリーン・・・・・・、

一目惚れだった。

あの姿絵を見た時の衝撃は今でも忘れられない。

僕の可愛い可愛い可愛い妹マリアが嬉しそうにアイリーンの姿絵を持ってきてくれたのだ。

「お兄様、見てくださいな!この方、すごく綺麗で可愛らしいのよ~!」

マリアが上機嫌でそう言うので姿絵を見せてもらった。

その時、

全身に電気が通ったかのような衝撃が身体を突き抜けた。

(こ、この娘がアイリーン!?この美少女が僕と結婚するのか!?いや、してくれるのか?いや、していただけるのか!?)

アイリーンの姿絵を震えながら両手で持ち、落とさないように大切に大切に懐に収める。

「お兄様、その姿絵はお父様に返さなくても良いのかしら?」

「いや、私の婚約者なのだから、私が大切に保管しておこう。マリア教えてくれてありがとう!」

「うふふ!お兄様良かったわね!」

「ああ、マリア本当にありがとう!」

マリアは嬉しそうに部屋に戻っていった。

しばらくして、

「おう!坊ちゃん!辺境伯様のところのアイリーン様との縁談が決まったんだってな!良かったじゃねぇか!がっはっはっ!」

そう言って頭をガシガシと撫でてくるボルト師匠はとても嬉しそうに喜んでくれた。

「アイリーンお嬢様は本当に可愛らしい方でな。性格も穏やかで優しく賢い方と聞いとる。辺境伯様はもちろん、家族や侍従の者、衛士たちにも大人気なんだぞ!」

へぇぇぇ!

僕の期待値はMAXである。

この世界は容姿端麗な女性が多い。母は超美人だし、マリアは天使!メイドのサーシャも性格はあれだが普通に可愛い。

そういえば以前も魔獣狩りに行った時のことだ。森で魔獣に襲われていた馬車に綺麗な女の子が助けを呼びながら叫んでいた。

もちろんその場ですぐに魔獣を倒したら、その綺麗な女の子からとても感謝されたのだ!そのあとちょっと調子に乗って彼女が無事森を抜けるまで護衛をしてあげた。

ただ帰りが遅くなって師匠であるボルトにしこたま怒られ、また帰ってからもメイドのサーシャには嫌味を言われ、両親とマリアにも心配された。

それ以降もまた綺麗なあの子に逢えないかと足繁く森に通ったものだ。

この世界に生まれた時は自分の姿を見て異世界ハーレムは諦めたが、まさかこんな美少女と婚約できるとは思ってもいなかった。

うふふ♪

それからというもの僕は大事に大事~に大切なアイリーンの姿絵を抱いて寝るようになった。

ただメイドのサーシャにバレた時、酷く冷たい目で、気持ち悪いからやめなさいと言われたときはショックだった。

こちらも思わず冗談で「なんだ妬いているのか?」と言ったら彼女は本当に憐れむような目で僕を見て深く溜息をつきやがった。

仕方ないのでアイリーンの姿絵は机に置いたのだが、毎晩ついついアイリーンを見たくてボーっとしながらアイリーンの姿絵を見てしまうのだ。

アイリーンをみつめていると彼女が微笑みながら僕に語りかけてくれるようだった。時折侍従の者たちに見つかっては気味悪がられてはいたが・・・・・・、

しかし、アイリーンという女の子は、本物はもっと素晴らしく、もっともっと美少女だったのだ!

うへへ。

だらしない笑顔のアレク。

周囲の者たちがいかにアレクのその様を見てがっかりしていたのかを本人は知らない。

しかもそれが王妃に伝わり、王に伝わった時の事を考えたら、いかにアレクがやってはいけないことをしていたのかを当の本人はまだ自覚していなかった。

さて、話は戻る。

お茶会が終わって数刻が経ち、夕方になった頃、アレクはようやく目を覚ました。

「うーん、ここは?」

「アレク!目を覚ましたのね!」
「お兄様!良かった!」

「え?母上?マリア?どうして?」

「あなた、しばらく気を失っていたのよ!」
「え?」

その後母上から事情を聞いた。お茶会の途中で僕が気を失ってしまったそうだ。そしてここに運ばれた後、母上と妹のマリアがずっと僕の看病をしてくれていたようだ。

「ここはあなたの寝室よ。アイリーン様とお会いした際にあなたが気絶してしまったのでここに運ばれたのよ」

「お兄様、マリアも心配したのです」

2人は涙ぐみながら僕を心配してくれた。
なんだか2人の優しさが嬉しくて涙が出てくる。

「そうでしたか、母上ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした」

「仕方ないわ、ただこれからの事を考えたらちょっと心配ね、お茶会では陛下が自らがあなたの失敗を庇ってらっしゃったのよ。後でお詫びとお礼を申し上げておきなさい」

「はい、母上本当にすみませんでした」

「マリアも心配したのです」

「マリア、心配してくれてありがとう」

僕はマリアの頭を撫でた。マリアも嬉しそうだ。

「さあ、もう起きれる?」

「はい、大丈夫そうです」

「そう、それならば、陛下が執務室であなたを待っておられます。今から行って来なさい。多分、色々と聞かれると思うけどしっかりと事情を説明しなさい」

「はい、わかりました、では今から父上のもとに行ってきます」

そして僕は父である国王のもとへ向かった。

王の執務室に行くと側近たちが心配そうに話しかけてきた。

「殿下!ご無事でなによりです!」
「心配しましたぞ!」

んっ?

なんかいつもの対応が違うようだ。
今まではなんかちょっとドライな対応だったはずだ。
たった一日でこの変化は何なんだ?
一応、本当に僕のことを心配してくれたのか?

僕は不思議に思った。

後になってわかったが、側近たちはお茶会の時の王のやり取りを見て僕が王太子となることをはっきりと理解したようだ。さすがに今までの対応通りになるはずがない。

皆僕に媚びてくるのは仕方ないことだった。

「父上、アレク参りました」

アレクは扉をノックする。

「よし、入りなさい」

「失礼します」

執務室に入った僕は今までと違う雰囲気に戸惑った。隣には宰相のオシリスがおり、父王であるアレクサンドル国王も厳しく深妙な顔つきで僕を見ている。

「アレクよ、体調はどうだ?」

「はっ、もう大丈夫です。ご心配をおかけして本当に申し訳ありません」

「うむ、して其方が倒れた原因は何かわかるか?」

「いえ、正直、お茶会のことはあまり覚えておりませんでして・・・・・・」

「医者からは怪我も毒の心配もなかったそうだ。一応病気の可能性も考えて診てもらったが、特に異常はなかったそうだ」

「は、はあ、そうですか。本当に申し訳ありません」

「よい、其方が無事であれば良い」

「ありがとうございます」

「しかし、それならば何故急に気絶したのだろうか。幾人かは其方がアイリーン嬢の美しさにあてられて失神したのでないかと噂する者もいたのだ。其方はどう思う?」

「えっ?い、いやっ、アイリーン嬢は確かに美しかったです!それが原因かと言われると何ともわかりませんが、確かにアイリーン嬢を目にした時、全身が硬直したのを今思い出しました」

「なるほど、確かにアイリーン嬢は可愛らしい娘だったな。辺境伯も自慢にしておった。しかし、其方は王族だ。王族の者が下位の貴族の前で気絶するということがどういうことか其方はわかっているのか?」

「へ?い、いや!確かに父上の仰る通りです。私は情けなくも理解しておりませんでした」

「ましてや、お茶会には多くの貴族が来ていた。其方に挨拶されたが無視されたと怒っている者もいたそうだ。何故其方は貴族の者たちを無視したのだ?」

「あ・・・・・・え?いや、も、申し訳ありません。あまり覚えておりませんが、おそらくは、き、緊張のあまり、貴族の者たちが話かけてくれたことに気づかなかったのかもしれません」

「かもしれません?」

「は、はぃぃぃ!」

「アレクよ、其方は王族であり、これからは王太子として余の後を継がなくてはならない。国民が其方をどう見ているかわかっているのか?」

「えっ?」

「アレクよ、其方は自分だけ容姿が異なるからと酷く気にしておっただろう。そして血が繋がっていないのではと周囲の者たちも疑っておる。そんな中で王族としての振る舞いをしっかり果たさなくては益々その疑いは大きくなる。其方はそれをわかっているのか?」

「うっ、はい、存じております」

「しかし、今回のお茶会で其方は突然気絶したのだ。本当に王族として大丈夫なのかと周囲の者たちから不安に見られたのであろうな。どれだけ余が助けてやったことか・・・・・・」

「も、申し訳ありません」

父は思い出して腹が立ってきたのか、強く拳を握りしめていた。

「過ぎたことはもう取り返しがつかないと知れ。事実、其方はまだ王太子としての器ではない。それは其方の気持ちと姿勢の問題なのだ」

「うっ、は、はい」

「確かに其方は魔法を使いこなし、剣にも長けておる。しかし、戦であればその実力は周囲の者にもわかるだろうが、今はそうではない。周囲の者たちが理解できるのは確かな気品と上位のものとしての態度である。容姿に劣等感を持つ其方は周囲にものに侮られやすい。だからこそしっかりと王族として毅然とした態度で周囲の者たちと対峙していかねばならない。其方はそれができるか?」

「は、はい頑張ります」
(なんかいつもより説教が長い)

ばんっっ!

いきなり机を叩いた王にアレクは驚いた。

「そういう態度だから周囲に舐められるのだ!よいか!もし、其方が王太子でなければアイリーンとの婚約は無くなるのだぞ!それでも良いのか!」

「は?・・・・・・え?い、嫌だ!!それは、それだけは嫌です!!!」

「ならばしっかりと王族としての務めを果たせ!だらしない王太子なんぞに後を任せられるはずがなかろう!」

「はっっ、も、申し訳ありません!しっかりと王族としての使命を果たします!」

「ふんっ!惚れた女のためならば強くなれ!其方の惚れた娘は後の王となる者と婚約したのだ!腑抜けなものだと知ればすぐに愛想尽かされるぞっっ!」

「はっ!はいぃぃぃ!」

「はあ、もうよい、下がってよいぞ」

「し、失礼しました」

僕はショックのあまりにトボトボと歩いて退室した。

扉を閉める際に隙間から、父の深く溜息をついて椅子に座るところが視界に入った。

その父の姿を見て僕は胸の辺りがモヤモヤしてきた。そして申し訳ないと悔やむ気持ちにとらわれた。



一方、執務室では、

「これに懲りて精進してくれれば良いのだがな」

「陛下、アレク様はまだお若い。まだまだ時間もあります故」

側近である宰相のオシリスは言った。

「わかっておる。しかし、今回のお茶会では肝が冷えたわ。辺境伯が味方で本当に良かった。なんとかあれを王太子にするということを周囲の者に伝えることは出来たし、第二王子派の貴族たちを牽制する目的は達することが出来たが、あれほど気を遣ったお茶会は生まれて初めてだったぞ」

「陛下のお気持ち、お察しいたします」

「なんとか次はしっかりやってもらいたいものだ」

「そうでございますね」

お茶会当日、2人は予期せぬトラブルに心底疲れたようだった。



僕はようやく自室に戻った。

母と妹のマリアは各々部屋に戻っていたため、今部屋には誰もいない。メイドのサーシャもまだ戻ってきていないみたいだ。

「はあ、父上があんなに怒るとは」

先程の父上の王としての忠告は何だったのだろうか。

あんなに怒られたのは生まれて初めてだった。しかし、怒られた内容はまったくその通りなので、僕も落ち込むしかなかった。

「はぁ・・・・・・、アイリーン」

アレクは机の上にあるアイリーンの姿絵を見つめる。

「アイリーン、本当に美しかったな。王太子にならないと結婚できないんだったよな」

はっーーー、

アレクは深く溜息をついた。
そんな時、心の奥から何か声が響いてきた。

覚悟を決めろ!
やるしかない!
そう、ちゃんと王様になって愛しのアイリーンと結婚するんだ!
もう廃嫡されることは考えなくて良い!
冒険者ではなく王様になろう!

この心の声を聞いて僕は奮起した。

そうだ!
そうだよ!
弱音なんか吐いてる場合じゃない!
アイリーンと婚約したんだ!
彼女と結婚するのなら僕のやるべきことはひとつしかない!!

「よしっ!異世界の王に俺はなるっっ!!」

なんか聞いたことあるセリフを吐きつつ、僕はアイリーンとの結婚のために王になることを決意したのだった。

そしてそれがこれから起こる波乱の幕開けでもあった。
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