転生したら王子だったけど僕だけ前世のまま(モブ顔)だった( ゜д゜)

あんこもっち

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幼少期編

モブ王子のダンス初披露①

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《アイリーン視点》

いよいよわたくしが王族の妃として受け入れられる日がやって来ました。

王宮での婚約発表が終わり、わたくしはお祖父様と共に王城の来賓用の部屋に案内されました。そして舞踏会の始まる時間が来るまで此処で待機するようにと国王陛下の側近から指示を受けましたの。

その側近たら、この美しいわたくしを見て何が気に入らなかったのか、少しばかり偉そうな態度が気になりましたけど、お祖父様の尊顔と覇気に恐れを抱いたのか、逃げるように去って行きましたの。

その様を見て胸がスッとしたのか気分が安らぎましたわ。

その後に毒入り紅茶を用意してきた従者や騎士に扮した暗殺者がやって来ましたけど、その都度お祖父様と側近の方が始末してくださいました。

本当に執念深い方々は好きになれませんわ。

ここ数日、毎晩のようにわたくしの屋敷に暗殺者が来ましたし、まあ、お祖父様の側近たちが難なく対処してくださいましたけど、本当に第二王子派の方たちはしつこいですわね。そもそもお祖父様の側近の存在にすら気付いていない暗殺者もいましたわね。

そんな実力でよくもまあ、本当に身の程知らずですわ。

ひょっとしたら王国の暗殺者ギルドの半数以上は始末したのではないかしら。

まあそれでもなんとか無事に、舞踏会が始まるその時がきましたわ。

先程とは違う方が舞踏会の会場へ案内に来られました。次の方は大人しくて不快感もなく、わたくしは気分良く会場まで移動することができましたの。

(あ、あそこにいらっしゃるのはアレク様ですわ)

アレク様は今回とても成長されました。昨日の訓練の成果もあって、本番ではわたくしと接したとしても一切気絶されることなく無事婚約発表の場を乗り切られましたわ。

ああ、思い出してきました。
昨晩の訓練からというもの、何度も何度も気絶しては繰り返し繰り返し情熱的な目でわたくしを見つめ、さらにわたくしの手を幾度も重ねてこられる殿下の健気なお姿。

そのお姿を見てわたくし、改めてアレク様が気に入りましたわ。凡庸な容姿ではありますけど、愛着が湧いてきてから何故か殿下が可愛らしいと思うようになってきましたの。

ウフフ、本当に楽しませてくださる方ですわ。

わたくしがアレク様と合流したとき、アレク様は昨日と同様にまた硬直されておられました。けれど、ご自身のお尻をつねってなんとか意識を保つ術を身につけておられましたわ。

お尻の痛みのせいか殿下が少し涙目になった時のお顔はとても可愛らしかったですわ。

わたくしとアレク様が入場するや否や、会場はわたくしたちを迎えるべく拍手喝采が鳴り響きました。

まあ、一部の者たちは笑顔で拍手を送るものの目が笑っていませんでしたけど。中にはあからさまにアレク様を睨みつける者もいましたし、さらには呪いの言霊を唱える方もいましたわね。

嫉妬とは凄まじいものですわ。
これもわたくしが美しすぎるのが罪なのです。
ああ神よ、どうか心貧しい者たちを許してくださいませ。

わたくしは許しませんけど。

ようやくわたくしとアレク様が国王陛下と王妃様のもとに辿り着くことが出来ました。

陛下は舞踏会の開催を宣言された後にわたくしたちを見て、それはもう嬉しそうに話しかけてくださいました。

「アイリーンよ、よくぞアレクのもとへ来てくれたな。アレクよ改めて婚約おめでとう。今宵はそなたたちがパーティーの華となって場を盛り上げてくれ」

「は、はい!恐れ入ります!」

アレク様は緊張しすぎたのか慌てて深々と礼をしていらっしゃいました。そのお姿は国王夫妻から見たらどれほど頼りなく見えたことでしょう。

やはりわたくしが殿下をお支えしなくては。

来月には王立学園に入学しますし、卒業するまでに、いえ在学中にはなんとか立派な王子としてわたくしが鍛えてさしあげますわ。

わたくしがそう決意を固めた時、陛下はアレク様の肩にそっと手をのせて微笑んでおられました。

「まあ、そなたにとって初めての夜会だろうから緊張もするだろう。あまり緊張しすぎるとせっかくの宴が楽しくもなくなるだろうし、まずはこの場を楽しむが良い」

そう国王陛下は優しく語りかけてくださいましたわ。

(さすが国王陛下ですわね)

アレク様もお父上であられるアレクサンドル国王のように懐の深い国王となられることでしょう。

わたくしがいれば大丈夫ですわ。

今は婚約中だから無理ですけど、いつかはアレク様も国王陛下やお祖父様のように立派な徳のある人間となるでしょう。いえ、成してみせますわ。このわたくしが!

そう決意するアイリーンであった。



《アレクサンドル視点》

うむ、アイリーンは落ち着いておるな。さすがはガスタル辺境伯の孫だ。実の息子であるアレクもアイリーンの姿勢に見習ってほしいものだ。

いよいよ舞踏会が始まったようだ。

音楽隊による演奏が始まり、会場はダンスに興じる者たちで賑わっておる。

どうやらアレクがダンスに興じるようだ。

ビクビクしながらアイリーンと手を取り合っておる。

「ようやく、アレクとアイリーン嬢のダンスが見られるな」

「なんだか初々しいですわね」

妻の王妃マグダも嬉しそうだ。

「うむ、私たちが若い頃を思い出す」

「あら、そういえば陛下がお若い頃、わたくし以外にも大勢のご令嬢に囲まれていましたわね」

「ん?そ、そうであったか?いや、私は其方しか目に入っておらんかったが」

「そうでしたかしら。わたくしは最後に陛下と踊らせていただきましたけど、陛下は何度も他の令嬢と『おっ!アレクが踊り出したぞ!!』・・・あら、では昔の話は後にして、いまはアレクたちのダンスを観なくてはなりませんわね」

「う、うむ」

なんとかおさまったようだ。

私はこれ以上余計な事を言わぬよう(妻に余計な事を言われぬよう)に気を引き締めた。



《アレク視点》

父上の合図によって舞踏会が始まった。

ホールでは既に演奏は始まっており、会場には音楽が流れている。

(そ、そろそろだな)

僕はアイリーンにダンスを申し込もうと意気込んだ。

もちろんお互いダンスの相手となることは事前からわかってはいるものの、いざ本番直前となるとさすがに緊張してしまう。

ダンスホールではもう既に演奏と共にダンスは始まっており、何組かのカップルが踊っているのが見える。

目の前にはアイリーンがジッと僕を見ている。どうやら僕が誘うまでは我慢と待ちの姿勢をキープしているようにも見える。

(よし!今だ!今言うんだ!)

「そ、それじゃあ、アイリーン、ぼ、僕と踊っていただけますか?」

僕は緊張の中、勇気を出してアイリーンに声をかけてペコリと一礼をする。

「ええ、よろしくお願いしますわ」

アイリーンはとても嬉しそうな顔で可愛らしく微笑んでくれた。

やった!やったぜ!!
ああ!アイリーン!!可愛すぎる!!
可愛すぎるぜ!!

いやっほう!!

僕は歓喜した。

心の中で何度も練習したおかげですんなりアイリーンに声をかけることが出来た。

自分の成長を心から誉めてあげたい。

アイリーンはとても優雅に女性らしい所作でもって僕の手を取り合ってくれた。

周囲ではアイリーンの美しさに見惚れた男たちが悔しそうに僕を見ている。次は私と踊るんだとつぶやいている者もいた。

(ふん!一人たりとも(僕の)アイリーンとは踊らせてやるもんか)

アイリーンは僕の婚約者なんだ!

音楽に合わせて踊り出す二人。

意外にも息の合う二人は楽しそうに軽快に円舞曲《ワルツ》を踊るのであった。
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