転生したら王子だったけど僕だけ前世のまま(モブ顔)だった( ゜д゜)

あんこもっち

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学園編

それぞれの思惑

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入学式とオリエンテーション終了後、アレクは寮に帰り部屋に戻っていた。

「お帰りなさいませ」

アレクはいつの間にか部屋にいたサーシャを見て驚いた。となりには弟のジョージがいて2人並んで出迎えてくれた。

「あれっ!?サーシャなんでここにいるの?」

「何故って、ジョージの引き継ぎですよ。しばらくの間アレク様のお世話の仕方を弟に教えなくてはなりませんからね」

「いや、ここ男子寮だよ?女性のサーシャがいたら問題なんじゃないの?」

「すでに陛下を通して学園長の許可はいただいております。寮長にも話は伝わっておりますし、特に問題はございません。あともう私には結婚を約束した殿方がいますから大丈夫です。ねえジョージ」

「そ、そうですね」

「あ、ああ、そうなの?あれ?でも相手の人は大丈夫って言ったの?」

「王命だからと言って納得してもらいました」

「そ、そう、それなら良かったよ」

「それではジョージと共にお風呂の準備をいたしますので、しばらくお待ちください」

そう言ってサーシャは仕事を続けた。

(あれ?これって、変な噂が立つんじゃないの?)

アレクの思った通り、男子寮にてサーシャを見た男子生徒たちは王子が寮で気に入った女性を囲っているのではないかと噂するのであった。

サーシャがアレクのもとで働くことは、既に国王からアイリーンに直接伝わっており、何も心配することは起きないと知らされている。

しかもサーシャは既にアイリーンに呼び出されており、面会をした上でちゃんと了承も得ていた。

アイリーンいわく、「信用おける女性が側にいるのであればアレク様がハニートラップなどに引っかかる心配もなくなりますわね」とのこと。

わずか12歳の少女が貴族としての威厳ある佇まいを持ち、薄らと笑みを浮かべながらのこの発言はさすがのサーシャも「この娘恐いわ」などと心の底から恐怖するものがあった。

「アレク様と間違いなど起きるはずがありませんものね?」

「は!はいぃ!」

(やっぱりこの娘、恐いわ!)

サーシャは絶対に間違いが起きないように、いやトラブルメーカーであるアレクが間違いを起こさせないようにとジョージにも念押しをしておいた。

(さっさと結婚してこのダメ王子の世話から解放されたいわ)

これ以上トラブル王子とメンヘラ令嬢の関わりを持つことなど考えたくもない。

その面倒事を弟に全て押し付けることは姉としても少々心が痛むことではあったが、弟の更なる成長とできれば出世して家族に貢献してもらいたいという願いから全て仕方なしと割り切るのであった。

そろそろ自分の幸せを考え始めたサーシャは無難に引き継ぎを終わらせてサッサと領地に帰ろうと決意を固めた。

一方、そのメンヘラ令嬢アイリーンはというと、彼女はメリアと共に女子寮にある貴族用の個室部屋にいた。

「メリア、第二王子派の動きはどうでしたの?」

「はい、今のところ目立った行動はないようですが、入学式の時のようにアレク王子の様子が変でしたので、調べる必要はありそうです。今後もいきなり暗殺行為に及ぶかもしれませんので注意は必要です」

「私も驚きましたわ。入学式の挨拶早々、アレク王子の反応に違和感は感じましたもの。でも収穫もありましたわ。王族に対しては不敬ですけど、それだけ学園で立場のある者が第二王子派だということがわかりましたもの」

そういうとアイリーンはにんまりと笑う。

「そうですね。今までも王家と共にアレク様の暗殺計画を未然に潰してはいましたが、まだまだ終わりそうにありません。奴らにとっては学園に入ってから好機ありと考えていると思います」

メリアがそう言うとアイリーンも頷く。

「まあ、アレク様の側にはあのメイドの者たちがいるので毒殺などの心配はありませんが、剣術や魔法の授業で狙ってくるかもしれませんしね。私たちが見張っておけば問題は起きないと思いますけど」

「すでに影の者たちには通達しております」

「そう・・・ありがとう。私たちもしっかりしませんとね」

「はい」

アイリーンは扇子を口に当てて静かに考えるのであった。



その頃、学園長の執務室では学園長が担当の教師達を呼び出していた。

「ヘンリー教頭、入学式の挨拶の時なのだけど、アレク王子の様子が少しおかしかったのですけど、事前に伝えていましたか?」

アーシェラは少し疑いの目でヘンリー教頭に問いただす。

ヘンリー教頭はヘラヘラしながら答えた。

「いやあ、アーシェラ学園長なら聞かなくてもお分かりいただけるのではありませんか?なんせ人の心が読めるのでしょうからな。いやなに、久しぶりの王族の入学でしたから、連絡が間に合わなかったのかもしれません。いや私の判断ではないのですが、アレク王子もいままで王族ではないのではないかという噂もあったのでちょっと判断が遅くなっただけのことです。いやあ、申し訳ありません」

全然反省しているように見えない教頭は厚顔にも上司であるアーシェラにそのように答えた。

アーシェラはヘンリー教頭のあからさまな態度に綺麗な顔をしかめながら腕を組みヘンリー教頭を睨みつけた。

「ようは伝えていなかったということですね?今回は無事、何事もなく終わりましたが、王族に恥をかかせようなどとすれば、それは不敬であって下手をすればあなたはクビになっていたかもしれないのですよ?何故あなたはそんなに平気なのかしら?」

「いや、王族ではないのではと疑う方々もいらしたので、ただ国王陛下もおられましたので慌てて修正しただけのことです。当然、王族が入学した際は代表で挨拶していただくのが筋でありますのですからな」

「まあ、良いでしょう。国王陛下にはそのように伝えておきます。何かあればまたあなたを呼びますからね」

「はい、承知しました」

「はぁ、下がって良いわ」

「失礼します」

そういって教頭や教師たちは執務室から去って行った。

アーシェラは困惑する。

(なぜヘンリーの思惑が読めないのかしら)

他人の思惑を読める超能力を有しているアーシェラはなぜかヘンリー教頭の思惑が読めなかったことに困惑していた。

「なにか大きな問題が起きそうね」

アーシェラは不安となり、また同時に嫌な予感もした。



学園長の執務室を退室したヘンリー教頭と他の教師たちは会議室にいた。

「ヘンリー教頭、何事もなく終わって良かったですな」

ヘンリーの側にいた教師の1人が安心した顔で言ってきた。

「なにが良かっただ!あの凡愚め!恥をかかせてやろうとおもってわざわざ通達もせずに代表挨拶をさせたのに!」

「まさかあんなにスラスラと話すとは思いませんでしたね」

「えぇい!私に恥をかかせおって!」

完全な逆恨みである。

しかし収穫もあった。

「アーシェラ学園長は教頭の御心が読めずに困惑しておりましたな」

「ああ、これのおかげであの忌々しい女狐に心を読まれない事がわかっただけでも良いかもしれないな。この魔道具のおかげで無事にシラを切れた」

ヘンリーはおもむろにジャケットの内ポケットから薄っぺらいカードを取り出す。そのカードにはなにやら小さな魔法陣が刻印されていた。

「これがあればアレク王子暗殺も可能になるな、いやこれもクレメンス殿のおかげですな」

ヘンリー教頭の側には20代後半の見目麗しい金髪碧眼の男性がいた。

「その魔道具がヘンリー教頭のお役に立てて何よりです」

「いやいや!本当にこの魔道具は素晴らしいですな!これからもよろしくお願いしますぞ!」

ヘンリー教頭はそう言って機嫌を取り戻すと高らかに笑うのであった。

そう、誰もがクレメンスの思惑には気づかずに・・・。



アレクは夕食を食べ終えてベッドに寝転がりながら休憩していた。

既にサーシャとジョージの姿はなく、久しぶりに1人だけの時間だ。

明日から本格的に授業がはじまる。

「楽しみだな」

これから毎日アイリーンに会える。

アレクはアイリーンの姿絵を見ながらにやけ出した。

「えへへ♪今日は気絶しなかったし、ちゃんと話もできたぞ!」

第一ノルマを達成したアレクは自分で自分を褒めてあげた。アイリーンの様な美少女とちゃんと会話ができたのである。普通の人たちからすれば大したことではないのだが、アレクにとっては大いなる前進である。

そもそも恋愛経験皆無なだけに最初から目標設定が低い。ハードルを下げている分、小さな成功で喜べるアレクは幸せ者だった。

明日が楽しみだ。

アレクはいつの間にか寝ていた。

歯も磨かずに・・・。
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