転生したら王子だったけど僕だけ前世のまま(モブ顔)だった( ゜д゜)

あんこもっち

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学園編

忠誠心

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サラ・アンドリアはボルトの娘であり、アンドリア男爵家の三人兄妹の末娘である。

兄弟構成は上に二人の兄がおり、一番上の兄は騎士団に所属してはいるものの、まだ入りたてで見習い兵として毎日上司にしごかれている。

二番目の兄はサラと同じ学園におり、来年卒業する予定だ。サラと同じ騎士コースで彼も騎士団への入団はすでに決まっている。

騎士コースでは上位クラスの成績をおさめており、その実力は騎士コースの中で二番目に強いそうだ。(いつも勝てない相手がいるらしい)

サラの母は父と同じく傭兵出身で魔法師である。彼女は火を使う魔法に長けており、夫婦揃って戦場では恐れられていたらしい。今は夫の代わりに領地経営に携わっており、時々宮廷魔法師として王城に出仕しているそうだ。

母はかなり厳しい(激しい)性格のようで、母が怒った時はさすがのボルトも唯一勝てない相手らしい。

それだからか、ボルトが主とはいえ一家にとって母を怒らせない事が唯一の共通ルールとなっている。

そうした家族のもとにいたものだからか、サラは女の子でありながらもアンドリア男爵家の後を継ぐわけでもないのに、幼少の頃より、ただただ純粋に強さに惹かれて、自分の意志で剣の鍛錬をしていた。

そんなサラはアンドリア家の血筋だからか幼いながらも戦いのセンスがあり、鍛錬と積むごとに次第に強くなっていった。

十歳の頃には上の二人の兄と稽古をしたり、同年代の男子達と戦っても余裕で勝つほどの実力となっていた。

そしてサラが学園に入る一年ほど前のこと。

ある日、父であるボルトがアレク王子の事を話し始めた。

いわく王子でありながらも強くなることに貪欲で一生懸命に鍛錬し、過酷で厳しい鍛錬にも必死でついてきたこと。

魔法師としても優秀で魔獣の出る森に行っては騎士でも苦戦するような魔獣を剣と魔法で数多く討伐してきたこと。

話の後半からはどうでもよい事ばかり言っていたが、剣に対し厳しい父が誰かを誉めることは珍しかった。

それを聞いたサラはアレクに嫉妬した。

「地味な王子なんかより私の方が強いに決まっている!」

そしてサラは憤慨し、またまた鍛錬に励むのであった。

しかし学園の入学が決まり、同時にアレク王子の護衛騎士を任されることになったサラは入学してからすぐに現実を思い知らされることになった。

サラは体力テストでとうてい敵わなかったドルトン先生にアレクは互角に剣を渡り合えていたのだ。

サラは自分より格下と思っていたアレクがまさか自分よりも強かったことに驚いてしまった。しかもアレクの実力を見て護衛騎士である自分の方が弱く敵わないと思ってしまったのである。

サラはアレクに対し、同じ歳でここまで強い人だとは思ってもいなかった。

サラも自惚れていたわけではないが、今まで父に憧れて少しでも父の強さに近づこうと必死に頑張ってきたのだ。

女だからと言われようとも幼い頃から剣を握り、毎日毎日剣術の鍛錬に取り組み、そして強くなっていった。

しかし自分よりも強い者との出会いによってサラも自分の実力を客観視することが出来るようになった。

そして客観的評価を通してより謙虚にもなり、彼女にとってさらに強くなるための良い機会となったのである。

そしてこの精神的敗北がきっかけとなってサラはますます強くなるのであった。

サラには父から教えられた流儀がある。

「強き者は弱い者を守ることが大事だ!」

ボルトの教えとは、

「騎士たる者、主君に忠誠を誓い、主君と共に弱き民を護る事。そして神の僕として悪なるものとは勇気をもって戦うべし」

父は傭兵上がりであったが、アレクサンドル王の下に仕え、傭兵から騎士として成り上がった時に、周囲からさまざまな嫉妬をうけた。そこで旧知であるガスタル辺境伯からいろいろと助言をもらったらしい。

それが騎士の誓いである。

騎士として認められるためにボルトは自らに騎士の誓いを立て忠実に実践した。

そうしてボルトは騎士団の団長となり、アンドリア男爵家の当主として活躍し続けているのである。

サラは拳を握りしめて自分も強くありたい。騎士として父のように強くありたいと決意するのであった。

サラは誓う。

「私は学園を卒業したら騎士団に入り、アレク様とアイリーン様のもとに仕えよう。そして生涯この身を捧げていこう!」

サラは決意を固め、その後も意気揚々として授業を受けるのであった。

体力テストの次の日。

学園に朝がやって来た。
今日の天気は快晴。
眩しいほどの朝日が部屋に差し込んでくる。

時刻は5時5分前。

「よしっ!今日も一日頑張るぞ!」

サラ・アンドリアはシャキッと起きてすぐに身支度をはじめる。

今日からアレクとの朝の鍛錬である。

「アレク様!おはようございます!」

「ああ、サラおはよう」

「今日から朝の鍛錬を一緒にさせていただけて光栄です!本当にありがとうございます!」

「あ、ああ、それじゃはじめよっか」

「はいっ!」

(サラの奴、やけに元気だな)

アレクはあくびをしながら不思議がった。

(よし!頑張って一日でも早く殿下に近づくんだ!)

今日のサラは燃えていた。

「一日も早く強くなって、(騎士として)生涯この身を捧げてまいります!」

サラはアレクに熱く決意発表をする。

しかし、サラが紛らわしい言い方をしたものだからここでアレクは勘違いをする。

(生涯、この身を、捧げるだってぇぇぇ!?)

アレクは動揺した。

(サラの奴、僕の事が好きになったのか?僕がサラより強いものだから憧れちゃったのかな?ふふ、僕にもモテ期到来?一時は諦めた異世界ハーレムもひょっとしていけるんじゃない?あ、でもアイリーンは一夫多妻は許してくれんのかなぁ、もし浮気ダメだったらちょっと考えないといけないし、あ、でも僕王子だし、側妃も必要なんじゃあ、ということは何人までOKなんだろ。ちょっとアイリーンに聞いてみようかな、でも聞いてアイリーンに嫌われたらどうしよう)

簡単に妄想の世界に入ってしまったアレクを見てサラは反応に困った。

(???、アレク様、どうかされたのか?何か深い考え事をされているようだが)

モテない男子は女子との距離がちょっと近くなっただけですぐに勘違いしてしまう。

アレクは大いに勘違いした。

(私も父上のように立派な騎士になるぞ!)

サラが真の強さにおいて憧れているのはアレクではなく父ボルトの方である。

今日の天気は快晴。
眩しいほどの朝日が二人を照らしていた。
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