転生したら王子だったけど僕だけ前世のまま(モブ顔)だった( ゜д゜)

あんこもっち

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学園編

剣術大会①

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学園では毎年剣術大会を行なっている。
ルールは以下の通り。

①剣術大会は学年の差は関係なく、ただ強い生徒達を戦わせて競わせるものである。

②先に剣術の授業の中で選抜試験を行い、クラスから二名選出する。

③剣術大会はトーナメント制となっており、代表者である生徒たちが戦うことになる。

以上の内容で剣術大会は催される。

優勝者の特典としては、騎士団入団の際に出世コースに入れる。

というわけで、騎士団への入団を希望、または内定している者達にとって優勝を目指すメリットがあるのだ。

剣術大会には事前に騎士コースの各学年でクラスごとに予選があり、クラス一位と二位が代表に選ばれることになっている。

アレクのクラスの代表選手はもちろんアレクとサラに決まっていた。

そして大会の当日、会場はいつもの修練場ではなく学園敷地内にある闘技場である。

朝からすでに全生徒が集まっていた。

この日は騎士団の団長たちも大会を観に来ており、サラの父であるボルトやローズマリアの兄(最近意気消沈している)ブライトも来賓として来ていた。

ファンファーレの鳴り響く音と共にアーシェラ学園長が入ってきた。そして今年は王族のアレクがいるからか国王のアレクサンドル王も大会を観に来ていた。

「これより剣術大会を開催する!諸君の日々の鍛錬と研鑽の成果をここで示してほしい!頑張りたまえ!」

アレクサンドル王は大きな声で開幕の挨拶をした。

大きな拍手が会場に鳴り響き、選手たちは試合の準備に取り掛かる。

アレクはサラと共に闘技場の外で準備運動をしていた。

「アレク様~♡」

アイリーンはアレクのそばに走ってきた。近くには久しぶりにメリアの姿があった。

「アイリーン!おはよう!メリアも久しぶりだね!」

「アレク様お久しぶりでございます」

メリアも静かにお辞儀する。しばらくアイリーンの側に居なかったので理由を聞いてみると親の都合でしばらく辺境伯の領地に戻っていたそうだ。
(実はアレクの暗殺防止のため暗殺部隊の召集役として仕事をしていた)

メリアの父は暗殺部隊を管理しており、メリアの一族は辺境伯の影として活動している。メリアはまだ若く暗殺の仕事は許されていないため実家から精鋭部隊を呼んできたのである。ここ数週間は暗殺者が多くアイリーンの世話以外にも夜な夜な別の仕事で忙しかったようだ。

「アイリーン様おはようございます」

サラはアイリーンにお辞儀をして挨拶する。

「サラも今日は頑張ってくださいね。アレク王子の護衛騎士として恥ずかしくないように」

「はい!」

「ア、アイリーン、あのさ」

「アレク様、どうかされましたの?」

「ぼ、僕の命を守ってくれたことの、御礼を、伝えようと思って」

「・・・どなたから聞きましたの?」

アイリーンは喜ぶどころか少し厳しい顔つきとなった。

「ち、父上だ。君が僕を暗殺者から守ってくれていたと聞いたんだ」

「そうでしたの。そのようなことアレク様が気にされることではありませんわ」

「いや、僕は、不甲斐ない気持ちでいっぱいだったんだ。君を守るどころか、実は守られていたなんて、そんなのカッコ悪いよ」

「アレク様は格好悪くはありませんわ。いえ、外見のことではありませんのよ?わたくしはアレク様は魔法も剣術もできる強い方だと知っております」

「いや、僕は強くなったと思っていたけど、そうじゃなかった。でも、これからはもっと強くなりたいと誓うよ。暗殺者から自分の身を守れるように、そして君を守れるように、なりたいんだ」

「まあ!アレク様!素晴らしいですわ!」

「今回の大会も良い経験になると思うんだ。だから、アイリーンにも認めてもらえるように頑張るよ」

「すでに認めてますけど、アレク様がそう仰られるのであれば、この目でしかと観させていただきますわ」

「うん、頑張るよ」

「それでは私たちは会場席から応援しておりますわ!アレク様頑張ってくださいませ♡」

アイリーンがウィンクするとアレクは「うん!わかった!」とだらしない表情で応えた。

こうしてアレクはアイリーンと別れて大会出場者たちが集まる集合場所へと移動する。

中に入るとすでに上級生たちが集まっており、それぞれが壁に貼られているトーナメント表を見ているようだ。アレクたちもさっそくトーナメント表を見ながら自分の出場枠を探した。

「へえ、AブロックとBブロックがあるのか。サラは一回戦で誰と戦うんだ?」

サラはトーナメント表を見て急に驚いた。

「え!?わ、わたしの相手は……、あ、兄のようです」

「えぇぇぇ!?」

アレクは大きな声で驚いた。

「サラは兄さんに勝った事あるのか?」

「い、いいえ、未だに勝った事はありません。さすがに兄も四年生ですからもっと強くなっている事でしょう」

「うへぇ……サラ、大丈夫か?」

「は、はい、もうやるしかありませんから」

「そ、そうだよな」

「ええ……」

「ま、が、頑張れよ」

「はい」

いつもなら元気いっぱいのサラなのだが、今回はいつも以上に緊張しており少し表情も暗かった。アレクもそんなサラを励ましてあげればよいものを自分も緊張しているため微妙な言葉しか掛けられなかった。

アレクは自分の出場枠を探すと自分はAブロックで一回戦の相手も四年生で最上級生だった。

「うわあ、四年生かよ。まあ、決まったものは仕方ないよなー。よしそろそろ行くか!」

「は、はい!」

二人は緊張感をもって二人は闘技場へと向かった。

側から見るとその後ろ姿は非常に頼りなく見えた事だろう。

アレクたちが闘技場の観客席に行くとすでに試合は始まっており、以前アレクと戦っていた上級生の一人が下級生と戦っていた。

こないだの上級生との手合わせの時にサラに勝った相手だった。

変則的な攻撃やフェイントを織り交ぜた技は相手を翻弄しており、圧倒的に上級生の優位だった。

「それまで!」

「ダレンの勝ち!」

初めて知る上級生の名前。二人はほぅ、と感心して試合を観ていた。

「次!」

「あ、僕の出番だ」

アレクは試合会場である闘技場へと向かう。

広いドーム型の闘技場では大勢の観客たちに囲まれており声援と罵声が入り乱れているところに自分一人が円型の舞台に立っている。

今度は図体が2メートルぐらいあるデカい男が闘技場に入ってきた。

聞くと四年生らしいがこの世界の年齢とは?と問いたくなるほどの年齢不詳な外見で、いかにも強そうなガタイの良い筋肉ムキムキ大男だ。

彼が片手に持つ剣は刃を潰してあるにも関わらず一振りで相手を殺しそうなほどの大きな剣だった。

「す、すげー」

「お、大きいですね」

俺こんなのと戦うの?とさすがのアレクもビビっていた。

対する相手は自分。成長期とはいえ相手と比較すると小柄な男の子だ。

身長差は一メートル以上あるように見える。
(アレクは168センチほど)

「小さいな」

上級生はさっそくマウントを取ってきた。

「ええ、そうですね。でもあなたは大きいだけなのでは?僕は同学年では普通なので」

「はっはっはっ!生意気な後輩だな!少し厳しく躾けてやるとするか!」

「まあ、お手柔らかにお願いしますよ。先輩」

「ふんっ!王子だろうと容赦はせんぞ!」

大男の上級生はアレクの身長ほどある剣を持ち構える。

(あれ?あんな武器で戦うっていいの?運営なんか贔屓してない?)

普通王族の方が贔屓されるはずなのだか、アレクの持っているのは普通の刃の潰したショートソードである。対して相手の持つ剣は同じ物ではなかった。

明らかな不正だと思うが審判である運営からは何も咎めることはない。

(なんか嫌な予感がするな)

アレクは用心するように拳に力を込めて剣を構える。

緊張のせいか額から汗が溢れ冷たい一雫の汗が熱した頬を伝う。

頭は冷静で判断力は鈍ってはいない。

アレクは自分の状態を客観的に分析していた。

(よし、大丈夫。師匠の時のことを思い出すんだ)

あの厳しい鍛錬の日々。

同じ経験を二度も繰り返したくはないが、あの時の頃と比べれば、こんな試合など生ぬるい方だ。

(よし、いける)

「それでは始め!」

試合が始まった。

巨人のような上級生は体格を活かして大きな剣を振り回して間合いを取る。

対してアレクはなかなか近づけないようで上級生の刃が届かないあたりで様子を見ながら相手の攻撃をかわしていた。

上級生はガタイは大きいが無駄な動作が多く、隙を見せないように果敢に攻撃してあったが、5分程で疲れが出てきたようで攻撃の間に隙が出来る。

その隙をアレクは見逃すことなく素早く相手に接近し、相手の死角から攻撃する。

まず足を狙った。

思わず片足をやられて膝をついたところを頭の上に剣を振り下ろす。上級生の頭に剣が当たると一撃で気を失って倒れてしまった。

(え?これだけで?)

思っていたより、相手は弱かったようだ。

「それまで!」

(体格が良いだけで、なんか、拍子抜けだな。騙された気分だよ)

「アレク王子の勝ち!」

小柄なアレクが大柄な四年生に勝った。
観客はまさかのジャイアントキリングに戸惑い観客席周囲はざわざわとしていた。

アイリーンは歓喜のあまり大声で叫びながら喜んでいた。

「アレク様!素晴らしいですわ!」

「大したものですね・・・すごい」

アレクの強さにメリアも驚いているようだった。

アレクが待機室に戻るとサラが興奮して出迎えてくれる。

「アレク王子!さすがです!素晴らしい試合でした!」

「ありがとう、サラも頑張ってくれ」

「はい!頑張りましゅ!」

「次!」

「あ、私です」

「が、頑張れ」

「い、行っていましゅ」

サラは慌てて試合に向かう。

(サラの奴、大丈夫かな)

気張りすぎて噛みまくりのサラをアレクは一抹の不安を抱いて見送った。
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