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第壱章
第十三話 帰宅
しおりを挟む何事も無く、文字通り無事に家に着いた。白状しよう、僕は心底ほっとした。
僕は幽霊とか宇宙人とかの類いを信じている訳じゃないが、存在しないとも思わない。なんなら存在していたら面白いくらいに考えている。
安心したら自分が空腹だったことに気が付いた。
「姉さーん、お腹空いたー」
「分かったー、ご飯にしよう」
姉さんが自分の部屋から出てくるなり目を見開いている。
「あんた、何でそんな青白い顔してんの!?怖い映画でも見た?」
姉さんが殺人ピエロでも見たかのように引き気味に言うので僕も驚いた。自分が思うよりもずっと肝試しに怯えていたのだろうか。
「取り敢えずご飯でも食べなよ」
「そうだね、そうするよ」
晩ご飯は焼き肉のタレで味付けした豚肉と野菜の炒め物だ。簡単な割りに美味しい。美味しいのだが、先程の姉さんの言葉と共に噛み締める度食欲は減っていった。いつもならおかわりするところを今日は茶碗一杯だけで食事を終えた。
「あれ、もうご馳走様?食欲ないの?」
「まあね、疲れたからもう寝るよ。おやすみ」
一つ嘘をついてしまった。
「ふーん、おやすみ」
明日になれば食欲も出るだろうと普段よりも早めに寝ることにした。
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