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世紀の美青年
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「あっ、今はインハート家の奥様か」
会場から漏れ出ている光がその人の少し緑がかった金髪を照らした。肩には赤と金色の大綬を下げている。皇族の証だ。
ルードは彼に対して警戒態勢を取っているが、皇族のためか表立って敵意を表してはいない。
「初めまして。チェルシー・ローゼル・リックヨルンドです」
第二皇子であるチェルシー殿下だ。本来、伯爵家夫人に直々に挨拶に来るような身分の人ではない。
「初めまして、チェルシー殿下。ハレア・インハートです。お会いできて光栄ですわ」
ハレアは動揺を隠すかのようにドレスのスカートを両手で少し持ち上げ頭を下げた。
「団長の奥様が、こんな可愛らしい方だったとは。羨ましいですね。出会うのが団長より早かったら私があなたと結婚していたかもしれませんね」
「あら、殿下!お上手ですこと」
「でも、私は身分の関係もあって侯爵家以上の人と結婚しなければいけないので、どっちみちあなたとは結ばれないか……。まあ、本当に愛していれば身分も結婚していても関係ありませんけどね」
綺麗でまっすぐな前髪は彼の右目を覆っている。糸のように細い左目は常に笑っているようだ。なんとも掴めない人だ。
「殿下とはいえ、上司である団長の妻にそのような事をおっしゃって大丈夫なのですか?」
ハレアがそう問いかけるとチェルシー殿下の口角がクッと上がった。
そして、またしてもハレアの耳元に顔を近づけた。
「君は何者だい?従者の男、あれは只者ではない。それに、姿は見えないがもう一人君について守っている人がいる。団長だけではなく、第四隊長も君の監視を主にしている。君がバルコニーに出てから、第一隊の監視魔具は君の周りを常に見ている。極めつけはアレだ」
チェルシー殿下はハレアにだけ聞こえる小声でそう言いながら、庭先の木を指差した。
「あそこに一人、城の塀の死角に一人、そしてこのバルコニーの真下にもう一人、あれはゼゼの従者だ。たかが伯爵家夫人の君がなぜ第三皇子のゼゼに狙われている」
「チェルシー殿下、いくら『世紀の美青年』と呼ばれているあなたでも、僕の妻を口説くのはやめていただきたい」
バルコニーの入口にキルシュが立っていた。胸元のバラの花は赤く染まっている。
「やだな~。団長が頑なに奥さんを私に紹介しない理由が分かったよ。無邪気でとても貴族令嬢とは思えない可愛らしさだ。そしてそれ故に危うい。とても興味深いよ。じゃあ、またね、ハレア嬢」
チェルシー殿下はそう言ってハレアの右手を取り、手の甲にキスをした。
「彼女はすでに僕の妻です。インハート夫人と呼んでいただきたい、魔術師団第二隊長チェルシー・ローゼル・リックヨルンド」
キルシュのその言葉には何も返さず、右手を軽く上げてチェルシー殿下はバルコニーを去って行った。
「中に入ろう……。もうすぐ第三皇子殿下のラストダンスだ」
キルシュは眉間にしわを寄せ、不機嫌な様子でハレアを会場へと促した。
会場から漏れ出ている光がその人の少し緑がかった金髪を照らした。肩には赤と金色の大綬を下げている。皇族の証だ。
ルードは彼に対して警戒態勢を取っているが、皇族のためか表立って敵意を表してはいない。
「初めまして。チェルシー・ローゼル・リックヨルンドです」
第二皇子であるチェルシー殿下だ。本来、伯爵家夫人に直々に挨拶に来るような身分の人ではない。
「初めまして、チェルシー殿下。ハレア・インハートです。お会いできて光栄ですわ」
ハレアは動揺を隠すかのようにドレスのスカートを両手で少し持ち上げ頭を下げた。
「団長の奥様が、こんな可愛らしい方だったとは。羨ましいですね。出会うのが団長より早かったら私があなたと結婚していたかもしれませんね」
「あら、殿下!お上手ですこと」
「でも、私は身分の関係もあって侯爵家以上の人と結婚しなければいけないので、どっちみちあなたとは結ばれないか……。まあ、本当に愛していれば身分も結婚していても関係ありませんけどね」
綺麗でまっすぐな前髪は彼の右目を覆っている。糸のように細い左目は常に笑っているようだ。なんとも掴めない人だ。
「殿下とはいえ、上司である団長の妻にそのような事をおっしゃって大丈夫なのですか?」
ハレアがそう問いかけるとチェルシー殿下の口角がクッと上がった。
そして、またしてもハレアの耳元に顔を近づけた。
「君は何者だい?従者の男、あれは只者ではない。それに、姿は見えないがもう一人君について守っている人がいる。団長だけではなく、第四隊長も君の監視を主にしている。君がバルコニーに出てから、第一隊の監視魔具は君の周りを常に見ている。極めつけはアレだ」
チェルシー殿下はハレアにだけ聞こえる小声でそう言いながら、庭先の木を指差した。
「あそこに一人、城の塀の死角に一人、そしてこのバルコニーの真下にもう一人、あれはゼゼの従者だ。たかが伯爵家夫人の君がなぜ第三皇子のゼゼに狙われている」
「チェルシー殿下、いくら『世紀の美青年』と呼ばれているあなたでも、僕の妻を口説くのはやめていただきたい」
バルコニーの入口にキルシュが立っていた。胸元のバラの花は赤く染まっている。
「やだな~。団長が頑なに奥さんを私に紹介しない理由が分かったよ。無邪気でとても貴族令嬢とは思えない可愛らしさだ。そしてそれ故に危うい。とても興味深いよ。じゃあ、またね、ハレア嬢」
チェルシー殿下はそう言ってハレアの右手を取り、手の甲にキスをした。
「彼女はすでに僕の妻です。インハート夫人と呼んでいただきたい、魔術師団第二隊長チェルシー・ローゼル・リックヨルンド」
キルシュのその言葉には何も返さず、右手を軽く上げてチェルシー殿下はバルコニーを去って行った。
「中に入ろう……。もうすぐ第三皇子殿下のラストダンスだ」
キルシュは眉間にしわを寄せ、不機嫌な様子でハレアを会場へと促した。
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