「君を愛することはない」からの溺愛展開ってデフォルト設定だと思ってたんですが違いますか?

つかさ文研

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魔力会議

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「いや~、娘の夫とこうして話すのは凄く気恥ずかしいなぁ~。ハレアは家でちゃんとやってます?あの子、愛嬌は抜群だけど、何せ不器用でね~。あっ、手先のことね。ちょ~っとダイナミックなところがあるからね~」
 ハレアの父であるランベルは役1か月ぶりに愛娘に会える喜びからか、顔のにやけが止まらないようだ。

 ここは帝都中心部にある時計塔の中の会議室の一つ。予めキルシュによって防音の魔術を部屋全体に張っているようだ。
 ハレア自身もここに呼ばれているようだが馬車が遅れているのか、まだ到着していない。ランベルとハレアの兄、ソレートの向かえにはキルシュとロンが座っている。
 会うのは結婚式以来、2回目だ。結婚式自体、パーティなどは一切なく、身内のみでの式をして終わりだったため、挨拶程度しか交わしていない。
「御父上、ハレアはあのダイナミックなところが愛らしいんじゃないですか。で?ハレアのことはちゃんと愛してくれてるんですよね?まあ、愛さずにはいられない可愛さがあるからなぁ~、ハレアは。何が可愛いってまずは顔!あんな可愛い子は帝都中を探してもハレア以外いないんじゃないかな~。あとは~……」
 相変わらずの妹の溺愛ぶりを発揮して止まらないソレートだが、それを見てキルシュは少し顔が引きつっている。ロンはキルシュを『それ見たことか』とじっとりとした目でキルシュを睨んでいる。
 ロンはキルシュの一方的な契約婚を知って、ハレアのことを不憫に思っている。
「あ~、俺のことは『ソレートお義兄さん』と呼んでくれて構わないですよ。まあ、年は俺の方が下ですけど、形式上ね、義理の兄!なわけですし!」
 ソレートはキルシュに謎のマウンティングをしかけているが、キルシュは顔が引きつったまま貼り付いている。我慢しているのだ。本当は言い返したいし、今すぐにでも本題に入りたい。しかし、普段は冷徹魔術師なんて呼ばれ寡黙な人のイメージが付きまとっているため、必要以上のことは家以外ではなるべく話さないように抑えているのだ。
 ロンはこのロンダム家の独壇場とも言える空間を少し楽しんでいるようだ。キルシュには少し痛い目にあった方がいいと思っているからだ。

「すいません!道で事故があったみたいで遅れました!」
 ハレアが急いで部屋に入ってきた。そして少し遅れてルードがゆっくりと一人で入ってきた。
「大丈夫?ハレアに怪我はない?お兄ちゃんの隣においで!ぎゅ~してあげるから!」
「やっ!やめてよ!恥ずかしい!この年になってまでそんなことするわけないでしょ!」
 ハレアは顔を赤くして全否定した。
「そうだぞ!今はもうインハート家の妻なんだから!そういうのは帰ってからキルシュ君にしてもらいなね!」
 ランベルは少し照れくさそうにそう言った。ロンは隣のキルシュを横目で見てニヤニヤとしている。ルードはというと立っているからか、キルシュのことを冷ややかに見下ろしている。
「わっ、私はどこに座りましょう……」
 ハレアは立ったままあわあわしている。
「ハレアはお兄ちゃんのここに来なさい」
 ソレートはそう言って自分の膝の上をポンポンと手で叩いている。
「いや、ハレアちゃんはもうインハート家の人なんだからキルシュの隣に座ったら?」
 ロンはそう言っておいでおいでと手を動かしている。

「いえ、今回のお話合いは奥様のことなので、真ん中のお席でよろしいかと」
 ルードはそう言って、お誕生日席の椅子を引きハレアを促した。いつもはお嬢と軽口を叩いているルードだが、こういった場面では誰よりも真面目なようだ。ハレアが座ったあとはルードがハレアの後ろに立っている。ここではキルシュではなくハレアの使用人として来ているという意味合いだろう。

「それで、本題なのですが、ハレアさんの魔力についてなのですが……」
 キルシュがそう切り出した瞬間、ランベルとソレートは顔を見合わせて少し苦い顔をした。
「やはり、そのことですか……。まだ魔力は安定していませんか?魔術学校を卒業したので、ある程度は調節できるようになったと思っていたのですが……」
 ランベルはさきほどまでとは違い、声のトーンが落ちているのが分かる。

「ハレアは何か不安なことがあると魔力暴走を起こしてしまうんです……」
 ランベル少し重苦しく口を開けた。

「えっ?」
 ハレア自身も驚いている。魔力暴走をしたという記憶が一切ないからだ。

「あれ、ハレアの弟のジュードが生まれて間もない頃でした。妻の肥立ちが悪くて、医者以外面会できない時があったんです……」
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