28 / 50
…
しおりを挟む
「おかえり」
零のアパートの階段で座り込んだ直斗が笑顔で出迎えると
「…………」
零はそれを横目で睨みながら鍵を開けた。
「何怒ってんの?」
「……………………」
「解った!購買の前での事だろ!?……あれはさぁ……」
「それもだけどっ!それじゃない」
言い訳をしようとする直斗の言葉を遮り零が頬を膨らませた。
「あー………………授業のことだ?」
「授業の邪魔するなら……もう泊めないよ!」
直斗が零の肩に腕を置き抱きしめようして零に手を払い除けられた。
──あ……ちょっと本気で怒ってる……。
「別に授業の邪魔しようとした訳じゃないじゃん?俺真面目に答えたよ?」
直斗が何とか機嫌をとろうと、洗面台で手洗いとうがいをする零を後ろから抱きしめた。
「直斗くんも…ちゃんと手洗いとうがいして」
しかしまた直斗の腕を解き軽く睨む零に「はぁーい」と素直に返事をして直斗も手洗いとうがいを済ませた。
「零って几帳面?」
「……そんな事ないけど……。手洗いもうがいも習慣だから……」
零が目をそらす……。
「零?」
直斗がそれでもまた優しく抱きしめ
「本当に邪魔する気はなかったんだ。でも怒ったなら謝るし……もうやらない」
その言葉に今度は零も直斗の腕を解かず背中に腕を回した。
「ごめん……。でもマジで…あれはふざけたつもりは無くて……俺の本音だから……」
零がため息をつくと
「…解ってる……。俺も怒ってごめん……」
直斗の首筋に顔を埋めた。
どちらからともなく唇が重なる。
「………好きだよ…」
直斗が零の耳元で囁く。
零が黙ったまま背中にまわした手に力を込めた。
直斗が再び零に口付ける。
重なる唇から、肌から…直斗の思いが伝わってくる。
全てで零を好きだと告げてくれる。
──好きな人と喧嘩して……仲直りして……キスして……幸せだ……。
零は初めて感じられる幸福感に満たされていた。別にそんなに腹を立てている訳ではなかったのに自分でも驚く程『怒ったふり』をしてしまった。直斗の思いを確認したかったのかもしれない……と自分でも解っている。そして直斗は零の望む通りの好意を注いでくれた。
「零は?……俺のこと好き?」
息がかかる程耳のすぐ近くで聞かれ、くすぐったいのもあってつい笑ってしま
う。
「……好きだよ……」
照れながら返すと直斗が嬉しそうにまたキスをした。
背中から抱きしめる零の髪から甘いシャンプーの香りがする。乾ききっていない髪に顔を埋め、直斗は『くんくん』と匂いを嗅ぎ出した。
ベッドの中でウトウトしかけていた零が
「ちょっと……」
慌てて離れ身体を起こすと
「なんで匂い嗅ぐの!?」
赤い顔で今嗅がれていた所に手を当てる。
「え?……いい匂いだったから……」
直斗が何故そんな事を嫌がるのか分からない…と言いたげに目を丸くしている。悪気は本当に無いらしい…。
「それでも…嗅がないで!」
零が赤い顔のまま抗議する。
「なんで?イイじゃん匂い嗅ぐくらい…」
「やだよ!」
不貞腐れたように口を尖らせる直斗にすぐさま異議を唱える。24年間生きてきて人に匂いを嗅がれるなんて経験そうそう無い。
もしされれば『え?臭いかな……』と大概の人は心配になるだろう。
「イイじゃん…ケチ……」
ボソッと文句を言う直斗の隣に少し距離をおいて横になる。
「…………なんで離れんだよ」
「匂い嗅ぐから」
「もうしないよ」
そう言ってまだ顔を赤くしている零の身体を引き寄せ
「そんなに嫌ならこっち向けばイイじゃん」
零の首に口付ける。
「……そっち向くと直斗くん…すぐキスしようとするでしょ」
背中を向けるのは直斗から身を守る防衛手段だったのに…。
「もうー!零…あれダメこれダメ言い過ぎ」
直斗が嘆くかのように言って強く零を抱きしめた。
「相当我慢してるよ?俺……」
───それは……分かってるけど……。
黙りこくる零の耳元で
「キスか、零の匂い嗅ぐか、どっちか許して」
甘えた声を出した。その声に鼓動が早くなる。
──俺だって……我慢してるし……
今度は、それでも黙り込んでいる零の項の匂いを嗅ぎ出す。
「──!もうっ……」
離れようとした零の腕ごと抱きしめ
「いいの!……俺、零の匂い好きだから……」
逃げられない様にしてピッタリとくっついた。項に直斗の鼻があたってこそばゆく感じ零が思わず「…ん……」と声を立てた。
その声を合図とばかりに直斗が零の項にキスをしてそれが首筋へと移っていく…。
「直斗くん!」
零が慌てて振り返ると
「やっとこっち向いた」
直斗が嬉しそうに笑いかけキスをする。
───結局……どっちもじゃん………
自分の中に侵入してくる熱い舌に感じながら零もそれに応える。キスを重ねる度に自分の身体が反応しやすくなっているのが分かる……。
───直斗くんは……感じてる…かな……
そう思った途端何度か顔中にキスをされ
「これでやめる」
名残惜しそうに直斗がそう言って最後に唇に触れるだけのキスをして零を抱きしめた。
零が驚いた様に直斗を見上げる。この3日間キスする度に「やりたい」とか「しよう」とか…何度言われたか分からない。今朝など押し倒されそうにもなった…。
──そう言えば……学校の後から言われてない……。やっぱり……俺が男だから……?
昼間購買の前で女子生徒に抱きつかれていた直斗が頭に蘇る。
自分でも気付かない内に不安そうな顔をしていたらしく、直斗がそれに気付いた。
「授業中のあんな緊張した零見たら……簡単にヤラせてとか言えないでしょ…」
直斗が苦笑いして不安そうな顔ごと零を抱きしめ
「なに?零ちゃんも俺とヤリたい?」
ふざけた様に言って、キツく零を抱きしめた。
「そんな顔すんなよ……。マジで……我慢出来なくなるから……」
直斗の鼓動が肌を通して伝わる。
───きっと……俺の心臓の音も、直斗くんに届いてる……。
「実習終わったらいっぱい…しような」
直斗はそう囁くと零の額に優しく口付けた。
零のアパートの階段で座り込んだ直斗が笑顔で出迎えると
「…………」
零はそれを横目で睨みながら鍵を開けた。
「何怒ってんの?」
「……………………」
「解った!購買の前での事だろ!?……あれはさぁ……」
「それもだけどっ!それじゃない」
言い訳をしようとする直斗の言葉を遮り零が頬を膨らませた。
「あー………………授業のことだ?」
「授業の邪魔するなら……もう泊めないよ!」
直斗が零の肩に腕を置き抱きしめようして零に手を払い除けられた。
──あ……ちょっと本気で怒ってる……。
「別に授業の邪魔しようとした訳じゃないじゃん?俺真面目に答えたよ?」
直斗が何とか機嫌をとろうと、洗面台で手洗いとうがいをする零を後ろから抱きしめた。
「直斗くんも…ちゃんと手洗いとうがいして」
しかしまた直斗の腕を解き軽く睨む零に「はぁーい」と素直に返事をして直斗も手洗いとうがいを済ませた。
「零って几帳面?」
「……そんな事ないけど……。手洗いもうがいも習慣だから……」
零が目をそらす……。
「零?」
直斗がそれでもまた優しく抱きしめ
「本当に邪魔する気はなかったんだ。でも怒ったなら謝るし……もうやらない」
その言葉に今度は零も直斗の腕を解かず背中に腕を回した。
「ごめん……。でもマジで…あれはふざけたつもりは無くて……俺の本音だから……」
零がため息をつくと
「…解ってる……。俺も怒ってごめん……」
直斗の首筋に顔を埋めた。
どちらからともなく唇が重なる。
「………好きだよ…」
直斗が零の耳元で囁く。
零が黙ったまま背中にまわした手に力を込めた。
直斗が再び零に口付ける。
重なる唇から、肌から…直斗の思いが伝わってくる。
全てで零を好きだと告げてくれる。
──好きな人と喧嘩して……仲直りして……キスして……幸せだ……。
零は初めて感じられる幸福感に満たされていた。別にそんなに腹を立てている訳ではなかったのに自分でも驚く程『怒ったふり』をしてしまった。直斗の思いを確認したかったのかもしれない……と自分でも解っている。そして直斗は零の望む通りの好意を注いでくれた。
「零は?……俺のこと好き?」
息がかかる程耳のすぐ近くで聞かれ、くすぐったいのもあってつい笑ってしま
う。
「……好きだよ……」
照れながら返すと直斗が嬉しそうにまたキスをした。
背中から抱きしめる零の髪から甘いシャンプーの香りがする。乾ききっていない髪に顔を埋め、直斗は『くんくん』と匂いを嗅ぎ出した。
ベッドの中でウトウトしかけていた零が
「ちょっと……」
慌てて離れ身体を起こすと
「なんで匂い嗅ぐの!?」
赤い顔で今嗅がれていた所に手を当てる。
「え?……いい匂いだったから……」
直斗が何故そんな事を嫌がるのか分からない…と言いたげに目を丸くしている。悪気は本当に無いらしい…。
「それでも…嗅がないで!」
零が赤い顔のまま抗議する。
「なんで?イイじゃん匂い嗅ぐくらい…」
「やだよ!」
不貞腐れたように口を尖らせる直斗にすぐさま異議を唱える。24年間生きてきて人に匂いを嗅がれるなんて経験そうそう無い。
もしされれば『え?臭いかな……』と大概の人は心配になるだろう。
「イイじゃん…ケチ……」
ボソッと文句を言う直斗の隣に少し距離をおいて横になる。
「…………なんで離れんだよ」
「匂い嗅ぐから」
「もうしないよ」
そう言ってまだ顔を赤くしている零の身体を引き寄せ
「そんなに嫌ならこっち向けばイイじゃん」
零の首に口付ける。
「……そっち向くと直斗くん…すぐキスしようとするでしょ」
背中を向けるのは直斗から身を守る防衛手段だったのに…。
「もうー!零…あれダメこれダメ言い過ぎ」
直斗が嘆くかのように言って強く零を抱きしめた。
「相当我慢してるよ?俺……」
───それは……分かってるけど……。
黙りこくる零の耳元で
「キスか、零の匂い嗅ぐか、どっちか許して」
甘えた声を出した。その声に鼓動が早くなる。
──俺だって……我慢してるし……
今度は、それでも黙り込んでいる零の項の匂いを嗅ぎ出す。
「──!もうっ……」
離れようとした零の腕ごと抱きしめ
「いいの!……俺、零の匂い好きだから……」
逃げられない様にしてピッタリとくっついた。項に直斗の鼻があたってこそばゆく感じ零が思わず「…ん……」と声を立てた。
その声を合図とばかりに直斗が零の項にキスをしてそれが首筋へと移っていく…。
「直斗くん!」
零が慌てて振り返ると
「やっとこっち向いた」
直斗が嬉しそうに笑いかけキスをする。
───結局……どっちもじゃん………
自分の中に侵入してくる熱い舌に感じながら零もそれに応える。キスを重ねる度に自分の身体が反応しやすくなっているのが分かる……。
───直斗くんは……感じてる…かな……
そう思った途端何度か顔中にキスをされ
「これでやめる」
名残惜しそうに直斗がそう言って最後に唇に触れるだけのキスをして零を抱きしめた。
零が驚いた様に直斗を見上げる。この3日間キスする度に「やりたい」とか「しよう」とか…何度言われたか分からない。今朝など押し倒されそうにもなった…。
──そう言えば……学校の後から言われてない……。やっぱり……俺が男だから……?
昼間購買の前で女子生徒に抱きつかれていた直斗が頭に蘇る。
自分でも気付かない内に不安そうな顔をしていたらしく、直斗がそれに気付いた。
「授業中のあんな緊張した零見たら……簡単にヤラせてとか言えないでしょ…」
直斗が苦笑いして不安そうな顔ごと零を抱きしめ
「なに?零ちゃんも俺とヤリたい?」
ふざけた様に言って、キツく零を抱きしめた。
「そんな顔すんなよ……。マジで……我慢出来なくなるから……」
直斗の鼓動が肌を通して伝わる。
───きっと……俺の心臓の音も、直斗くんに届いてる……。
「実習終わったらいっぱい…しような」
直斗はそう囁くと零の額に優しく口付けた。
0
あなたにおすすめの小説
必ず会いに行くから、どうか待っていて
十時(如月皐)
BL
たとえ、君が覚えていなくても。たとえ、僕がすべてを忘れてしまっても。それでもまた、君に会いに行こう。きっと、きっと……
帯刀を許された武士である弥生は宴の席で美しい面差しを持ちながら人形のようである〝ゆきや〟に出会い、彼を自分の屋敷へ引き取った。
生きる事、愛されること、あらゆる感情を教え込んだ時、雪也は弥生の屋敷から出て小さな庵に住まうことになる。
そこに集まったのは、雪也と同じ人の愛情に餓えた者たちだった。
そして彼らを見守る弥生たちにも、時代の変化は襲い掛かり……。
もう一度会いに行こう。時を超え、時代を超えて。
「男子大学生たちの愉快なルームシェア」に出てくる彼らの過去のお話です。詳しくはタグをご覧くださいませ!
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
交際0日婚の溺愛事情
江多之折(エタノール)
BL
死にたくはない。でも、生きたくもない。ふらふらと彷徨う根無し草は、世界の怖さを知っている。救いの手は、選ばれた者にだけ差し伸べられることも知っている。
だから緩やかに終わりを探して生きていた。
──たった数回の鬼ごっこを経験するまでは。
誠実すぎて怖い人は、4回目の顔合わせで僕の夫となる。
そんな怖がりな男と誠実な男の、結婚生活の始まり。
■現実だけど現実じゃない、そんな気持ちで読んでください。
■家庭に関してトラウマを抱えている方は読まない方が良いと思います。
落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした
444
BL
『醜い顔…汚らしい』
幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。
だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。
その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話
暴力表現があるところには※をつけております
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
生まれ変わりは嫌われ者
青ムギ
BL
無数の矢が俺の体に突き刺さる。
「ケイラ…っ!!」
王子(グレン)の悲痛な声に胸が痛む。口から大量の血が噴きその場に倒れ込む。意識が朦朧とする中、王子に最後の別れを告げる。
「グレン……。愛してる。」
「あぁ。俺も愛してるケイラ。」
壊れ物を大切に包み込むような動作のキス。
━━━━━━━━━━━━━━━
あの時のグレン王子はとても優しく、名前を持たなかった俺にかっこいい名前をつけてくれた。いっぱい話しをしてくれた。一緒に寝たりもした。
なのにー、
運命というのは時に残酷なものだ。
俺は王子を……グレンを愛しているのに、貴方は俺を嫌い他の人を見ている。
一途に慕い続けてきたこの気持ちは諦めきれない。
★表紙のイラストは、Picrew様の[見上げる男子]ぐんま様からお借りしました。ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる