記憶の海

海花

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ホテルの部屋に入るなり冬音夜のデニムのパンツと下着だけを下ろし後ろから冬音夜の中へと入っていく。

「───んッ……ああッッ…!…………」

すると部屋に冬音夜の苦痛にも似た声が響いた……。
それでも少し前まで違う誰かを咥えていただけあってすんなりと奥まで受け入れる。
涼太はそれにイラつき、冬音夜の腰をグッと引き寄せると激しく煽った。

「……ぁんッ…………ダメ……」

冬音夜の声が苦痛から微かに色を帯びた様に変わり、それに気付いた涼太は自分でも抑えられない程の昂ぶりを覚えた。

───冬音夜を………独占したい………

無理矢理、冬音夜を自分へ向かせ壁に押し付けると、片足を上げさせ再び中へと入っていく。

「──ンんッ!…………ぁ……」

感じながらも、冬音夜の瞳はどこか冷静に見え、それが涼太をまたイラつかせた。
噛み付く様に キスをして舌を捩じ込み絡ませる。
すると一瞬戸惑ってから冬音夜も応えるように舌を絡ませた。
壁に押し当て動けない身体を激しく煽り、程なくして涼太は絶頂を迎えると、それと同時に冬音夜の蕾もヒクヒクと波打つ様に痙攣して、白濁のそれを吐き出した。



「あの男と何をした?」

突然の言葉に冬音夜は意味が分からず

「───え……?」

思わず聞き返した。

「さっきお前が降りた車のおっさんだよ。あのおっさんと何をしたのかって聞いてる」

冬音夜は目の前の男を訝しげに見つめた。

「…………おっさんて……」

独り言の様に呟くと

「…普通に………セックスしただけです…」

「………普通にね……」

自分で聞いておきながら、大して関心が無さそうに鼻を鳴らす男に小さくため息を吐いた。

───なんなんだ…………?

さっさと服を脱ぎ始める男の背中を見つめる。
正直冬音夜は名前も知らないこの男が得意じゃなかった。金払いは客の中でダントツだったが、何を考えているのかイマイチ解らない。
解るのは『自分のことを完全なおもちゃ』だと思っていること。
しかしそこは気楽だった。変に「好きだ」とか「愛してる」と言われるより、金の為だと冬音夜も割りきれる。
嘘でも愛情を見せられると、金を受けとる時に微かな罪悪感が今でも消えない。
一年以上 “こんなこと” をしているのに…。

「何してる?早く脱げよ」

突っ立っている冬音夜に呆れた様に言うと、自分は裸のままソファーへ座った。
冬音夜は言われた通り服を脱ぎ男を見つめる。

「舐めてよ」

男が軽く笑みを浮かべ冬音夜に『指示』する。
冬音夜は男の前に跪くと、少し反応しているそれを口に咥えた。
最初は抵抗があった“これ”も一年以上経つと『金の為』だと割り切れる様になった。

───全て……金の為だ…………。

冬音夜が指と舌を使い男のそれを愛撫していくと、微かに男の喉の奥から声が漏れる。

「……お前は自分でやれよ………」

冬音夜の口で大きくなっていくそれを感じながら男がまた『指示』を出す。しかし口の中で舌を使いながら冬音夜は男を上目遣いで見つめた。

「……早く…やれ……」

───嫌だな…………

心の中でため息を吐く。
そして全く反応していない自分のそれに右手を伸ばした。
他の客からも時々言われる。

『1人でやって見せてくれ』と……。

人前で、しかも自分は別にゲイじゃないから男から見られていても恥ずかしくなるだけだ。
余計勃たなくなる分でも、高揚する訳でも、まして感じるハズもない…。

───しかも……今イッタばかりなのに……。

それにこの男と会う前に散々イカされている。
冬音夜はそれでも指示に従い、自分のそれを右手で弄り始め、男はその様子を満足気に見つめる。
勃つはずの無い自分の物を弄るフリをしながら口の中の男のモノに意識を集中する。早くイカせてしまえば、もしかしたら状況も変わるかもしれない。
すると冬音夜の髪に男の手が触れた。
思わず身体が身構える。時々口でしていると突然髪を掴まれ無理やり奥まで突っ込まれることがあるからだ。
ひどい時など吐いてしまったこともあった。
しかし……男の手が冬音夜の髪を優しく撫でた。自分のモノを口に咥えている冬音夜の髪を何度も優しく撫でるのだ。
意外な行動に冬音夜の動きが止まり顔を見上げる。

「ん?」

陶酔したような顔が優しく見つめ返す。
冬音夜は首を軽く横に振るとまた男のそれに舌を絡め始める。

───やっぱり……よく分からない……

「…冬音夜」

今度は突然呼ばれ自分の顔のそばに来るよう指で合図している。
一瞬考えてから男のそれを口から出し、膝で立ち男に近付いた。すると───

「……ちゃんと弄ってろ」

そう一言だけ言い冬音夜に口付け舌を絡ませた。
激しく絡む舌に冬音夜の喉が音を漏らす。

「────ンっ…………」

激しく舌を絡め冬音夜の口の中全てを舐め尽くしながら、自分の左手を止まったまま動かないでいる冬音夜の右手に添え、動かす様に促した。
すると自分のそれが反応し始めているのに気付いた。
男が唇から首筋へと舌を這わせると顕著に反応していく……。

「……ぁっ…………ん…………」

息遣いが乱れ自分の声が耳元に響く。
男がそれを嬉しそうに見つめ冬音夜の手の上から自分の手を重ね、指を絡めるように動かす。

「────はっ……んッ……い…ぃ………」

今度は間違いなく冬音夜の顔が快感に歪み、それを見ると男はまた冬音夜に口付けた。









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