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第肆章 決戦
突破!
しおりを挟むルーフェはそう決意した途端、身体が急に軽くなった。心の重荷が一気に無くなったのを、自分でも感じられる。
身体に残るダメージは消えた訳ではない。
だが、これならば後一度だけ――最後に一度だけ戦える。
……否、戦うと言うのは違う。
ルーフェには竜と戦う気は無い。後ろの門にさえ辿り着きさえすれば、それで良いのだ。
だが、簡単にはいかない。
竜の身体は門全体を覆う程に巨大で、常に門の前から動かない。
横から回り込んだとしても、鋭い爪と巨体に阻まれる。
つまり竜を倒さない限り、門へと向かうことすら叶わない、はずだ。
――――
だが……一つだけ方法がある。それはかなり危険な方法だが、今のルーフェにはやり遂げる自身があった。
剣を構え直し、ルーフェは再度竜へと向かって行く。
そんな彼に、竜は口元にエネルギーを溜め、特大の光弾を放つ。
確かに剣は、光弾のエネルギーを吸収出来る、
しかし――だとしても、この大質量のエネルギー体に当たれば、ただではすまない。
ルーフェは、剣で防御の姿勢を取る。光弾はそこに直撃した。
周囲は爆炎と煙に包まれ、視界は遮られる。
剣の反応は、まだあの中にある。自身の力、その一片を未だ感じる竜は、警戒して守りに入る。
やがて煙が晴れ、目の前の様子が見えて来た。
すると、そこにあったのは地面に突き刺さった剣だけ、ルーフェの姿は無かった。
――奴は一体、どこに行った――
竜はそう考えるかのように、辺りを見渡し、その姿を探す。
……その時、すぐ近くに動く気配を感じた。
自身の長い首を動かし、竜はその方向へと頭を向けると、遺跡の柱を、渡り飛ぶルーフェの姿があった。
折れた柱から柱へと飛び移り、出来るだけ、より高い場所へと目指していた。
――何を企んでいるか知らないが、ここで終わらせる!――
竜は両翼をはためかせ、宙へと浮かび上がった。
巨大な翼から生み出される、猛烈な劇風。
辛うじて、ルーフェは柱の端を掴み、強風に耐える。
だが――。
今度は、前足の爪を剥き出しにして竜は、柱ごと叩き潰さんと襲い掛かる。
威圧するかのように迫る巨体、だがルーフェはそれを真っ直ぐ見据え、その場で待ち受ける。
互いの距離は狭まり、そして、竜は柱を粉砕した。
その巨大な足と鋭い爪に砕かれ、崩壊する足場、
。
だが彼は、それを待っていた。
ルーフェはその一瞬、柱から、竜の前足へと飛び移り……一気に駆け上る!
竜が反応し、妨害する間もなく――早く。
腕、肩、そして背中を駆け抜けるルーフェ。
その途中、ふと竜と目が合った。
そこにあったのは驚愕の感情、その時に竜はルーフェの狙いに気づいた。
が……それも、もう手遅れだ、竜もそれを悟ったようだ。
しかし竜に怒りは無く、代わりに見せたのは安堵の感情だった。
それはまるで、ルーフェを見送っているかのよう、そう思えた。
竜の背中を駆け抜け、ルーフェは地上に降り立つ。
前方には円形の門が見える。竜の後ろを取り、障害物はもはや無い。
ルーフェは走り、ついに――その門をくぐった。
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