46 / 63
番外編 その2 竜の娘の、その旅路。
二匹の竜
しおりを挟む
この言葉に、ラキサは不思議に思った。
「それって、どう言うことかしら?」
その問いを聞き、軽く微笑んだ、テオ。
「言葉通りの意味、さ。僕とこの村の人は、普通の人間じゃ、ないんだ。
……今、見せてあげるよ」
と、彼は瞬間、高台から後ろに倒れるように、下へと落下した。
「テオっ!」
テオの姿は消え、慌てたラキサは落下した先を、とっさに見に行こうとした。
すると――
ブワッ!
するとそこからいきなり、激しい強風とともに、黒く巨大な影が飛びたった。
そう、それは――
〈これが、僕の本来の姿さ〉
空を飛ぶもの。巨大な翼を広げ、宙を浮かぶのは――細身で優美な、漆黒の竜であった。
〈この姿で飛べば旅はアッという間だけど、面白くないしね。それに大きくて目立つし、だから人間の姿をずっとしていたんだ。
やっぱり、旅はゆっくりと、楽しみたいよね〉
黒竜はテレパシーのようなもので、ラキサの心に直接、語りかけてくるようだ。
「もしかして……テオくん、なの?」
彼女の言葉に、竜はその長い首で、頷いた。
〈もちろん。この村のみんなだって、そうなんだ。
それに……君だって〉
テオの故郷である、ルインズドラ。そこは竜の一族の、隠れ里であったのだ。
ようやく彼女は、この言葉で、悟った。
「竜の生き残りは、私だけだって、ずっと思っていたの。
テオくんと私は、一緒……ふふっ」
ラキサは、そう――嬉しかった、
「とても、嬉しいな。私、独りなんかじゃ、なかったんだ!」
――――
はるか天高く、雲海を突き抜けて大空を飛ぶ二体の竜。
漆黒の竜と、それよりいくらか大きな、白銀の竜。
二体は隣り合いながら、仲睦まじそうに、まるで白と青の空をステージに、舞踏を舞うかのようだ。
〈テオ、……テオ! 私、貴方に会えて、良かった!〉
ラキサはテオに、そう呼びかけた。
〈僕もだよ! 人間の姿も、その白く輝く竜の君も、とても綺麗だ! ラキサ!〉
互いにそう呼びあいながら、翼をはためかせて、さらに空へと昇る。
眼下には、白い雲が広がる、大雲海。
竜は天空から、それを見下ろす。
〈どうかな? さっきも言ったけど、旅が終わっても、僕は君と一緒にいたいんだ。
本当に、君が大好きなんだから!〉
ラキサもまた、喜んでいるようだ。
〈まだまだ先のことかもしれないけど、テオの気持ち、私は受け入れるよ。
ふふっ、その時は……私のお父さんにも、伝えないとね〉
出会いは偶然ではあった。が、竜の一族である二人の絆、それは確かに本物だった。
それから数年後、ラキサとテオの二人はさらに絆を深め、この竜の里へと戻り、ついに結ばれることになる。
……しかし、これはまだ先の、別の話となるだろう。
「それって、どう言うことかしら?」
その問いを聞き、軽く微笑んだ、テオ。
「言葉通りの意味、さ。僕とこの村の人は、普通の人間じゃ、ないんだ。
……今、見せてあげるよ」
と、彼は瞬間、高台から後ろに倒れるように、下へと落下した。
「テオっ!」
テオの姿は消え、慌てたラキサは落下した先を、とっさに見に行こうとした。
すると――
ブワッ!
するとそこからいきなり、激しい強風とともに、黒く巨大な影が飛びたった。
そう、それは――
〈これが、僕の本来の姿さ〉
空を飛ぶもの。巨大な翼を広げ、宙を浮かぶのは――細身で優美な、漆黒の竜であった。
〈この姿で飛べば旅はアッという間だけど、面白くないしね。それに大きくて目立つし、だから人間の姿をずっとしていたんだ。
やっぱり、旅はゆっくりと、楽しみたいよね〉
黒竜はテレパシーのようなもので、ラキサの心に直接、語りかけてくるようだ。
「もしかして……テオくん、なの?」
彼女の言葉に、竜はその長い首で、頷いた。
〈もちろん。この村のみんなだって、そうなんだ。
それに……君だって〉
テオの故郷である、ルインズドラ。そこは竜の一族の、隠れ里であったのだ。
ようやく彼女は、この言葉で、悟った。
「竜の生き残りは、私だけだって、ずっと思っていたの。
テオくんと私は、一緒……ふふっ」
ラキサは、そう――嬉しかった、
「とても、嬉しいな。私、独りなんかじゃ、なかったんだ!」
――――
はるか天高く、雲海を突き抜けて大空を飛ぶ二体の竜。
漆黒の竜と、それよりいくらか大きな、白銀の竜。
二体は隣り合いながら、仲睦まじそうに、まるで白と青の空をステージに、舞踏を舞うかのようだ。
〈テオ、……テオ! 私、貴方に会えて、良かった!〉
ラキサはテオに、そう呼びかけた。
〈僕もだよ! 人間の姿も、その白く輝く竜の君も、とても綺麗だ! ラキサ!〉
互いにそう呼びあいながら、翼をはためかせて、さらに空へと昇る。
眼下には、白い雲が広がる、大雲海。
竜は天空から、それを見下ろす。
〈どうかな? さっきも言ったけど、旅が終わっても、僕は君と一緒にいたいんだ。
本当に、君が大好きなんだから!〉
ラキサもまた、喜んでいるようだ。
〈まだまだ先のことかもしれないけど、テオの気持ち、私は受け入れるよ。
ふふっ、その時は……私のお父さんにも、伝えないとね〉
出会いは偶然ではあった。が、竜の一族である二人の絆、それは確かに本物だった。
それから数年後、ラキサとテオの二人はさらに絆を深め、この竜の里へと戻り、ついに結ばれることになる。
……しかし、これはまだ先の、別の話となるだろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる