科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

文字の大きさ
264 / 418

信仰のない人

しおりを挟む
学歴は、昔は信仰ではなかったが
今では形骸になっていることは

加藤のような人間を
研究所が必要としている
事からも解る。


本当に優秀な人間だったら
黙って居ても優れた業績を
残すものだが


この研究所でも、そうした人は限られていて


多くは、井川や三浦のように
楽して儲けようと言う
堕落した人間で

だから、外部から人を募って

研究を続けないとならない。


いや、ならないと言う事はないが

結局、終身雇用と
労働組合に守られて


何不自由無いのに、研究費の私的流用を考えるような
愚かな人間が増えてしまったので



研究所は、外部委託の
研究者を

正規雇用をする事に決めた。


研究者として不向きな
学歴の高い人間を
減らす目的である。






加藤は、ぼんやりと
ゆりたちの事を考えていた。


17歳だったゆりは
初々しい、と言うよりは
幼い、と言う感じで

誰にでも懐く子犬のようだった。


なぜか、加藤とはちょっとした親子くらいの年齢差があるのに


見た目、加藤は10歳くらい
若く見えるせいで

並んでいても違和感なく
誰が見ても恋人、のように
映ったようだった。



親しい雰囲気と
そのふたりの距離の狭さ、

ぴったり、と言う間隔で
いる二人を

何故か、皆誤解している
ようだった。



いつも、二人でいると


皆は遠巻きにして見ているような(笑)そういう
感じに

いつしか、加藤も気づく。



なんらかの関係があると
見られていたのだろう。



そういうふたりに割って入るのは

ゆりの友達のゆか、だった。

「ゆかとも遊んでくださいよー」


この遊んで、と言うのが

レジャーに連れていってと言う意味だと
加藤は
思っていたのだが

どうもそうではなく、禁じられた遊びをしたい(笑)
という事だと

後で加藤は気づく。



面白いものだ。




日本も昔はそうだったが
田舎では明治あたりまで
性はオープンだったから

若い娘も、青年も
村の共有財産、そんな側面があったから
かえって、それが


変に親子だから命令関係にある、なんて


物々しい話にならず


おおらかな日本的解放があった。



性も本能なので、隠蔽せずに解放してしまう。


メキシコとか、ブラジルとか
あちらの方面の雰囲気にも
似ていて

そういえば寂しげな音楽が
好まれるところも良く似ていると

加藤は思う。





家族、なんて
みみっちい枠に縛られるのが
嫌いな人々は

発散すると少しブルーになるのだろうか?





発散できずにイジイジとしている三浦あたりは
一生到達できない感覚だろうか。





「自由な感じがするね」と

ゆりも、ゆかも加藤を
そう表した。




しかし、ゆりの望みは
その加藤を、店、とか
家庭、に枠に閉じ込める
事になる事。

それに気づいたゆりは
泣いたけど

でも、加藤の幸せの為に



自らの望みを諦める
美しい心を持っていた。




「いつも、自由にしててね」と



笑ったゆりは、それでも


ブラジルのサンバのように
少し寂しげだった。


なるほど、愛は淋しいのだろう。






そういうロマンチックな
心情に浸れる加藤は幸せだと自分でも思う。




そういう記憶がおそらくないのだろう、なので


井川や三浦は、加藤の
幸せを妬んでいるのかな、
なとと少し思う。



自由で、どこに言っても
大丈夫な加藤は



派遣、というよりは
自由業に近く思われたのだろう。


抑圧と束縛の正社員たちからすると。




自由になりたければ
そうすればいいのだが。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

他人の寿命が視える俺は理を捻じ曲げる。学園一の美令嬢を助けたら凄く優遇されることに

千石
ファンタジー
【第17回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞】 魔法学園4年生のグレイ・ズーは平凡な平民であるが、『他人の寿命が視える』という他の人にはない特殊な能力を持っていた。 ある日、学園一の美令嬢とすれ違った時、グレイは彼女の余命が本日までということを知ってしまう。 グレイは自分の特殊能力によって過去に周りから気味悪がられ、迫害されるということを経験していたためひたすら隠してきたのだが、 「・・・知ったからには黙っていられないよな」 と何とかしようと行動を開始する。 そのことが切っ掛けでグレイの生活が一変していくのであった。 他の投稿サイトでも掲載してます。 ※表紙の絵はAIが生成したものであり、著作権に関する最終的な責任は負いかねます。

処理中です...