科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

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言えない事

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その井川の汚職事件には裏事情がある。

井川の懇意にしている役員が
井川に、860万円の高級車を
買え、と命令したのだった。


役員が、研究費を流用できないから
格下に悪い事をさせる。


ほとんどやくざと変わらないが


貨幣流通と資本主義は、こんな
ふうに人の心を犯罪に走らせるのだろう。

それで、加藤は
自然エネルギー源の無料化で
資本主義も崩壊させたのだ。
いずれ、この研究所にも変化が起こる。



言えない事は、誰にでもある。


「どうして、超電導が常温で起こるのですか?」


井上の同僚の格下、太田が言う。


太田もまた、受験でエネルギー源を使い果たした人物だった。


加藤は静かに言う。
「超電導の原理がよく解っていないのです。現在の科学では。ただ、推測では」

加藤も、それは魔法ですとも言えない(笑)。




「0K付近の低い温度は、熱が発生していません。宇宙空間に近い状況なのですね。


かつて、物質が発祥する前はすべて素粒子、光子でしたから

光の速度を持っています。質量はありません。

当然ながら、電気抵抗もない。

higgsEnvironmentが変異的に、それを拘束した」



加藤は、静かに言うと、井川は



「それを、常温で起こるようにした、と言うのか?」


加藤は首を振り「いえ、そうは言えませんけれど。高温超電導とは違う理論である事は確かです」


もともと、向こうの世界に行ってしまったもうひとりの加藤が発明したので

こっちの加藤は経緯を知らない(笑)

言えない事は、誰にでもある。






加藤は、ななやジョナサンにも言っていない事もある。



ゆりが、中学生の頃

教師がゆりに恋してしまい、犯されそうになった、と言う事だった。



その事を、ゆりは
知り合った頃に加藤に告げて


「こんなあたしを嫌じゃあない?」と
正直に言ったのだった。



言えない事を言う、ゆりの勇気に加藤は感銘を受け

それが、ゆりを大切にしようと思うきっかけでもあった。



「いいんじゃない?」加藤がそれを即答したのは
アルバイト中の
誰もいない早朝の店だった。




加藤は、それがゆりの愛の言葉とは
思っていなかったのだが(笑)

ゆりは、それを返答として受け取る。




それも認知症のようなものだが(笑)


誰を傷つける事にもならない。

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