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「……ん、」
ぼんやりした視界に、見知らぬ天井が映る。頭が上手く回らない。遠くで雨の音がする。ゆっくりと意識が浮上して、セイは起き上がった。
ぱちぱちと音の鳴る方に目をやる。暖炉の火が薄暗い室内を赤く照らし、その近くに見知った姿があった。彼はセイに気づくと振り返って、にこやかに笑う。気まずさを感じるより先に、セイは驚きで目を丸くした。
「神父、様……?」
「気がついた?体調はどう?」
「大丈夫です。……あの、神父様。包帯は、」
答えもそこそこに、そっと問い返す。上着だけでなく、いつもレンの顔を覆っていた包帯もが解かれ床に置かれていて、端正な顔が露わになっていた。月を彷彿とする瞳が、暖炉の火を映して揺らいでいる。あぁ、とさほど気にする様子もなく、レンは目元に手を添えた。
「雨に濡れてしまったから。元々眩しいからという理由でつけているだけだしね。それより君も随分濡れたでしょう?寒くはない?」
「雨……。私、どうして、」
言いかけて、噤む。喉からヒュッと空気が抜け、みるみる顔から血の気が引いていく。皮肉なことに、記憶はしっかりと残っていた。掛けてくれたのだろう古い麻布がぱさりと床に落ちる。しかしセイには、それに構う余裕はない。
「神父様、私、なんてことを」
「気にしなくて良いよ。むしろ、あれだけ抗えるのは本当に凄いことなんだ。それより本当に大丈夫?」
レンがそっと近づいて、セイの前に膝をつく。初めて何の障壁なく目線が合わせられ、どきりと胸が高鳴った。綺麗な瞳に魅入られていれば、問い掛けと共にそっと手が伸ばされる。何度も自分を撫でてくれた優しい空気を纏う手は、しかし頬に触れる直前に動きを止めた。申し訳なさそうに眉を下げて、引っ込められかけたレンの手を、そっと握って自らの頬にあてる。レンが息を飲んだのが聞こえた。
「……俺に幻滅したでしょう?」
「幻滅した……そうですね。でもそれより、悲しかったです」
「……」
「番探しは神父である貴方にとって当然で、あれだけ上から強要されれば立場上逆らうのは困難だと、理解はしています。けれど……悲しかった」
「ごめんね。結局俺も、君が嫌う他の男性と同じなんだよ」
「それは違います」
セイはきっぱりと言い切った。丸く見開いたレンの瞳に、関係なく「満月のようだ」など思いながら、言葉を続ける。
「私、貴方でない神父様を庇ったのですが、彼は私に目もくれず逃げていきました。自分のことしか見ていない、自分のことしか考えていない。それが私の、大半の男性への見解です」
「嗚呼、途中で行き合った彼だね。彼には強く言っておくから……」
「でも貴方は違うじゃないですか。勝手に一人で森に入って、勝手に窮地に陥った私を、ちゃんと見つけてくれました。あんな状態になった私を、必死に宥めてくれました。雨の凌げる場所に連れて来てくれました。……感謝しています。本当に、ありがとうございました」
「……良いんだよ。俺だって勝手にしたことだ。君が無事で、本当に良かった」
レンはセイを抱き締めた。壊れ物に触れるように優しく、少し躊躇いがちに。その背に、セイも手を回す。そうすると、身体をぐっと引き寄せられた。嫌悪感は、やはり感じない。それどころか、あれだけ不安に凍っていた心をじんわりと溶かしてくれるようにも思えた。
上着を抱き締めているよりずっと、あの匂いを感じる。意識が朦朧としていたあの時にさえ、感じることが出来た彼の匂い。自分を落ち着かせてくれた、優しくも熱を纏った不思議な匂い。セイは身体を委ねる。お互いの衣服の湿り気など気にならないくらい、寄り添った肌はあたたかい。
いつもより速い鼓動が伝わってくる。自分のものなのか、彼のものなのか……両方か。
孤独感が解かれていく。どうにも離れたくなくて、もう隠しきれなくて、溢れる気持ちは言葉になって止めることは出来なかった。後先など、どうでもいい。
「神父様、私は、……私は、神父様のことが、」
ゆっくりと紡がれる言葉は、顔を上げた際に途切れた。冷たい人差し指が置かれて、穏やかに笑みが見えて、
触れるだけのキスをした。
「女性に先に言わせるのは、ね?俺から言わせて。……愛してるよ。セイを、愛してる」
「……!」
「ずっと言い訳をして、諦めていたけれど。君のことを諦めたくない。傍に居てほしい」
「はい。……っ、はい……!私も、貴方をお慕いしております。神父様」
涙が溢れた。一人で流していたものとはまるで違う、心のキャパシティを超えた幸せがそのまま流れ出したように。レンはずっと優しく微笑んでくれていて、細められたその瞳に、情けない自分の顔が映し出されている。涙を拭うこともしないまま、彼につられるようにセイも笑った。
また唇を重ねる。感じたことのない多幸感に包まれるのを感じながら、しかし初めての口づけに少しだけ強張ると、それを察したのかレンが小さく笑った。
「わ、笑わないでください。不慣れなんです」
「ごめん。可愛らしくて、つい……」
ばつが悪そうに、セイはレンの肩元に顔を埋めた。くすくすと笑い声が聞こえて、背中を摩られる。まるで子供をあやすかのように。
「初めて、人の顔が見たいと思ったよ。君は今、きっと可愛い顔をしているのだろうね」
「見なくて良いです。……もう」
先ほどのように、彼の匂いで心が落ち着かせられやしないかとしがみついたところで、ふと。セイは神妙な面持ちで顔を上げた。急に離れたことで不思議そうに見つめるレンに気を留めないまま、彼の首元に再度顔を寄せる。
「セイ?」
「……違う匂いがします。香水のような、」
「え……、……」
今度はレンが眉間に皺を寄せた。雨に濡れても、根強く残った人工的な香り。女性ものであることは、普段香水を使わないセイでもわかった。それに加えて彼の顔を見れば、いやでもその理由は理解出来てしまって。唇を噛んでから、セイはぎゅっとレンにしがみついた。
「……」
「ごめんね。シャワーは浴びた筈なんだけれど、こびりついていたのかな」
「………」
「嫌なら離れて良いんだよ。すぐには落とせないから」
「…………」
「……、セイ?」
心配そうに名前を呼ぶレンにも、セイは反応しない。嫌そうではあるが、離れようとはしないセイにどうしたものかとレンが困惑していると、ぽそりと、セイが何か呟いた。
「ごめん、聞き取れなかった。なんて……」
レンの言葉を、セイが唇を重ねて遮った。勢いが良すぎて少しだけ歯が当たったのを気にする暇はなく、ぐいぐいと身体を密着させてキスを繰り返すセイに応えながら、段々と後ろに倒れかける身体を支える。
「セ、イ、どうしたの」
「……いて」
「?」
「……抱いてください。私を」
「……!?」
ようやく離れたセイの顔は、真っ赤だった。したことのない表情で、真っ直ぐにレンを見つめている。
レンから、レンのもの以外の匂いがするのが嫌だった。けれど今此処に香りを落とすものはない。そもそもシャワーでも雨でも時間経過でも執念のように残る香りだ。簡単には落ちないだろう。
なら、上書きしてしまいたい。今は彼から離れたくないのだ。邪魔なものは消してしまいたい。そんな可愛らしい本音。……けれど、きっと他の理由も確かに持っていて。困惑を浮かべるレンの首元に再度擦り寄った。
「こんな場所では、身体を痛めてしまうよ。それに、君は……」
「純潔です。だからこそ、貴方が良いのです。私だって、ベッドも無いこんな場所で初めてなんて……。けれど、今が良い。本当に、私を離さないというなら、……お願いします」
「……」
自分で言いながら、その内容にみるみる顔の紅が鮮やかになっていくのを感じる。こんなすぐに、はしたないと思われるだろうか。不安そうにレンの言葉を待っていると、レンは一つ息を吐いた。それは溜息ではなく、深呼吸に似ていて。そっと腰を抱き寄せられる。自分を見る目に、見たことのない熱を帯びているのがわかって、息が詰まった。
「本当に、良いの?」
「……こんなこと、冗談で言うと思いますか」
「言わないだろうね。君は」
そう言って、口端だけを上げたレンの顔から目が離せない。恥ずかしいのに、いたたまれないのに、目を逸らしたくはなくて。そっと彼の首に腕を回す。
「優しくするから」
「……はい」
口づけを交わす。先ほどと比べ物にならないくらい、深く熱く、呼吸を奪うほどのキスを。
ぼんやりした視界に、見知らぬ天井が映る。頭が上手く回らない。遠くで雨の音がする。ゆっくりと意識が浮上して、セイは起き上がった。
ぱちぱちと音の鳴る方に目をやる。暖炉の火が薄暗い室内を赤く照らし、その近くに見知った姿があった。彼はセイに気づくと振り返って、にこやかに笑う。気まずさを感じるより先に、セイは驚きで目を丸くした。
「神父、様……?」
「気がついた?体調はどう?」
「大丈夫です。……あの、神父様。包帯は、」
答えもそこそこに、そっと問い返す。上着だけでなく、いつもレンの顔を覆っていた包帯もが解かれ床に置かれていて、端正な顔が露わになっていた。月を彷彿とする瞳が、暖炉の火を映して揺らいでいる。あぁ、とさほど気にする様子もなく、レンは目元に手を添えた。
「雨に濡れてしまったから。元々眩しいからという理由でつけているだけだしね。それより君も随分濡れたでしょう?寒くはない?」
「雨……。私、どうして、」
言いかけて、噤む。喉からヒュッと空気が抜け、みるみる顔から血の気が引いていく。皮肉なことに、記憶はしっかりと残っていた。掛けてくれたのだろう古い麻布がぱさりと床に落ちる。しかしセイには、それに構う余裕はない。
「神父様、私、なんてことを」
「気にしなくて良いよ。むしろ、あれだけ抗えるのは本当に凄いことなんだ。それより本当に大丈夫?」
レンがそっと近づいて、セイの前に膝をつく。初めて何の障壁なく目線が合わせられ、どきりと胸が高鳴った。綺麗な瞳に魅入られていれば、問い掛けと共にそっと手が伸ばされる。何度も自分を撫でてくれた優しい空気を纏う手は、しかし頬に触れる直前に動きを止めた。申し訳なさそうに眉を下げて、引っ込められかけたレンの手を、そっと握って自らの頬にあてる。レンが息を飲んだのが聞こえた。
「……俺に幻滅したでしょう?」
「幻滅した……そうですね。でもそれより、悲しかったです」
「……」
「番探しは神父である貴方にとって当然で、あれだけ上から強要されれば立場上逆らうのは困難だと、理解はしています。けれど……悲しかった」
「ごめんね。結局俺も、君が嫌う他の男性と同じなんだよ」
「それは違います」
セイはきっぱりと言い切った。丸く見開いたレンの瞳に、関係なく「満月のようだ」など思いながら、言葉を続ける。
「私、貴方でない神父様を庇ったのですが、彼は私に目もくれず逃げていきました。自分のことしか見ていない、自分のことしか考えていない。それが私の、大半の男性への見解です」
「嗚呼、途中で行き合った彼だね。彼には強く言っておくから……」
「でも貴方は違うじゃないですか。勝手に一人で森に入って、勝手に窮地に陥った私を、ちゃんと見つけてくれました。あんな状態になった私を、必死に宥めてくれました。雨の凌げる場所に連れて来てくれました。……感謝しています。本当に、ありがとうございました」
「……良いんだよ。俺だって勝手にしたことだ。君が無事で、本当に良かった」
レンはセイを抱き締めた。壊れ物に触れるように優しく、少し躊躇いがちに。その背に、セイも手を回す。そうすると、身体をぐっと引き寄せられた。嫌悪感は、やはり感じない。それどころか、あれだけ不安に凍っていた心をじんわりと溶かしてくれるようにも思えた。
上着を抱き締めているよりずっと、あの匂いを感じる。意識が朦朧としていたあの時にさえ、感じることが出来た彼の匂い。自分を落ち着かせてくれた、優しくも熱を纏った不思議な匂い。セイは身体を委ねる。お互いの衣服の湿り気など気にならないくらい、寄り添った肌はあたたかい。
いつもより速い鼓動が伝わってくる。自分のものなのか、彼のものなのか……両方か。
孤独感が解かれていく。どうにも離れたくなくて、もう隠しきれなくて、溢れる気持ちは言葉になって止めることは出来なかった。後先など、どうでもいい。
「神父様、私は、……私は、神父様のことが、」
ゆっくりと紡がれる言葉は、顔を上げた際に途切れた。冷たい人差し指が置かれて、穏やかに笑みが見えて、
触れるだけのキスをした。
「女性に先に言わせるのは、ね?俺から言わせて。……愛してるよ。セイを、愛してる」
「……!」
「ずっと言い訳をして、諦めていたけれど。君のことを諦めたくない。傍に居てほしい」
「はい。……っ、はい……!私も、貴方をお慕いしております。神父様」
涙が溢れた。一人で流していたものとはまるで違う、心のキャパシティを超えた幸せがそのまま流れ出したように。レンはずっと優しく微笑んでくれていて、細められたその瞳に、情けない自分の顔が映し出されている。涙を拭うこともしないまま、彼につられるようにセイも笑った。
また唇を重ねる。感じたことのない多幸感に包まれるのを感じながら、しかし初めての口づけに少しだけ強張ると、それを察したのかレンが小さく笑った。
「わ、笑わないでください。不慣れなんです」
「ごめん。可愛らしくて、つい……」
ばつが悪そうに、セイはレンの肩元に顔を埋めた。くすくすと笑い声が聞こえて、背中を摩られる。まるで子供をあやすかのように。
「初めて、人の顔が見たいと思ったよ。君は今、きっと可愛い顔をしているのだろうね」
「見なくて良いです。……もう」
先ほどのように、彼の匂いで心が落ち着かせられやしないかとしがみついたところで、ふと。セイは神妙な面持ちで顔を上げた。急に離れたことで不思議そうに見つめるレンに気を留めないまま、彼の首元に再度顔を寄せる。
「セイ?」
「……違う匂いがします。香水のような、」
「え……、……」
今度はレンが眉間に皺を寄せた。雨に濡れても、根強く残った人工的な香り。女性ものであることは、普段香水を使わないセイでもわかった。それに加えて彼の顔を見れば、いやでもその理由は理解出来てしまって。唇を噛んでから、セイはぎゅっとレンにしがみついた。
「……」
「ごめんね。シャワーは浴びた筈なんだけれど、こびりついていたのかな」
「………」
「嫌なら離れて良いんだよ。すぐには落とせないから」
「…………」
「……、セイ?」
心配そうに名前を呼ぶレンにも、セイは反応しない。嫌そうではあるが、離れようとはしないセイにどうしたものかとレンが困惑していると、ぽそりと、セイが何か呟いた。
「ごめん、聞き取れなかった。なんて……」
レンの言葉を、セイが唇を重ねて遮った。勢いが良すぎて少しだけ歯が当たったのを気にする暇はなく、ぐいぐいと身体を密着させてキスを繰り返すセイに応えながら、段々と後ろに倒れかける身体を支える。
「セ、イ、どうしたの」
「……いて」
「?」
「……抱いてください。私を」
「……!?」
ようやく離れたセイの顔は、真っ赤だった。したことのない表情で、真っ直ぐにレンを見つめている。
レンから、レンのもの以外の匂いがするのが嫌だった。けれど今此処に香りを落とすものはない。そもそもシャワーでも雨でも時間経過でも執念のように残る香りだ。簡単には落ちないだろう。
なら、上書きしてしまいたい。今は彼から離れたくないのだ。邪魔なものは消してしまいたい。そんな可愛らしい本音。……けれど、きっと他の理由も確かに持っていて。困惑を浮かべるレンの首元に再度擦り寄った。
「こんな場所では、身体を痛めてしまうよ。それに、君は……」
「純潔です。だからこそ、貴方が良いのです。私だって、ベッドも無いこんな場所で初めてなんて……。けれど、今が良い。本当に、私を離さないというなら、……お願いします」
「……」
自分で言いながら、その内容にみるみる顔の紅が鮮やかになっていくのを感じる。こんなすぐに、はしたないと思われるだろうか。不安そうにレンの言葉を待っていると、レンは一つ息を吐いた。それは溜息ではなく、深呼吸に似ていて。そっと腰を抱き寄せられる。自分を見る目に、見たことのない熱を帯びているのがわかって、息が詰まった。
「本当に、良いの?」
「……こんなこと、冗談で言うと思いますか」
「言わないだろうね。君は」
そう言って、口端だけを上げたレンの顔から目が離せない。恥ずかしいのに、いたたまれないのに、目を逸らしたくはなくて。そっと彼の首に腕を回す。
「優しくするから」
「……はい」
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