【騎士王と主の伝説】18禁乙女ゲーの世界に来たからには全力で推しを幸せにします【風丸編】

知見夜空

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第5話・第二次エバーシュタインさんの乱です

完全風丸贔屓陣営

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 前回。ひょんなことからユエル君のお怒りを買ったエバーシュタインさんは、転移石によって元の世界に送還されました。問題は残されたアルゼリオさんの処遇です。導き手は送還されましたが、アルゼリオさんはクビになったわけじゃないので、どこかのパーティーに入らなければいけません。

 アルゼリオさんは最初、自分を負かした律子さんの班に加わろうとしましたが

「……いや、悪いけど、私たちには君を入れるメリットが無いから」
「僕もアルゼリオさんを庇っている暇は無いので、いつか合流するまでは、他の導き手のもとで腕を磨いて来てください」

 と律子さんとユエル君に、冷たく拒絶されました。

 性格的な相性もあるでしょうが、攻撃しかできないアルゼリオさんを加えると、ユエル君はサポートに回らざるをません。それではせっかくの優位もいずれは覆されて、ユエル君は再び『強者ありきの支援役』に追いやられてしまいます。

 律子さんが言うように、ユエル君にも剣士としての才能があるのに。他の人のサポートに追われて、自分の才能を伸ばす機会を失ってしまうのは、あまりに歯がゆいです。


 そんなこんなで受け入れを拒否されたアルゼリオさんが、次の主人に選んだのはなんと

「なんでうちに入ろうとするんだよ。セーラーちゃんのところに行けよ」

 迷惑顔の風丸に、アルゼリオさんも険悪な態度で

「あそこはもう2人も騎士が居るだろうが。戦えるヤツが多すぎると、かえって成長できない」

 当初は外見重視でエバーシュタインさんを選んだアルゼリオさんですが、流石にユエル君に大敗して悔しかったのでしょう。今後は心を入れ替えて、真面目に鍛錬したいようです。

 私も導き手の端くれとして、騎士から成長の機会を奪うわけにはいきませんが

「私は構いませんが、うちは完全風丸贔屓陣営なので、アルゼリオさんには少々居心地の悪い思いをさせてしまうかもしれません」

 後で文句が出ないように、あらかじめ伝えておくと

「なんだよ、完全風丸贔屓陣営って。お前も導き手なら、騎士を平等に扱えよ」
「平等だって? よく言うぜ。金髪ちゃんのところでは、さんざん贔屓されて来たくせに」

 風丸はアルゼリオさんを睨むと、自分の優位を示すように私にくっついて

「導き手だって人間なんだから、好みがあって当然だろ? うちのマスターちゃんは、俺がいちばん好きなんだってさ。だからうちに入るならアルゼリオの旦那と俺。立場が逆転することは飲み込んでもらわないとな?」

 ふふんと得意げな風丸に、アルゼリオさんが「ぐぅぅ……」と悔し気に唸るのを見かねて

「大丈夫ですよ、アルゼリオさん。贔屓と言っても風丸の装備を優先的に整えるだけで、アルゼリオさんは無視というわけではありませんから」

 アルゼリオさんは本来、風丸と並んでアタッカーツートップの逸材です。ちゃんと育てないのは魔王の再封印という目的にとってマイナスなので、私のところに来たからには、なるべく平等に扱うつもりでしたが

「ぐぅぅ、俺は王族だぞ? なんで島国出身の下っ端忍者の下に置かれなきゃいけねぇんだ」

 ユエル君に続いて、風丸のこともナチュラルに見下すアルゼリオさんに

「私には生まれや肩書きなど、どうでもいいことなので。本人の魅力だけが全てなので。逆に王族という点しかアピールポイントの無いアルゼリオさんが、実力だけで選出された風丸に勝てるはずがあるでしょうか?」

 けちょんけちょんに言ってやると、アルゼリオさんはギリィと歯噛みして

「クソ、ブスのくせに偉そうに……って、ぐはっ!? いきなり何するんだよ、風丸!」

 王子様の横っ面を、裏拳で思いきり殴った風丸は

「だってマスターちゃんの悪口を言うんだもん。主人が侮辱されてもスルーなんて従者失格だろ?」
「ほら! 風丸はこんなにカッコいい! でも別にアルゼリオさんに忠誠は求めていないので、ビジネスライクに行きましょう。お互いに魔王を再封印するまでの辛抱です!」

 言外に「私も不本意なので、あなたも我慢してください」と笑顔で伝えると

「ぐぅぅ。なんで俺が平民ごときに、コケにされなきゃいけねぇんだ……」

 一向に口の減らないアルゼリオさんでしたが

「文句があるなら出て行ってくれていいんだぜ? 1人での戦闘が楽とは言わないけど、うちはマスターちゃんが惜しみなく投資してくれるからアイテムは十分だし。旦那が居なくても俺たちは何も困らないんでね」
「~っ、分かったよ! 大人しく言うことを聞けばいいんだろ!」

 風丸に言われて、最終的には観念したようです。故郷では王族でもうちでは新人なので、これからも決して甘やかさずビシバシ扱いてやろうと思いました。
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