【騎士王と主の伝説】18禁乙女ゲーの世界に来たからには全力で推しを幸せにします【風丸編】

知見夜空

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第5話・第二次エバーシュタインさんの乱です

エバーシュタインさんの退場(ダイジェスト版)

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 3日前の夜。関係者全員を大広間に呼び出したエバーシュタインさんは

『風丸が私のもとを去ったのは、相楽さんに洗脳されているからよ!』

 と私を糾弾しました。その時は当の風丸に

『俺がマスターちゃんについたのは、洗脳じゃなくてアンタの性格がクソだからだよ(意訳)』

 と否定されたうえに全員の前で、絶世の美貌が神様による作りものであることを暴かれて撤退しました。

 私なら1か月くらいは、関係者と顔を合わせないようにしたいところです。

 しかしエバーシュタインさんは、再びある騒動を巻き起こしました。しかも今度ターゲットになったのは、私と風丸ではなく律子さんとユエル君です。

 エバーシュタインさんが、なぜ律子さんとユエル君を大広間に呼び出したのかと言うと

「……今度は私にユエルをくれって言うの?」

 エバーシュタインさんの一方的な要求に、律子さんは硬い声で問い返しました。律子さんが心配でついて来た私は、同行者の風丸に

「なんでエバーシュタインさんは、次から次に無茶を言い出すんでしょうか?」

 会話の邪魔をしないように、ひそひそと話しかけると

「多分、俺が抜けたせいでアルゼリオの旦那の負担が増えたんだろ。アルゼリオの旦那は攻撃力はあるけど、守備はからっきしだからな。マトモにやっていたらダメージを食らいすぎる」

 風丸は同じく声を潜めて

「でも金髪ちゃんのところには、ユエルやカイゼルの旦那のような回復魔法の使い手は居ない。そのせいで拠点に帰るまでは、アイテムで回復しなきゃいけない。でも回復アイテムを買うと、金髪ちゃんの大事なお小遣いが減っちまう。だからタダで回復してくれるヤツが欲しいんだろ? 金髪ちゃんはマスターちゃんと違って、強欲金食い虫だからね」
「そこっ! 聞こえてますわよ!」

 どうやら図星だったようで、エバーシュタインさんはキッと私たちを睨みました。

 律子さんはエバーシュタインさんの個人的な贅沢のために、ユエル君の成長の機会を奪わせるわけにはいかないと拒みましたが

「私がお金目当てだと言うのは風丸の勝手な推測ですわ。私はあくまで全体の利益のために、そろそろ戦力をまとめるべきだと言っているだけです」

 エバーシュタインさんの主張に、今度はユエル君が

「戦力をまとめるべきだとして、どうして僕の主があなたに権利を譲らなければいけないんですか? あくまで全体のために戦力をまとめるべきだと言うなら、そちらがアルゼリオさんを手放してもいいはずです」

 私も律子さんかエバーシュタインさんなら、断然、律子さんのほうが導き手として優秀だと思います。

 しかしエバーシュタインさんは

「こちらの提案ではありますが、優先されるべきは強者の意向でしょう? 不忠な風丸と違って、アルゼリオは私に絶対の忠誠を誓ってくれていますの。他のマスターのもとでは戦いたくないそうですから、アルゼリオの力を借りたければ、ユエル君に譲っていただかなければ」

 彼女の言葉に、律子さんはピキッと空気を凍らせて

「……要するにユエルのほうが弱いから、アルゼリオの下につくべきだと言うの?」

 この時点で私はヤバい空気を感じていましたが

「もともと聖属性なんて人の背に隠れて、支援するしか能の無い連中だろ。騎士ゴッコは終わりにして、そろそろ本業に戻れって言っているだけだ。それの何が悪いんだよ」

 空気を読まない選手権があったら1位確実のアルゼリオさんの一言が、普段は優しい律子さんとユエル君の目から慈悲の光を奪いました。


 その後。アルゼリオさんは格下のはずのユエル君に、腕比べの末にボコボコにされました。ユエル君はアルゼリオさんを武力でねじ伏せるに留まらず

「う、嘘ですわ、こんなの。火力トップのアルゼリオが、回復役のユエル君に負けるなんて」
「あなたのお考えどおり、本来なら僕がアルゼリオさんに勝つことは不可能です。しかし正しい導きを得られれば、騎士としての天分に欠ける僕でも、これだけ伸びることができる。それだけ導き手は、騎士を強くも弱くもする重要な存在なんです」

 ユエル君は、エバーシュタインさんに導き手の重要性を説くとともに

「そしてあなたはその座に相応しくない。主従ゴッコは十分楽しんだでしょう。元の世界へお帰りください」
「ま、待って! 導き手じゃなくてもいいから、ここに居させて! せ、せっかく美しくなれたのに。い、嫌ぁぁ!」

 転移石を取り出して魔法を発動させると、嫌がる彼女を容赦なく送還しました。

 ユエル君は最年少かつ支援役の聖属性ということで軽く見られがちですが、彼はこの国の王様であり封印の儀式の責任者です。オマケに今エバーシュタインさんにしたように、ゲームではヒロインが導き手不適格と判断した時は、強制送還する役割も担っています。

 私もすっかり忘れていましたが、本来はいちばん侮ってはいけない相手なんですよね……。

 私はもともと律子さんやユエル君とは友好的な関係ですが、調子に乗って怒らせないようにしようと心に深く刻みました。
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