私が思っていた恋愛とちがう

第十話・私が思っていたクリスマスデートとちがう

はじめて２人とも裸で（誠慈視点・性描写有り）

　普通の学生カップルなら、まだ外で遊んでいるだろう時間。こんな昼間から不健全なことをしていいのかなと戸惑いながらも、萌乃に誘われるままキスをする。

　柔らかな唇を重ね、温かな舌を絡め合うと、頭の奥が甘く痺れて理性が機能しなくなる。本当はしちゃいけないことをしているという後ろめたさが、かえって欲情を煽り出す。

　最初は及び腰だったくせに、いざはじまると俺のほうが我慢できなくて「……脱がせていい？」と萌乃に強請る。

　冬だけど、暖房の効いた温かな室内で、少しずつ萌乃の服を脱がせていく。オシャレしてくれて嬉しいと言ったくせに、けっきょく裸にいちばん見惚れる。肌を見たら最後、すぐにでも滑らかで柔らかな皮膚に触れたかったけど

「誠慈君の裸、はじめて見た」

　萌乃に「せっかくホテルに来たんだから普段はしないことがしたい」と強請られて、今日は俺も裸になった。普段はご両親が留守とは言え、人の家で全て脱ぐことに抵抗があって、今日まで裸を見せたことは無かった。

　俺たちは広いベッドのうえで向かい合うように座り、お互いの裸を見た。

　萌乃があんまりまじまじ見るので

「あ、あんまり見ないで……」

　男の癖につい恥じらうと、萌乃はかえって面白がって

「見ちゃダメ？　綺麗だから、ちゃんと見たい」

　前にお見舞いに行った時のように「足を開いて？」とお願いされる。あの時はまだ服を着ていたけど、今回は本当に全裸だ。

　萌乃の目に全てを晒しているのが恥ずかしくて、見られるだけで体が熱くなる。それでも言うことを聞いて足を開くと、そこがビンと勃つのが自分でも分かった。

　欲望丸出しの自分が恥ずかしくて、喉の奥で「～っ」と唸る。萌乃は余計に笑みを深めて

「見られているだけで、おちんちん、硬くなっちゃうの可愛い」
「い、言わないで……」

　言葉で嬲られるだけで、期待するようにそこがひくひくと動く。でも萌乃は視線を注いだだけで触ることはせず

「肩とか腕とか逞しくて綺麗」

　言いながら肩や腕を撫でたり

「腹筋割れているの、カッコいい」

　腹の縦線をつーっと指でなぞった。

　せっかく褒めてもらっているのに悪いけど、今は萌乃も全裸だ。大好きな彼女が裸で、こちらに身を乗り出すようにしながら体を撫でて来るのに、体型を褒められて喜んでいる余裕は無くて

（抱きたい抱きたい抱きたい）

　頭の中はそれでいっぱいで、もどかしくて、じれったくて、体が勝手に動きそうになる。だけど萌乃にいいと言われてないのに、勝手に動くことはできない。息を乱しながら衝動に耐える俺に、萌乃は微笑みながら

「一生懸命『待て』しているの可愛い」

　彼女が欲しくて堪らないのも、必死にそれを我慢しているのも、見透かされているのが恥ずかしくて

「い、いじめないで……」

　少し泣きそうになりながら言うと

「いじめてないよ」

　萌乃は膝立ちになって、俺の頭を撫でながら

「いつも私が怖くないように、いいって言うまで待ってくれるの、優しくて好き」

　肯定的な雰囲気に俺は

「じゃあ、もうしていい？　萌乃が欲しくて我慢できない……」

　遠慮がちに乞うと、萌乃は「うん」と頷いて

「誠慈君のしたいこと、いっぱいして？」

　甘やかな微笑みとともに許可をもらった瞬間、理性の糸がブチッと切れた。鎖が切れた犬のように萌乃を押し倒すと、うわ言のように「萌乃、萌乃」と呼びながら顔中にキスした。口の中や耳を舐めた後、唇は首筋と鎖骨を辿り、自然と胸へ下りた。

　柔らかな胸を手で撫でながら、小さな乳首をペロペロ舐める。萌乃に触れているだけで、触ってもいないのに性器がツキツキ痛んで気持ちいい。萌乃は行為を受け入れるように俺の肩に腕を回して、もう一方の手で頭を撫でてくれている。

　こういうことって男のほうが積極的で、女の人は「ダメ」「嫌」「待って」とか言いそうなイメージがある。俺はもし『嫌よ嫌よも好きのうち』的な意味だとしても、ダメとか嫌とか言われたら、きっとそのたび真に受けて止まってしまう。だから萌乃が言葉や行為で「いいよ」と示してくれると、安心して行為に没頭できて、いつもありがたかった。