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ローブを脱いだらテライケメンがいました
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アクシデントで二人だけ隔離→びしょ濡れになる→あっためあうの王道いちゃパターンがたまらなく好きです。
*******
ぴちゃぴちゃぴちゃ。
水の流れる音がする……。冷たい……。ふ、と気が付くと、私は石の床に倒れていた。
床には水が流れていて、私は全身びっしょりと濡れていた。
うわ。
慌てて起き上がると、辺りは薄暗かったけど、どうやらどこかの部屋みたい。
「う……」
ふと、すぐ近くでうめき声が聞こえて、びっくりして見ると、そこにはシオンが倒れていた。
「シオン!大丈夫?」
急いで助け起こすと、シオンのローブもぐっしょり濡れていた。
「フェルマか……大丈夫だけど、どうやら俺ら、転移の魔法陣で飛ばされたらしいな」
「転移の魔法陣?」
「ああ、こういうダンジョンにたまに設置されてる罠で、踏んだやつを別の部屋に飛ばすんだ。とにかく、今は俺の魔力を回復させないと、イグニスたちを見つけることもできねえ。……少しここで休もう。ひとまず魔物の気配はないし」
「うん、そうだね……」
私も頷いて、とにかく水が流れていない、濡れてないところに二人で移動した。
うう、びっしょり濡れたローブが、冷たいし、重い。
「イグニス様たちは大丈夫かなあ」
乾いた場所に移動して座ったところで、シオンがふっと笑った気配がした。
「お前、ほんとはそんな感じなんだな」
そういえば聖女ムーブはもうすっかり忘れていた。
「うん。私はこんなんで、全然聖女なんて言われる柄じゃないよ。残念聖女なんだよ。ごめんね」
「べつにいいじゃねえか。無理に聖女像作って演じてる方が気持ち悪いし、胡散臭かったしな」
「あ……分かってたの?」
「まあなー」
「それであんなに意地悪だったわけ?」
「べつに意地悪はしてないだろ。ただ胡散臭いなって思ってただけだ。それより、早く濡れた服脱がないと、体温が奪われてやばいぞ」
シオンが言うので、それもそうだ、と急いでローブを脱いだ。
シオンもローブを脱いで……
ーーーーーーは?
そこには、とんでもないイケメンがいた。
シオンが。ローブを脱いだら。そこに。イケメンがいたんだが。
え?なんなの?このイケメンなんなの?
「あーーーー、あのローブはな。認識阻害の魔法が掛かったやつなんだ。だからあれを被ってると、相手は俺の顔が見えない。ただの黒い影にしか見えないようになってるんだ」
「ああ、そうなんだ……」
私はぼーっとしながら答えたけど、シオンの顔から目が離せない。
シオンはちゃんと人間だった。いや、人間じゃない、テライケメン様だ。黒い漆黒の髪は艶やかで、瞳は紅がかった黒。彫刻みたいに整った鼻梁と弧を描く口元。
こんな綺麗な男の人、私、見たことないわ。
イグニス様もすごく美麗だけど、それとは種類が違う美しさというか、ちょっと野性的な荒々しさがあるっていうか、とにかくもう衝撃だ。
くくっと、シオンが声を漏らして
「お前、そうやってよく人の顔ガン見してるよな。イグニスに会った時もそんな風になってたしな」
「あ、あああ、そ、それは、まことに申し訳なく……」
あわわわわ。
くくく、とまた笑うシオン。
「別にいいけど。お前は仲間だし。まあ俺も自分の顔が人目を引くのは分かってるからな、目立ってよけいなトラブル呼ばないように、それでああいうローブを被ってるんだ」
シオンが言うには、妙に執着されて面倒くさいことになったことがたくさんあるんだそうだ。
男にも女にも好かれるらしい。うーん、まあ分かるよ。だってこれ、傾国レベルの美貌じゃない?大変だなあ。
それをイグニスやリアナも知っていたそうで、だからシオンのローブ姿に特に反応がなかったんだな。
はーそうかー。と思っていると、シオンが言った。
「お前、それも全部脱げよ。俺は向こう向いてるから」
「なんですと?」
「だから濡れた服は全部脱いで、水気絞って乾いたところに置いとけよ。そうすりゃ多少は乾くだろ」
と言っている間に、シオンはローブの下の服も脱いでいた。
あ、あ……それはパンツ…はっ、見ちゃだめだ!
慌てて顔を背け、私もそろそろと自分のべったり張り付いた服に手を伸ばした。
まあそりゃシオンの言う通りだし、今のままじゃ寒いしね……。
はー、でも全裸かあ。SAN値がどんどん削れてきている気がする。
********
ブクマして下さった方々!ほんとにありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです!
気が向いたらコメントも頂けると喜びます!(*´꒳`*)
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ぴちゃぴちゃぴちゃ。
水の流れる音がする……。冷たい……。ふ、と気が付くと、私は石の床に倒れていた。
床には水が流れていて、私は全身びっしょりと濡れていた。
うわ。
慌てて起き上がると、辺りは薄暗かったけど、どうやらどこかの部屋みたい。
「う……」
ふと、すぐ近くでうめき声が聞こえて、びっくりして見ると、そこにはシオンが倒れていた。
「シオン!大丈夫?」
急いで助け起こすと、シオンのローブもぐっしょり濡れていた。
「フェルマか……大丈夫だけど、どうやら俺ら、転移の魔法陣で飛ばされたらしいな」
「転移の魔法陣?」
「ああ、こういうダンジョンにたまに設置されてる罠で、踏んだやつを別の部屋に飛ばすんだ。とにかく、今は俺の魔力を回復させないと、イグニスたちを見つけることもできねえ。……少しここで休もう。ひとまず魔物の気配はないし」
「うん、そうだね……」
私も頷いて、とにかく水が流れていない、濡れてないところに二人で移動した。
うう、びっしょり濡れたローブが、冷たいし、重い。
「イグニス様たちは大丈夫かなあ」
乾いた場所に移動して座ったところで、シオンがふっと笑った気配がした。
「お前、ほんとはそんな感じなんだな」
そういえば聖女ムーブはもうすっかり忘れていた。
「うん。私はこんなんで、全然聖女なんて言われる柄じゃないよ。残念聖女なんだよ。ごめんね」
「べつにいいじゃねえか。無理に聖女像作って演じてる方が気持ち悪いし、胡散臭かったしな」
「あ……分かってたの?」
「まあなー」
「それであんなに意地悪だったわけ?」
「べつに意地悪はしてないだろ。ただ胡散臭いなって思ってただけだ。それより、早く濡れた服脱がないと、体温が奪われてやばいぞ」
シオンが言うので、それもそうだ、と急いでローブを脱いだ。
シオンもローブを脱いで……
ーーーーーーは?
そこには、とんでもないイケメンがいた。
シオンが。ローブを脱いだら。そこに。イケメンがいたんだが。
え?なんなの?このイケメンなんなの?
「あーーーー、あのローブはな。認識阻害の魔法が掛かったやつなんだ。だからあれを被ってると、相手は俺の顔が見えない。ただの黒い影にしか見えないようになってるんだ」
「ああ、そうなんだ……」
私はぼーっとしながら答えたけど、シオンの顔から目が離せない。
シオンはちゃんと人間だった。いや、人間じゃない、テライケメン様だ。黒い漆黒の髪は艶やかで、瞳は紅がかった黒。彫刻みたいに整った鼻梁と弧を描く口元。
こんな綺麗な男の人、私、見たことないわ。
イグニス様もすごく美麗だけど、それとは種類が違う美しさというか、ちょっと野性的な荒々しさがあるっていうか、とにかくもう衝撃だ。
くくっと、シオンが声を漏らして
「お前、そうやってよく人の顔ガン見してるよな。イグニスに会った時もそんな風になってたしな」
「あ、あああ、そ、それは、まことに申し訳なく……」
あわわわわ。
くくく、とまた笑うシオン。
「別にいいけど。お前は仲間だし。まあ俺も自分の顔が人目を引くのは分かってるからな、目立ってよけいなトラブル呼ばないように、それでああいうローブを被ってるんだ」
シオンが言うには、妙に執着されて面倒くさいことになったことがたくさんあるんだそうだ。
男にも女にも好かれるらしい。うーん、まあ分かるよ。だってこれ、傾国レベルの美貌じゃない?大変だなあ。
それをイグニスやリアナも知っていたそうで、だからシオンのローブ姿に特に反応がなかったんだな。
はーそうかー。と思っていると、シオンが言った。
「お前、それも全部脱げよ。俺は向こう向いてるから」
「なんですと?」
「だから濡れた服は全部脱いで、水気絞って乾いたところに置いとけよ。そうすりゃ多少は乾くだろ」
と言っている間に、シオンはローブの下の服も脱いでいた。
あ、あ……それはパンツ…はっ、見ちゃだめだ!
慌てて顔を背け、私もそろそろと自分のべったり張り付いた服に手を伸ばした。
まあそりゃシオンの言う通りだし、今のままじゃ寒いしね……。
はー、でも全裸かあ。SAN値がどんどん削れてきている気がする。
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