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平坂 京
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頭を捻ってる内に、ポーンと音がして目的の階に着いた。ふわっと気持ち悪い感覚が襲って来る。
あー、ホント、高層ビルのエレベーターっていつになっても慣れない。
「お、着いた着いた。えーっと、京はどこかなぁ・・・あ、いた!ケイー!」
おえっとなってる間に、きょろきょろしてた由貴哉が友達を見つけたらしい。
どんな奴なんだろうって顔を上げると、びっくりするくらい綺麗な顔した男が、笑顔で手を上げてこっちを見てた。
「京、ありがとな誘ってくれて!こいつ、俺の大学の友達の湊」
由貴哉に引っ張られてそいつと対面したけど、近くで見てもマジで綺麗な顔してる。スラっとしてて線の細い感じの、雄大とは別方向のイケメンだけど、やっぱり俺はちょっと野性味ある男っぽい雄大のが好きだなぁ。
「あ、こんばんは。松本湊です。俺まで来ちゃって迷惑じゃなかった?ありがとね」
一応そう言って挨拶したら、そいつは
「ううん、全然いいよ。俺は平坂京(ひらさかけい)。今夜は内輪のパーティだから楽しんで行ってね」
そう言ってにっこり笑った。
おお・・・イケメン度マシマシ。
でもやっぱり雄大の方がカッコいいけどね。
って、心の中で妙な対抗心を燃やしていると、京はふいっと俺から目線を外して由貴哉のシャツの襟元に手をやってた。
「うん、由貴哉、やっぱりよく似合ってる。君にぴったりだと思ったんだ。すごく素敵だよ」
「へへ、マジで?良かったあ、湊のやつがホストみてぇとか言うからさ、似合ってないかと思った」
ちょ、ちょっと由貴哉、貸してくれた本人の前でやめろってば。
焦ってたら、京が妙に鋭い目で俺をちらっと見た。
「へぇ、そう。可哀想に、きっと湊君はセンスに乏しいんだね。大丈夫、すごく似合ってるから自信持って。ほら、中に入ろう。そろそろ始まるよ」
「あ、うん!」
「え、な、ちょ」
やけにトゲのある言葉に呆気に取られてる間に、京のやつは由貴哉の腰に手を回して中に連れてった。
「あ、待って待って」
慌てて二人の後を追うと、広い会場にはパッと見て高そうな服を着た人がたくさんいる。
・・・ん?けど、なんか男ばっかりじゃない?
若いのから壮年まで、年は色々だったけど、女の人は一人もいない。
何だろ?エリートビジネスマンとかの集まりだと思ってたけど、それにしたって女の人が全然いないのはおかしくない?
疑問に思ったけど、由貴哉の声でそっちに意識が飛ぶ。
「おお~、湊!ほらあれ、すげぇ~!」
部屋の壁際には長いテーブルが置かれていて、その上に美味しそうな食べ物だったり、飲み物が準備されてて、給仕っぽい人がスタンバってた。
「ホント、マジで美味そう!」
俺と由貴哉が歓声を上げると、京がクスクス笑う。
「由貴哉、ほらこっち。由貴哉の好きそうなメニューあるよ。そうそう、あとで○○のショーもあるから楽しみにしてて」
「えーっ!!あの○○!?マジで本人来ちゃう?」
「うん、本当に本人だよ。ふふ、はしゃいじゃって可愛いね、由貴哉は」
うーん・・・これは。
京に会ってから30分も経ってないけど、俺、気付いちゃった。
京が由貴哉を見る目が、肉食獣が獲物を狙う目だってことに。
由貴哉のやつはぜーんぜん、気付いてないけどねー。
助けてやった方がいいかなぁ?
・・・でも俺、京の奴に明らかに邪魔にされてたし、めんどくさいな。
「俺、あっちの方で適当にぷらぷらしてるね~」
そう言うと、由貴哉は「え?うん、分かった」ってきょとんとしてたけど、京はあからさまに嬉しそうな顔してた。
あーあ、由貴哉、今夜無事に帰してもらえんのかなあ。京、タチだろうし、すっげぇSっぽそう。
うーん・・・ま、いっか。
大丈夫、由貴哉。
ケツ、慣れれば気持ちーからさ。
俺は心の中で合掌すると、
「適当に美味い物食いまくって、ケーキお土産に貰ってからかーえろっと」
うきうきと壁際の食事コーナーにスキップして行った。
*******
つい最近(12/20)湊の友達と名前が被ってることに気付き…京に改名しました(´ ω` )どんだけ響って名前が好きなんだよっ。
あー、ホント、高層ビルのエレベーターっていつになっても慣れない。
「お、着いた着いた。えーっと、京はどこかなぁ・・・あ、いた!ケイー!」
おえっとなってる間に、きょろきょろしてた由貴哉が友達を見つけたらしい。
どんな奴なんだろうって顔を上げると、びっくりするくらい綺麗な顔した男が、笑顔で手を上げてこっちを見てた。
「京、ありがとな誘ってくれて!こいつ、俺の大学の友達の湊」
由貴哉に引っ張られてそいつと対面したけど、近くで見てもマジで綺麗な顔してる。スラっとしてて線の細い感じの、雄大とは別方向のイケメンだけど、やっぱり俺はちょっと野性味ある男っぽい雄大のが好きだなぁ。
「あ、こんばんは。松本湊です。俺まで来ちゃって迷惑じゃなかった?ありがとね」
一応そう言って挨拶したら、そいつは
「ううん、全然いいよ。俺は平坂京(ひらさかけい)。今夜は内輪のパーティだから楽しんで行ってね」
そう言ってにっこり笑った。
おお・・・イケメン度マシマシ。
でもやっぱり雄大の方がカッコいいけどね。
って、心の中で妙な対抗心を燃やしていると、京はふいっと俺から目線を外して由貴哉のシャツの襟元に手をやってた。
「うん、由貴哉、やっぱりよく似合ってる。君にぴったりだと思ったんだ。すごく素敵だよ」
「へへ、マジで?良かったあ、湊のやつがホストみてぇとか言うからさ、似合ってないかと思った」
ちょ、ちょっと由貴哉、貸してくれた本人の前でやめろってば。
焦ってたら、京が妙に鋭い目で俺をちらっと見た。
「へぇ、そう。可哀想に、きっと湊君はセンスに乏しいんだね。大丈夫、すごく似合ってるから自信持って。ほら、中に入ろう。そろそろ始まるよ」
「あ、うん!」
「え、な、ちょ」
やけにトゲのある言葉に呆気に取られてる間に、京のやつは由貴哉の腰に手を回して中に連れてった。
「あ、待って待って」
慌てて二人の後を追うと、広い会場にはパッと見て高そうな服を着た人がたくさんいる。
・・・ん?けど、なんか男ばっかりじゃない?
若いのから壮年まで、年は色々だったけど、女の人は一人もいない。
何だろ?エリートビジネスマンとかの集まりだと思ってたけど、それにしたって女の人が全然いないのはおかしくない?
疑問に思ったけど、由貴哉の声でそっちに意識が飛ぶ。
「おお~、湊!ほらあれ、すげぇ~!」
部屋の壁際には長いテーブルが置かれていて、その上に美味しそうな食べ物だったり、飲み物が準備されてて、給仕っぽい人がスタンバってた。
「ホント、マジで美味そう!」
俺と由貴哉が歓声を上げると、京がクスクス笑う。
「由貴哉、ほらこっち。由貴哉の好きそうなメニューあるよ。そうそう、あとで○○のショーもあるから楽しみにしてて」
「えーっ!!あの○○!?マジで本人来ちゃう?」
「うん、本当に本人だよ。ふふ、はしゃいじゃって可愛いね、由貴哉は」
うーん・・・これは。
京に会ってから30分も経ってないけど、俺、気付いちゃった。
京が由貴哉を見る目が、肉食獣が獲物を狙う目だってことに。
由貴哉のやつはぜーんぜん、気付いてないけどねー。
助けてやった方がいいかなぁ?
・・・でも俺、京の奴に明らかに邪魔にされてたし、めんどくさいな。
「俺、あっちの方で適当にぷらぷらしてるね~」
そう言うと、由貴哉は「え?うん、分かった」ってきょとんとしてたけど、京はあからさまに嬉しそうな顔してた。
あーあ、由貴哉、今夜無事に帰してもらえんのかなあ。京、タチだろうし、すっげぇSっぽそう。
うーん・・・ま、いっか。
大丈夫、由貴哉。
ケツ、慣れれば気持ちーからさ。
俺は心の中で合掌すると、
「適当に美味い物食いまくって、ケーキお土産に貰ってからかーえろっと」
うきうきと壁際の食事コーナーにスキップして行った。
*******
つい最近(12/20)湊の友達と名前が被ってることに気付き…京に改名しました(´ ω` )どんだけ響って名前が好きなんだよっ。
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