水晶龍といっしょ ~ダンジョン巡って魔王の種もぎ~(仮題)

眠り草

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【第一章】一部

【呼び出されし者】11.武器

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「「「「はぁ?」」」」
傭兵の皆さん目が点になる。

あれ?この反応、魔術で物を作り出すのは知られていないのか?
まあ口にしたことは取り消せないので変な自重しても仕方ない。

論より証拠とばかりに試しに目の前で作って見せることにした。
魔術礎の剣型を使って鉄にクロム12%と炭素1%となるように混ぜ合金にして剣を作って見せる。腐食耐性の高いステンレスソードの完成だ。鏡のように月光に光輝く刃渡り1mのロングソードが出現する。

「一瞬で・・・しかも曇りのない刃面で刀身にも歪みもない」
ダラが生唾をゴクリと音を立てて呑み込む。

まあ鋳造のようなものだから歪みはないでしょうねぇ。魔術礎の型でポンですから。
前に美術館の西洋武具展で見たロングソードとか鍛冶屋がハンマーで叩いて作り出した物を見たことあるけど、ハンマーでもかなり均一で滑らかで綺麗に仕上げてあったのは感動したものだ。まああれは貴族や騎士達用の見映えもある程度想定された高級品だったからかもしれない。

「こんなもんでどうでしょう?世俗に疎いので使い易いかものか分からないのでどんなものが欲しいのか教えていただければなるべく要望に沿いますよ。剣以外でも槍や盾も作れますよ」

そう言いながらダラに剣を渡す。

因みにクリエイト系の魔術式には周辺魔素を取り込むようにしてあるのでMP消費に優しいのと周辺魔素を吸い続けることで魔術を維持し続けるので魔術の制限時間に縛られない。つまり周辺の魔素が枯渇しない限りは存在し続けることができる。

「ダラさんはその剣で大丈夫ですか?なんならグレートソードでも作れますけど?」

「いや、今はこれで十分だ」

ロングソードなら盾も用意した方が良いよなと思いながら
(盾は軽い方がいいよな)
軽くて丈夫な素材とはなんぞやと、そこでピンとくる素材を思い付く。
過程をすっ飛ばせる魔術なら行けると考えて試作してみる。

魔術礎からお目当ての物を見付ける。やはり似たような科学技術があったんだな。
魔術式を作る。結構複雑な組み合わせの物を作った。
素材は炭素のみでその分子構造を筒型にして極細の繊維を作り出す。それを編み上げ板状にする。後はそれを盾の型を使い盾を作り上げる。腕に止めるバンドも同じ素材で作る。繊維構造なので伸縮性が良いはず。


黒光りするカーボンナノチューブシールドの完成だ。板状にしたものを方向を変えながら何層にも重ね合わせ厚みも持たせたので型崩れもし難く衝撃吸収もするはずだから盾の素材としては理想じゃないかな。防具にも最適なはず。
アナライズして確認してみるとちゃんとカーボンナノチューブ製となっていて一安心。

カーボンヒーターシールド
カーボンナノチューブ製
耐久度 特上
耐火性 中
熱伝導性 特上
耐酸性 上
電導性 特上

耐火性と熱伝導率がそこそこ高いので炎でそう簡単に壊れることはないけど、あっという間に持ってられない温度になるのが欠点だ。
電導率も高いので感電も要注意だけど、雷とかそもそも能動的に防御なんて無理だろ。
光速で大気中を分子を押し退けてくるのだから勘でしかないだろうな。
どっちかというと避雷針として向こうから寄ってくるだろうけど。

「ダラさん、ロングソードなら盾がある方が良いですよね。軽いですが耐久性は抜群ですよ。そこそこ燃えにくい素材ですが熱が伝わりやすい素材なので注意してください」
と作ったばかりの盾を渡す。

「軽い。木の板みたいだが表面は金属のようにも見える。これはなんで出来ているんだ?」

うーん、説明出来るほど知識ないのだけどどう伝えればよいのやら

「炭素です。説明が難しいのですが、身近な物だと炭ですかね。炭を特殊な繊維にして編み上げてあります」

ダラさん、ごめん無理。早々に諦めて説明おざなり。

「炭ってあの木の燃えたあとに残る黒いやつか? だから黒いのか、しかし炭なら燃えてしまいそうだが、燃え難いのか。不思議だな」

「まあそうなんですけど、炭も冷えたところから火を着けるのは大変じゃないですか」
炭も着火剤がないと火を着けるのは大変だしね。

「ありがたくお借りする」


「グラヤさんはどうしますか?剣にしますか?」
「お、じゃ槍にしてくれるか。俺の身長くらいのやつがいいな。」
「握り易い太さとかありますか?あとしなる方が良いのかと希望の素材とかありますか?」
グラヤは人差し指と親指で輪を作りながら、
「太さはこれくらいが良いな。短いやつだからしならない方が良いな。素材は重過ぎず軽過ぎず」
「うーん、ダラさんの剣と同じ素材で試しに作ってみます」

ステンレスで返しを付けた槍を作る。
「おお、綺麗だね。ありがとう」
「槍はよく分からないので使ってみて要望がありましたら作り直しますよ」
グラヤは何度か突きを繰り出したが問題ないとのことなので次にいく。


「スバイさんはどうします?」
「僕は刺突剣をお願いします」

刺突剣てレイピアで良いのかな。傭兵にしては耐久性の無い武器を選ぶな。

「レイピアですね。長さはどうします?」

レイピアの長さを知らないので聴いてみる。一応魔術礎では刃渡り1mの持ち手部分が20cmになっている。

「標準で良いです」

それを知らんから聞いてんねん。スバイ、絶対ボンボンやろ。標準て言うたのも自分で用意とか普段しないからやないのか?

「えっと、世俗に疎いのでレイピアの標準というものが分からないので教えて頂けると助かります・・・」
「えーと、こっからここまでくらいかな?」

なんで疑問系なんだよ。
半身になり腕を伸ばして、胸の中心から中指の先までと伝えてくる。
身長の半分てことだよな。大体90cm位か標準より短いやんけ。

要望通りにステンレスでレイピアを作って渡す。ついでにダラと同じ盾も渡しておく。

「こんな感じで良いですかね。あと片手剣ですから盾もお渡ししておきますね」
「・・・うん、ありがとう」

なんやその間は。レイピア、要望道理やぞ。

「要望ありましたら作り直しますよ」
「ううん、大丈夫。ありがとう」

スバイにはなんかイラッとしてしまう。
なんか煮え切らない態度というのかはっきりしないのが気に障る。
別にイケメンに嫉妬してる訳じゃないぞ。

まあ、いい。次!


「ナタルゥさんは、どうします?鞭でも作りますか?」
「なっ?! 鞭、何故?」
「いえ、なんとなく似合いそうだなと・・・」
「・・・」

冷たい目線を向けられる。
ナイスボディのダークエルフには鞭を握って貰いたい!!
元居た世界でそういうイメージ刷り込まれてるんですよ。
よく考えたら彼女15歳だったな。流石にまだ若すぎるか。それにボンデージではなくローブだしな。

「ダガー、弓、投げナイフ、盾、も欲しい」
「分かりました」

ダガーと投げナイフ12本をステンレスで作り渡す。盾はダラと同じものを渡す。

弓。実は元の世界でも使ってみたいなと思ってた奴が出来ないかと魔術礎から型を探すとあった。ありました。
弓としては特異な滑車カム機構で弦を比較的楽に引くことが出来、引ききると機構のお陰で指一本で支えられるほどになり無駄に力み続ける必要がないので狙う時の疲労が抑えられる優れもの。

それが、コンパウンドボゥ

しかもショートボゥ程度の大きさでも調節すれば威力はアーチェリーのリカーヴボゥ以上にもなるというのだから素晴らしい一品。ただ滑車カム機構やスタビライザーなど突出したパーツがあるため余り乱暴には扱えないのが弱点と言えば弱点である。

素材はカーボンとアルミニウム合金にして作成。

この魔術礎にはパーツ毎にプリセット素材が既に設定されていた。俺が欲しくて調べた素材ばかりだ。もしかして俺の記憶からある程度設定されたのか?コンパウンドボゥの型も都合良く存在しているのもなんか違和感を覚える。
もしかしたら俺の記憶の中にあるものなら魔術礎として存在しているんじゃないのだろうか?
魔導の瞳は俺の記憶を基に言語翻訳していると言っていた。なら記憶から魔術礎を用意することだって出来るんじゃないのか?
ふとそんな疑問が浮かぶが今は弓だ。後にしよう。検証方法も思い付かないしな。

「ナタルゥさん、はいこれ」
作り出したコンパウンドボゥと専用矢を30本入れた矢筒を手渡す。
相手は最低21人だがナタルゥ一人に任す訳じゃないから足りるだろう。

「!?、これ弓? 形、変」

片眉だけ吊り上げて怪訝な物を見つめる。顔になにこれ?と書かれているのが分かる。喋りは片言だが、表情は実に豊かな娘だ。

確かにコンパウンドボゥは弓としても独特の形をしている。
通常の弓はリムと呼ばれる持ち手部分から伸びる部分が緩やかにカーブしてその先に弦を結ぶのだが、このコンパウンドボゥは持ち手部分からリムが80度位の角度で付いていてそのリムの先に滑車カムが付いている。

「ああ、使い方を教えるね」





「このリリーサーに引っ掛けて引くんだ。ある程度引くと滑車のお陰で軽くなるから、そうしたら狙いを定めて、リリーサーのトリガーを引くと放てる。狙いはここがこの輪の中に入るようにする」

「凄い、軽い! 狙い、楽!」


コンパウンドボゥの良さを理解して貰えたようで俺オススメの商品を気に入って貰えてこちらも嬉しい。


さて、これでだいたい準備は良いかな。
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