水晶龍といっしょ ~ダンジョン巡って魔王の種もぎ~(仮題)

眠り草

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【第一章】一部

【呼び出されし者】24.女神の口付け(但し既婚子持ち)

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真っ暗だったのがなくなってお月様が見えるようになったの。

周りの大きな岩もなくなって元の馬車とテントが見えるの。


もうギョロギョロ胸目玉は居なくなってたの。
きっとダインお兄ちゃんがやっつけてくれたんだ。

周りは静かになってたの。ただ遠くからブスブス地面が焼けた音が聴こえるの。
地面に赤い川が出来てたの。

ダインお兄ちゃんを探すの。

「ダイン殿!」

ダラおじさんが叫んでテントの方に走っていくの。
テントの傍にダインお兄ちゃんが寝てるのが見えたのでクミンも走っていくの。



ダインお兄ちゃんは火傷だらけだったの。着ている服も煙が出てるの。
唇も頬も脹れて皮が剥けちゃって凄い痛そうなの。両手は皮が剥けちゃって血は出てないのに真っ赤なの。
狩人のバユお兄さんが長舌鹿の皮を剥いだ時のお腹みたいになってるの。

ダインお兄ちゃんにぎゅってしたいのに出来ないよぉ。

「ダイン殿!ダイン殿!ダイン殿ーーー!」

ダラおじさんがダインお兄ちゃんに呼び掛けてるの。
でもダインお兄ちゃんは目を開けてくれないの。
涙がじわって出てくるの。

「ダインお兄ちゃん、死んじゃやだよぉーーーうわぁぁぁぁん」
やだやだやだやだやだ、クミンダインお兄ちゃんにぎゅってしてなでなでしてもらうんだから死んじゃやだ!

涙がいっぱい出て来てダインお兄ちゃんの顔が分からなくなちゃっう。

膝がガクガクして立っていられなくなってクミンその場でペタンと座り込んじゃったの。

「う、うう・・」
「ダイン殿!しっかり!
まだ息がある!
サラン!ポーションだ!ポーションを持ってこい。まだ残ってたはずだ!」

ダラおじさんが叫ぶと金髪の女の子が馬車に向かって走り出したの。

「スバイ!お前はテントの中を探せ!ポーションだけじゃなく水も持ってこい!」
「グラヤ!馬車から水を持ってこい。樽であるはずだ!それと綺麗な布があればそれもだ!」

金髪のお兄さんが慌ててテントの中に駆け込んで行くの。
赤毛のお兄さんは馬車に走っていったの。

金髪の女の子は最初の馬車に入るけどすぐに出て来て隣の馬車に走ってくの。

クミンもダインお兄ちゃん助けたいの。何をすればいいのかな。
どうすれば?なにすれば?

火傷の時は冷やすの。周りをよく見るの。

ダインお兄ちゃんがさっき居たところに走っていくの。
あった!
ダインお兄ちゃんが魔法で作った氷が一杯あるの!
割れてる大きな氷を持ってダインお兄ちゃんのところまで走るの急ぐの!

「クミンちゃん、よく見つけてきた。ダイン殿の口の周りに当ててくれ
口に入る大きさに割れたら口の中に含ませてやってくれ。俺も氷を採ってくるからダイン殿を看ていてくれ」

そういうとダラおじさんは走っていっちゃった。

「ダインお兄ちゃん、死んじゃやだよぉ。起きて、起きて、お兄ちゃん起きてよぉ」

氷はどんどん溶けていって割れそうになったので割ってお兄ちゃんの口の中に入れたの。


テントの中から金髪のお兄さんが瓶を両手に飛び出してきたの。

「ダラさん、ありました!あれ?」
遠くからダラおじさんが
「ダイン殿に飲ませてくれ!」
と叫んだ。

「了解です」

金髪のお兄さんがダインお兄ちゃんの口に瓶を充てるが上手く飲み込めないらしくて噎せちゃっている。

どうしよう。お薬飲めないと効かないよぉ。


「ふぅ、仕方ないわね」

え?この声・・・・
金髪のお兄さんも突然近くで聞こえてきた声にビックリしてる。

「クミン、こういう時はこうするのよ」
「お母さん!」

金髪お兄さんの影からヌッとお母さんが出てきたの。お母さんがどうしてここに居るの?
頭の中がパニックになっていると、お母さんは金髪のお兄さんから瓶を取り上げると、お母さんが全部飲んじゃったの。

「お母さん!なんで飲んじゃうの!」

クミンお母さんに会えて嬉しかったはずなのに、急にお母さんが悪い人になったみたいでクミン怒ったの。

お母さんはなにも言わずにウインクすると、ダインお兄ちゃんの口にちゅーしたの。
お母さんはダインお兄ちゃんの首の後ろに手を当てて少し持ち上げると、ダインお兄ちゃんの喉が何かを飲み込んでいるみたいで動いてるの。何度かお兄ちゃんの喉が動いたあとに

「ふぅ」

お母さんがダインお兄ちゃんとのちゅーを辞めるとクミンの方を見て

「クミン、意識の無い相手に飲ます時は、こうやって口移しで少しずつゆっくり注いで上げるの。そうすると噎せずに飲んでくれるのよ」

金髪のお兄さんがお母さんを見つめて真っ赤な顔して固まってるの。

「このポーション濃いわね。効果が上がるのか下がるのかどっちかしらね」

お母さんがふふふって笑ってるの。

「むう」

クミンはほっぺを膨らまして怒ってるののポーズをするの。

「うう、ぶはぁぁぁぁぁ、ヒール!!」

ダインお兄ちゃんが喋ったの!
お兄ちゃんは叫ぶとみるみる火傷が治っていくの。
顔も両手もあっという間に元のダインお兄ちゃんに戻っていくの。
涙がどんどん溢れてくるの。

「ダインお兄ちゃん!」

クミンはダインお兄ちゃんをぎゅっとするの一杯するの!
「お兄ちゃんよがっだぁぁぁぁぁうわぁぁぁぁん」
「クミン、心配掛けたね。ごめんね。それと氷をありがとね」

ダインお兄ちゃんはクミンの頭を優しくなでなでしてくれるの。
嬉しいのに涙が止まらないの。お兄ちゃんを一杯ぎゅっとして一杯泣いちゃったの。
お兄ちゃんはずっと頭をよしよししてくれて、背中をポンポンしつづけてくれたの。

「あらあらまあまあ。クミンは甘えん坊さんねぇ」

泣きじゃくるクミンをあやしている俺を妙齢の銀髪美女が妖艶な目付きで見つめて微笑んでいる。
(ええと、どなた?)

ダラたちがそれぞれ何かしらを手に持ち駆けながら俺を呼んでいる。

「「「「ダイン(様((殿ぉぉ)))!!」」」」

みんな声が震えてる。でもみんな笑顔だ。
みな無事で良かった。


ともかく生き残った。
騎士級て爵位じゃ最弱だよななどと思いつつも、今はこの生きているという実感と命のやり取りからの解放感を満喫する。
そして俺はクミンという癒しに心を委ねていたいとクミンの頭を撫で愛でつつその体温の暖かさに心から安堵するのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

クミンママの言っていることはフィクションです。

現実の医療知識とは違いますでご注意下さい。
あくまでもフィクションの世界での知識であって現実とは異なりますので真似をしないで下さいね。

寝ている人(多分浅い眠り)は嚥下えんげしてくれることもあるそうですが、意識不明の場合はしてくれないそうですので、医療技術のある方(緊急時は119番)に指導して貰うか専門の方に任せましょう。

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