水晶龍といっしょ ~ダンジョン巡って魔王の種もぎ~(仮題)

眠り草

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【第一章】一部

【呼び出されし者】32.精霊とテンポラリマジック

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・・・・例えば、お湯を出すって魔術を作るとするでしょ。じゃあそのお湯って熱湯なのか湯浴ゆあみ用なのかで用途により様々でしょ。

そういうのをいちいち火力調整を試みながらやってたら大変でしょ?
だから君のイメージする温度を直接反映させる一時的テンポラリ魔術式なんていうのもできるんだ。

これはあんのバカの説明じゃ無かったはずだし、気付きようがないよね。
おまけにきっちり封印グレイアウトしてあるし」


マップ説明で出番がなかったリュファーナ女史が魔術の作成について追加情報をレクチャしてくれている。



「魔術は何も魔術礎から構築しなきゃ作れないわけじゃないの。

普通の人達は魔導の瞳を持ってないわけだけど、そんな人達でも詠唱により自分の持つイメージを補強しながら魔素を集めて魔術、ううん彼らの場合は魔法か、を発動させることができてるの。

彼らが精霊と呼ぶ魔素のうねりに自分達のマナを魔素に干渉させて魔法を行使するということらしいの」


ファンタジーの定番の精霊と精霊魔法。ナタルゥがやってたのがそれなのかと眠りの魔法を使ってた時のことを思い出す。
黒い粒がナタルゥに集まってたからあれが精霊と言われる魔素のうねりだったのだろう。

日本にも精霊(神様)一杯居ることになってるけど、魔素が見れたら凄いことになってそうだな。
なにせ八百万も居るそうだし。ちな古文の八百万やおよろずというのは際限無いというのを表現する数らしいからいたるところに魔素うねりがありそうだ。


「精霊という現象は魔素のうねりが疑似人格を持った現象のことなんだけど、最初の魔王を封印して暫くして当時の文明が衰退してから観測されるようになり始めた事象なの」

「昔は居なかったと?」

「そう居なかった。でボクたちは精霊という新たな事象を調べた。

そして魔素というのは、人の感情・・想像力・・・に呼応して集まることがわかったんだ。

魔素は何か一定の強い感情や心情に反応する。
怒り、悲しみ、決死の覚悟だったり、瞑想、トランス状態で顕著に反応することがわかった。

瞑想とトランス状態てのが例外に思えるかもしれないけど、瞑想やトランス状態は脳波を見ると感情のたかぶった時と似ているんだ。瞑想は特に不思議な脳波を示してたね」

「人の脳波に反応するってことか」

「そうそう、さっすがダイン君!話が早くて助かるよ。

で、時を下るにつれ人々が精霊に対して信仰に似た想いが募ることで、精霊達がはっきりとした疑似人格を形成し顕現するまでに至ったということ。

「顕現てことは姿が見えるようになったってことすか?」

「驚くことにそうなんだよ。初期に確認されてたのは光る粒の集合体だったけど、信仰が深まるにつれてある程度人の形を獲ったり、火柱だったりと一定の形を持つようになったんだ。

宗教の神が人に創られあたかも存在するかのように崇め信仰されて来たように、自然現象を神格化して人々の想いが寄り集まって精霊という人格と姿を生み出したということみたい。

人々が想う『こうであろう』という姿や気性が形作られ顕現した。

風向きがコロコロ変わる様から気紛れで自由気ままな少女
何ものをも焼き尽くし蹂躙する荒ぶる炎
時に荒ぶるが普段は穏やかてすべてを包み込む母性を湛えた女性
すべてを産み育て支えそして最期を受け入れる大地母神

てな感じにね。
光や闇はだいたい光や闇の塊とかで他の形の報告はまだ聞いたこと無いや。

まあつまり精霊は人間達の思念が集まりかたちを持った、いや持たせた存在ということだね。

その一定のイメージを持つ意思在る魔素に自分のイメージの具現化を依頼するのが彼らの魔法というものなんだ」


纏めると昔は精霊は存在しなくて魔導の瞳でしか魔術を行使できなかった。
魔王封印後に精霊という自然現象が崇拝され、その信仰する想いが魔素の塊となり意思を持つに至った。
そして精霊を利用することで魔法が使えるということかな。


「話がずれちゃったけど、精霊にイメージで願うという手順は魔導の瞳も似たようなことが可能なんだ。

それが自分で想像したイメージから魔術式を生成する仕組み。

これは説明よりも試した方が早いから、機能解放するので後は分からないことをヴィマナに聞きながら自分で試してみてね」


【スキル:印象具現構築 を解放しました】
【魔術礎:『事象』群 を解放しました】
【これより本機装着者マスターの記憶を基に各種データベースの解放を行います】
【魔術礎・・・・・を解放しました】
 ・・・・・
 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・
 ・
 ・
【魔術礎:希望 を解放しました】

暫くして最後のポップアップメッセージが消えていく。
やっと、やっと終わったぞ。長かったー。

延々と続く膨大なポップアップメッセージがひたすら視界の中央に浮かびは次のメッセージに押し上げられ次の・・・が続き、視界の上に流れていくメッセージ達。
人の記憶力ってすげぇんだなと改めて感心した。



最後の最後が希望って、俺の記憶はパンドラの箱か!?
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