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連載
いざ、ダンジョンへ
しおりを挟むお兄様の助言通り早めに就寝したお陰で目覚めスッキリ。
今日の課外授業は張り切ってすすめられそう!
アンナに準備してもらって、今日は動き易く髪は纏めて貰い、歩きやすいブーツに乗馬服と言うパンツスタイル。
鏡の前でクルッと回って見る。
うん、外見チートに感謝。
「お嬢様は何でもお似合いです」
アンナにも笑顔で褒められて朝から上機嫌な私。
部屋を出ると一緒に課外学習に向かってくれるブライアンが、ピシッと騎士服を着こなして待っていてくれた
「おはよう。ブライアン。今日はよろしくね」
「おはようございます。姫様をお護りする名誉を頂けて幸せにございます。」
「今日は、その姫様はやめて貰えると…」
そう伝えると、ブライアンの顔は途端に悲しげな表情になった。
「リーゼと呼んでくれたらいいわ」
「恐れ多い。…それでしたらリーゼロッテ様と。」
「そうね。その方がいいわ」
クラスメイトの前で姫様は流石に恥ずかしいもんね。
馬車に乗り込み、ダンジョンへと向かう。
なんと、現地集合なのだ。
学園に一旦集合して、出席確認して出発とかじゃないのに驚いたけど、他の人達は普通だった。
日本人だった記憶があるからかな?
馬車内では、アンナが隣りにブライアンが向かいに座り、ローゼリアについて色々話を咲かせた
「催し物もね、収穫祭、特産品祭り、夏祭りとか色々考えているの。」
「どれも素晴らしい物になりそうですね。」
「領民達が楽しく思える催し物にしたいわ。」
「ローゼリアに戻る度、リーゼロッテ様は次いつお戻りになるんだと、毎回詰め寄って来ますよ。リーゼロッテ様のお姿があれば、皆満足する事でしょう。」
ブライアンの言葉に、思わず照れてしまう。
私も皆が居てくれたら嬉しいもんね。
ブライアンは、ローゼリアの騎士団所属だから、王都の家とローゼリアを行ったり来たりしている。
他の護衛騎士達もそうだ。
基本2人体制で、二交替制。
今日は、1人しか連れて行けないからブライアンだけ。
アンナは、このまま一度帰宅してまた迎えに来てくれる事になっている。
魔法で戻るよって言ったけど、お嬢様を迎えに来たいのです!と言われたので素直にお願いしておいた。
ダンジョンにつき、アンナの乗った馬車を見送り入口前で点呼を受けた。
ダンジョン内へは各々向かうらしい。
うーん。
危険が無いって証拠なのか、集団の方が危ないのか。
魔獣を知る為にある授業なのに、緊張感の無い感じで大丈夫なの?
危機管理能力があるのか無いのか分かんないな。
入口で教師から、ビー玉位の魔石を2つ渡されて握れと言われた。
言われるままに握ると
「はい。では、片方を騎士へと渡して必ず無くさないように。行ってらっしゃい」
と、言われ送り出された。
なるほど。
これで管理してるのか。
そんな事を考えつつ、ダンジョン内に入るとヒンヤリとしていた。
見た目も、日本の鍾乳洞みたいな感じ。
凸凹していて、人工的なのは今歩いている通路だけ。
そこで気になる事があったので、ブライアンに尋ねてみる
「ねぇ、ブライアン。私の前に入った人達は何処へ行ったのかしら?」
私達2人以外、誰も居ないのだ。
入口で、私達の次にも沢山並んで居たのに入ってくる様子も無い。
「このダンジョンは、リーゼロッテ様と私だけしか居ません。」
「え?どういう事?」
「先程、渡された魔石でリーゼロッテ様がマスター登録されました。そして、その魔石を所持している私は同行者として許されています。マスター登録してダンジョンに入ると、マスターの性質によってダンジョンが変質し、マスターだけのダンジョンになるのです。マスター登録せずに入ると魔獣だらけのダンジョンで訓練が可能です。」
つまり最初から危険はない状況だと。
魔獣への対策を知る為の課外学習じゃないのかよっ!ってツッコミたくなった。
ん?でも、マスターの性質とは?
「私の性質のダンジョンって…どうなるの?魔獣の危険性うんぬんは??」
「私にも、リーゼロッテ様がどの様なダンジョンを作るのかは分かりませんが、魔獣に対して恐怖心を抱いていればそれなりの魔獣が出てくるダンジョンとなります。ただ、マスターと同行者の戦力も加味されるので、4階層までは問題なく……」
ブライアンが急に青ざめながら言葉が止まった。
「ブライアン?大丈夫?どうしたの?」
「リーゼロッテ様は愛し子様ですよね」
「え?うん。そうなってるね。」
「私も、騎士団で副団長の籍を頂いてます」
「うんうん。頼りにしてるよ。」
「つまり…出現する魔獣の危険度は…副団長以上愛し子様未満……」
な、なるほど?
ブライアンもどんな魔獣が出るか予想が出来ないと言う事か!!
理解した途端、ブメェェェェェーー!!と聞いた事のない鳴き声?叫び声?が聞こえて来た。
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