【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう

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55. 好きだけど Side テオ

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「だいじょうぶさ。リリーは凄いやつだ。」

 リリーの頭を撫でながら、テオは笑う。

「テオ様がいるなら、大丈夫かもしれません。」

 上目遣いで、リリーがテオを見上げた。

 ーーーーなんだろ、この気持ち。

 リリーへの想いは、マティアに対して抱いていた気持ちとは別の気持ちだった。

 テオは、マティアはただ笑ってくれているだけでよかった。彼女を笑わせるのも、側にいるのも、自分じゃなくてもいいと思っていた。

 だけど、リリーは違う。リリーの傍にいるのも、守るのも、一番の座も、誰にも渡したくないと思えた。

 「傍に、いるよ。てゆうか、俺以外リリーの傍にいちゃだめだから。」

 テオはリリーに額を合わせた。リリーは目を見開いて、固まると強く頷いた。

「は、はい!」

 ーーーーなるほど、これが独占欲ってことか。

 テオはリリーの傍にいると、今まで知らなかった感情を知っていく。

 バード国とドントール国の同盟交渉は進んでいた。 新しいドントール国が構築される上で、この同盟はリリーの助けとなるだろう。”元”ドントール国王を支持する者たちは、リリーにバード国の後ろ盾が付いていることで、大きな動きを起こすことができなかった。

 ーーーー戦いを止められたぜ、ポール。マティア。
 
 窓から青空を眺めて、テオは嬉しそうに笑った。

 ーーーー今頃、どこにいるんだろうな。

 海に飛び込んだマティアはポールに助けられ、無事元気にしているらしい。今はポールとふたり、各地を回って身を隠しているらしい。

 『死んだはずの王女が現れたら、みんな拍子抜けしちゃうかもしれないし。女王が誰になるかでもめるのもよくないしね。しばらくあちこち回って、静かにしているわ。』

 マティアとポールからとどいた手紙にはそう書いてあったが、新婚旅行したいだけだろ、とテオは思った。

 あのマティアの覚悟がなければ、結婚式のあの日、兵士たちは動かなかったかもしれない。命がけのマティアの行動が状況を変えるきっかけになり、リリーの勇気が両国を救ったのだ。

「ドントール国は今後、一切の侵略行為をしないことをここに宣言します。」

 リリー新女王による誓い。それから、リックストンとドントール国は、バード国も絡めたより強固な和平条約を結んだ。ドントール国内の混乱も収まり、両国の戦いは避けられたのであった。

   ◇◇◇

 リリーが女王になって一ヶ月が経った頃の女王夫妻の部屋。

「テオ様っ、テオ様っ。」

 お風呂から出てきたリリーは小走りで駆け寄ってきて、テオを後ろから抱き占めた。リリーからいい香りがする。柔らかい体に包まれて、テオは思わず声をあげた。

「うわっ。」

「驚きました?」

 そう言うリリーの顔は真っ赤に染まっている。

 ーーーーその反応はずるいだろ!

「いーや。驚いてないぜ?」

 余裕ぶりたくて、テオはリリーを抱き上げてみせた。するとリリーが嬉しそうに笑う。

「ね、テオ様。一緒に眠りましょう?」

 頬を赤く染めながら、リリーはにっこりと笑う。結婚して、一ヶ月経つが、テオとリリーはまだ同じベットで眠ったことがない。なんとなく、悪いことな気がして、一緒に眠るのを避けていたのだ。リリーと一緒に寝るのが嫌なわけでは断じてない。むしろその逆だからこそ、テオはリリーと一緒に眠ることができなかった。

「えーと。」

 テオは頬をポリポリと掻いた。

「私たちは夫婦ですもの。」

「いや、その、えーとな。」

「大好きです。テオ様、だめですか?」

 リリーはまっすぐにテオに大好きを伝えてくる。誰かにこうやってまっすぐ好意を伝えられることが、こんなに幸せなものだとは思わなかった。

ーーーーああ、幸せだ。

 テオは幸せそうに笑って、リリーを抱きしめたのだった。

「俺も、リリーを好きになっていいか?」

 ーーーーだめって言われても、もう好きだけどさ。

「テオ様、もちろんです。」

 リリーは喜びにみちた目でテオを見つめ、頷いた。

「大好きだよ。リリー。」

 そうして新女王リリーと夫テオの夜は更けていく。


  ◇◇◇

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