【完結】妾は正妃を婚約破棄へ追い込みました。妾は残酷な方法で正妃を王から引き離したのです。

五月ふう

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2.愛人が好きなのね?

一ヶ月後。
隣国に向かう船の中。


「ねぇ、ガイゼル!!
 もう我慢ならないわ!
 この航海から帰ったら
 アメリアを城から追い出して頂戴?」

海に揺られる船のバルコニー。
私はガイゼルを呼び出して、
そう懇願していた。

首脳階談を行うため
2日程前にハイガルク国を出発し、
隣国スカル国に向かう道中だ。

国王であるガイゼルと、
その婚約者である私は
スカル国で行われる会談に
参加することになっている。

重要な会談にも関わらず、
なぜかアメリアも、
無理やり船に着いてきていた。

どうしても着いていくと言って
聞かなかったのだ。

「いや、でもなぁ。」
ガイゼルは言葉を濁す。

「大体なんで妊婦なのに、
 船旅に着いて来るわけ?
 もう、全部嘘ついているように
 思えるわ!」

兵に頼んでアメリアの
身元を調べてもらった。

だがアメリアは
どこかの国からの流れ者らしく、
生まれ、経歴、
何一つ特定出来なかった。

それだけじゃない。
アメリアは横柄な態度で
様々なことに難癖をつける。

料理が不味い、
部屋が寒い、
使用人の音が煩い、
とにかくあらゆることに
注文をつけるので、
城の皆が困惑していた。

私がいるにも関わらず、
まるで自分が王妃にでもなったかのような
振る舞いだ。

「アメリアはこの国にとって
 良くないわ。
 早めに切り捨てるべきよ!」

大体、なぜガイゼルは
あんな女と浮気したのか。
考えれば考えるほど
腹がたってくる。

「いや、だけど、、。」

ガイゼルは相変わらずはっきりしない。
アメリアの横暴を
貴方は気づいてすらいないでしょう?
ガイゼルが押し黙った時

コンコン

軽いノック音が  
バルコニーと船内を遮る扉から聞こえた。

誰?今、大事な話をしてるんだけど。

ノックの
返事も待たずにアメリアが
バルコニーに入ってきた。

「アメリア、今
 ガイゼルと話をしているの!
 入って来ないで頂戴!」

私がそう言うと、  
アメリアは俯いた。

「レイシャ様は、
 なんて酷い人なの、、?」

アメリアは芝居がかった言い方でそう言うとガイゼルの腕を組んだ。

「私はガイゼル様の子供を
 妊娠しているのに。
 私への気遣いは、
 一つもないのかしら?」

アメリアはぽろぽろと涙を流して
そう訴える。

「なぜ私が貴方を
 気遣わなければならないの?
 嘘泣きはやめて頂戴!」

「レイシャ!」

ガイゼルが私を
怒鳴りつけた。 

滅多に無いことに、
私は一歩尻込みをする。

「な、なによ?」

「なぜ君は、
 そんなに酷いことばかり
 アメリアに言うんだ?!
 もう少し、
 人に優しくしたらどうなんだ!!」

なぜ私が
悪者になるの?
浮気をしたのは貴方なのに。

「そんな!!
 私はこの国のためを思って
 言っているだけなのに、、。」

ガイゼルはアメリアの肩を抱いた。

「行こう、アメリア。」

「ちょ、ちょっとまってよ!」

ガイゼルは私の言葉に
振り向きもしなかった。

「しばらく君の顔は見たくない。
 僕に話しかけないでくれ。」

こ、このポンコツクソ野郎め!!



------------------------------------


「ガイゼルのばか!!」

私はバルコニーの柵に手をかけ
海に向かってそう呟いた。

日はすっかり落ちて、
海は真っ黒に染まっている。

あれから
二人は船内の部屋に籠もって
出てきやしない。

私だって、
アメリアに冷たく当たって
いるってわかってるわ。

でも、それの何が悪いの?
裏切ったのは貴方よ、ガイゼル。
貴方まだ一度だって
私に謝罪してくれてないわ。

あぁ、許せない。

幼い頃から、
私はずっとガイゼルの側にいたのに、
あの女が横から取っていくの?

私は、貴方の妻になるために
必死で努力してきたのに。

乱暴に涙を拭った。
アメリアのように弱々しく泣けない。

もう、部屋に戻ろう、
ため息をついて歩き出した。

その時。

ドゴーーーン!!!

「きゃぁぁあ!!」

爆音と共に、
船が大きく揺れた。

「海賊だーーー!!」

船長が
部屋から出てきて叫んだ。

ウォンウォンと、
警告音が鳴り響く。

「何事だ?!」

アメリアとガイゼルを含めた
ハイガルクの人々が
部屋から出て来た。 

「海賊です!!
 普段は安全な海域なのですが、、。」

「そんなことどうでもいい!!
 追い払え!!」

一隻の
黒い海賊船が二発目の砲撃を放った。

グワングワンと
船が揺れる。

海賊には
大柄の男達が10名程。
それぞれ剣や銃を装備している。

「乗り込めー!!!」

一人の海賊の言葉を合図に
海賊たちがこちらの船に乗り込んできた。

ハイガルク国の兵士たちが
なんとか応戦しているが、
海賊の動きが速く対応できていない。

そもそもハイガルク国は平和な国で
兵士達に実践経験が乏しいのだ。

あっという間に兵士達は
やられてしまい
地面に転がっている。

リーダーらしき男が、
ガイゼルに銃を突きつけた。

「さーて、と。
 あんたが王様?」

ガイゼルの手はカタカタと震えている。

「震えてやがるねぇ。
 ほんとに王様?」

海賊はくくっと笑った。

「まぁ、いいや。
 この中で
 レイシャとかいう
 女はどいつ?」

なぜ私?

「その女よ!!」

アメリアが鋭い声で
叫び、
私を指さした。

「さんきゅ。」

海賊の男はウィンクをすると
白い玉を
思い切り下に投げつけた。

ボンッッ

モクモクと
白い煙があたりを覆った。
え?
何、何事?

「え?!
 ちょっと
 何すんのよ?!」

海賊が私の体を持ち上げた。

「ちょっと!!離して!!
 離して!!」

私はバタバタと足を動かすが
男の力には敵わない。

「暴れんでくれよ~」

と私を持ち上げた海賊は
呑気にそう言って走りだした。

「レイシャ?!
 何が起きているんだ?!」

ガイゼルの声がする。

「誘拐される!!
 ねぇ!誰か助けて!!」

助けも虚しく、
私は海賊船に連れ去られた

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