1 / 9
1.婚約者が女を拾ってきた
しおりを挟む
初夏、雨がしとしとと降る中、その女は汚れた箱の中に入って、私と婚約者のギルバードを見上げていた。
「ミィナを拾ってください。」
腰まで伸ばした銀色の細い髪に大きな水色の目。ピンク色のワンピースを着て、箱の中で正座をしている。
(何こいつ?)
目をうるうるさせて、いかにも私を拾うのは当然ですよね?という顔をしてる。
私の名前はエマ・スチュワール。28歳。婚約者のギルバードは32歳。
私は元々サイラス国軍探偵部で働いていたのだが、一ヶ月前貴族の一人息子であるギルバードに見初められて恋に落ちた。めでたくスピード婚約した後に、母親の願いを聞いて探偵をやめ、今はギルバードの家で家事をしている。
「行こう、ギルバード。」
ミィナとかいう女に見とれているギルバードの腕を引く。なんとなくこの女には関わらないほうがいい気がする。
「こんな雨の中、可哀想じゃないか?」
「可哀想かもしれないけど、、、。関わらないほうがいいよ。」
私の言葉に、ミィナは顔を覆って泣き出した。探偵をしていた私の感からいうと、こうやってすぐに涙のスイッチが入る女は百発百中でやばい奴だ。
「なんて酷い人なの!!」
「いや、そう言われてもねぇ。ミィナさん、本当に困っているなら、国軍の警察部に助けを求めたら?きっと、いい仕事先を紹介してもらえるわ。」
元々国軍で働いていたので、内情は分かっている。サイラス国は世界的に見て裕福な国だ。まぁ、最近は国王の政治がやばすぎて、国が傾きかけてはいるけれど、それでも貧困層がなんとか生きていくための制度は整っている。
「国軍は、意地悪なので嫌いですぅ。」
「意地悪かもしれないけど、制度として助けてもらえるはずだから。ミィナさん、身分証明書はある?」
「そんなもの、持ってないですぅ。私、親に捨てられたんですもん。」
私は大きくため息をついた。放って置きたいが、元探偵部として見過ごせない。身分証明書が無いとなると厄介だが、国軍で戸籍を見つけ出せればなんとか助けてもらえるはずだ。
「とにかく、国軍の役所に行きましょう。話はそれからよ。」
「嫌です!!」
ミィナは私の手を振り払うと、ギルバードの腕にしがみついた。
「ちょっと!!私の婚約者になにしてるの?」
「貴方、意地悪だから嫌い!国軍の人と一緒なの!ねぇ、私はこんなに可哀想なのに、拾ってくれないんですか?」
「僕が助けてあげるよ。君みたいな可愛い子を放ってはおけないからね。」
「はあ?」
ギルバードはミィナの手を取ってにっこりと微笑んだ。私が思い切り睨みつけているにも関わらず、ギルバードは言葉を続けた。
「僕の家においでよ。部屋は余っているから。」
「ありがとうございます!!」
「ちょ!冗談じゃないわよ!絶対に嫌なんだけど!!」
なぜ婚約したばかりでよく知らない怪しい女を家に入れなくちゃならないんだ。
「だって可哀想じゃないか。エマだって本当は優しい人なんだから、わかってくれるだろ?」
「、、、!」
私がどんなに反対しても、ギルバードはミィナを家に迎い入れることを決めてしまった。ギルバードは拾ってきたミィナに何でも買い与えた。服、カバン、ジュエリー。婚約者である私に暮れたものより高額なものをミィナに貢いでいるのを見て、私の怒りは限界を突破した。
◇◇◇
「ミィナを拾ってください。」
腰まで伸ばした銀色の細い髪に大きな水色の目。ピンク色のワンピースを着て、箱の中で正座をしている。
(何こいつ?)
目をうるうるさせて、いかにも私を拾うのは当然ですよね?という顔をしてる。
私の名前はエマ・スチュワール。28歳。婚約者のギルバードは32歳。
私は元々サイラス国軍探偵部で働いていたのだが、一ヶ月前貴族の一人息子であるギルバードに見初められて恋に落ちた。めでたくスピード婚約した後に、母親の願いを聞いて探偵をやめ、今はギルバードの家で家事をしている。
「行こう、ギルバード。」
ミィナとかいう女に見とれているギルバードの腕を引く。なんとなくこの女には関わらないほうがいい気がする。
「こんな雨の中、可哀想じゃないか?」
「可哀想かもしれないけど、、、。関わらないほうがいいよ。」
私の言葉に、ミィナは顔を覆って泣き出した。探偵をしていた私の感からいうと、こうやってすぐに涙のスイッチが入る女は百発百中でやばい奴だ。
「なんて酷い人なの!!」
「いや、そう言われてもねぇ。ミィナさん、本当に困っているなら、国軍の警察部に助けを求めたら?きっと、いい仕事先を紹介してもらえるわ。」
元々国軍で働いていたので、内情は分かっている。サイラス国は世界的に見て裕福な国だ。まぁ、最近は国王の政治がやばすぎて、国が傾きかけてはいるけれど、それでも貧困層がなんとか生きていくための制度は整っている。
「国軍は、意地悪なので嫌いですぅ。」
「意地悪かもしれないけど、制度として助けてもらえるはずだから。ミィナさん、身分証明書はある?」
「そんなもの、持ってないですぅ。私、親に捨てられたんですもん。」
私は大きくため息をついた。放って置きたいが、元探偵部として見過ごせない。身分証明書が無いとなると厄介だが、国軍で戸籍を見つけ出せればなんとか助けてもらえるはずだ。
「とにかく、国軍の役所に行きましょう。話はそれからよ。」
「嫌です!!」
ミィナは私の手を振り払うと、ギルバードの腕にしがみついた。
「ちょっと!!私の婚約者になにしてるの?」
「貴方、意地悪だから嫌い!国軍の人と一緒なの!ねぇ、私はこんなに可哀想なのに、拾ってくれないんですか?」
「僕が助けてあげるよ。君みたいな可愛い子を放ってはおけないからね。」
「はあ?」
ギルバードはミィナの手を取ってにっこりと微笑んだ。私が思い切り睨みつけているにも関わらず、ギルバードは言葉を続けた。
「僕の家においでよ。部屋は余っているから。」
「ありがとうございます!!」
「ちょ!冗談じゃないわよ!絶対に嫌なんだけど!!」
なぜ婚約したばかりでよく知らない怪しい女を家に入れなくちゃならないんだ。
「だって可哀想じゃないか。エマだって本当は優しい人なんだから、わかってくれるだろ?」
「、、、!」
私がどんなに反対しても、ギルバードはミィナを家に迎い入れることを決めてしまった。ギルバードは拾ってきたミィナに何でも買い与えた。服、カバン、ジュエリー。婚約者である私に暮れたものより高額なものをミィナに貢いでいるのを見て、私の怒りは限界を突破した。
◇◇◇
35
あなたにおすすめの小説
絶縁状をお受け取りくださいませ旦那様。~離縁の果てに私を待っていたのは初恋の人に溺愛される幸せな異国ライフでした
松ノ木るな
恋愛
アリンガム侯爵家夫人ルシールは離婚手続きが進むさなかの夜、これから世話になる留学先の知人に手紙をしたためていた。
もう書き終えるかという頃、扉をノックする音が聞こえる。その訪ね人は、薄暗い取引で長年侯爵家に出入りしていた、美しい男性であった。
婚約者に愛されたいので、彼の幼馴染と体を交換しました【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「すまない。でも、全部きみのためなんだ」
ランデリック様はそう言って、私との婚約を解消した。……許せない、きっと、『あの女』にたぶらかされたのね。半年ほど前から、ランデリック様のそばをウロチョロするようになった、彼の幼馴染――ウィネットに対する憎しみが、私に『入れ替わり』の呪文の使用を決意させた。
『入れ替わり』の呪文は、呪文を唱えた者と、使用対象の心を、文字通り、『入れ替え』てしまうのである。……呪文は成功し、私の心はウィネットの体に入ることができた。これからは、私がウィネットとなって、ランデリック様と愛を紡いでいくのよ。
しかしその後、思ってもいなかった事実が明らかになり……
親に捨てられた長女ですが両親と王子は失脚したようです┐( ^_^;)┌
頭フェアリータイプ
恋愛
クリームランド公爵の長女ルカは神の愛し子である妹アンジェラを悲しませたという理由で戒律が厳しいことで有名な北の修道院に送られる。しかし、その3年後彼女は妹の望みで還俗することになって???
投稿後3日以内にお気に入り10で短編に変更連載続行します。
お気に入りありがとうございました。短編に変更し連載を続行します。完結までどうぞお付き合い下さいませ。
イイカンジノカオモジを発見したのでタイトルを微変更
どうにかこうにか完結。拙作お付き合い下さりありがとうございました。
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。
喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。
学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。
しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。
挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。
パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。
そうしてついに恐れていた事態が起きた。
レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。
婚約破棄が、実はドッキリだった? わかりました。それなら、今からそれを本当にしましょう。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるエルフィリナは、自己中心的なルグファドという侯爵令息と婚約していた。
ある日、彼女は彼から婚約破棄を告げられる。突然のことに驚くエルフィリナだったが、その日は急用ができたため帰らざるを得ず、結局まともにそのことについて議論することはできなかった。
婚約破棄されて家に戻ったエルフィリナは、幼馴染の公爵令息ソルガードと出会った。
彼女は、とある事情から婚約破棄されたことを彼に告げることになった。すると、ソルガードはエルフィリナに婚約して欲しいと言ってきた。なんでも、彼は幼少期から彼女に思いを寄せていたらしいのだ。
突然のことに驚くエルフィリナだったが、彼の誠実な人となりはよく知っていたため、快くその婚約を受け入れることにした。
しかし、そんなエルフィリナの元にルグファドがやって来た。
そこで、彼は自分が言った婚約破棄が実はドッキリであると言い出した。そのため、自分とエルフィリナの婚約はまだ続いていると主張したのだ。
当然、エルフィリナもソルガードもそんな彼の言葉を素直に受け止められなかった。
エルフィリナは、ドッキリだった婚約破棄を本当のことにするのだった。
婚約を解消してくれないと、毒を飲んで死ぬ? どうぞご自由に
柚木ゆず
恋愛
※7月25日、本編完結いたしました。後日、補完編と番外編の投稿を予定しております。
伯爵令嬢ソフィアの幼馴染である、ソフィアの婚約者イーサンと伯爵令嬢アヴリーヌ。二人はソフィアに内緒で恋仲となっており、最愛の人と結婚できるように今の関係を解消したいと考えていました。
ですがこの婚約は少々特殊な意味を持つものとなっており、解消するにはソフィアの協力が必要不可欠。ソフィアが関係の解消を快諾し、幼馴染三人で両家の当主に訴えなければ実現できないものでした。
そしてそんなソフィアは『家の都合』を優先するため、素直に力を貸してくれはしないと考えていました。
そこで二人は毒を用意し、一緒になれないなら飲んで死ぬとソフィアに宣言。大切な幼馴染が死ぬのは嫌だから、必ず言うことを聞く――。と二人はほくそ笑んでいましたが、そんなイーサンとアヴリーヌに返ってきたのは予想外の言葉でした。
「そう。どうぞご自由に」
【完結】婚約者と養い親に不要といわれたので、幼馴染の側近と国を出ます
衿乃 光希(キャラ文芸大賞短編で参加中)
恋愛
卒業パーティーの最中、婚約者から突然婚約破棄を告げられたシェリーヌ。
婚約者の心を留めておけないような娘はいらないと、養父からも不要と言われる。
シェリーヌは16年過ごした国を出る。
生まれた時からの側近アランと一緒に・・・。
第18回恋愛小説大賞エントリーしましたので、第2部を執筆中です。
第2部祖国から手紙が届き、養父の体調がすぐれないことを知らされる。迷いながらも一時戻ってきたシェリーヌ。見舞った翌日、養父は天に召された。葬儀後、貴族の死去が相次いでいるという不穏な噂を耳にする。恋愛小説大賞は51位で終了しました。皆さま、投票ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる