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24.皇太子は約束しました
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クーズマを見つめて、私は大きく息を吸った。
「私が、クーズマ様と結婚したら、願いをなんでも叶えてくれるのですか?」
声が震える。
クーズマは優しい表情を変えずに続けた。
「結婚するだけじゃ、だめだ。俺のことを好きになって欲しい。」
クーズマは私の目を覗き込む。その目から逃れるように私は俯いた。
この人と結婚すると約束したら、カーシャさんだけじゃなくてルカドル国を救えるかもしれない。
だけど、アルフレッドとの約束や私の願いを叶えられなくなってしまう。
「クーズマ様。」
私はゆっくりと顔をあげた。
まだ何も決められない。言葉が出てこない。
「いいから、シアラが思ったことをそのまま教えて。」
なぜクーズマはこんなにも、優しい顔をしてるんだろう。過去のシアラはクーズマのことを友達だと言っていた。記憶をなくす前のシアラの言葉を信じよう。
「できません。」
私は唾を飲み込んだ。
言葉が溢れてきて、止まらない。
「クーズマ様。ルカドル国や大切な人を救うために、貴方の妻になることはできるかもしれません。
ですが、貴方のことを好きになることは私にはできません。」
私は、アルフレッドが好きだ。
言葉にならないくらい。
あんなにも誰かに全力で愛を向けてもらったのは初めてで、私もアルフレッドを守りたかった。
「好きな人がいるんです。私は、どんなことがあったってきっと、あの人を忘れられないんです。
だから、、だから、、、私は。」
「シアラ。」
クーズマが穏やかな声で、私の名前を呼んだ。
「分かった、いや、分かっていたから、泣かないでくれ。」
涙が流れていることに気が付かなかった。アルフレッドと離れ離れになりたくなくて、苦しいんだ。
「どういうこと、、、ですか?」
クーズマは私にハンカチを手渡す。
「シアラは覚えてないだろうけど、実は今と同じ会話を3年前にもしているんだ。」
クーズマは椅子に座わり、小さく笑った。
「どういうこと、ですか?」
「3年前にも、俺は同じことを言われてシアラに振られてるんだ。
驚かして悪かったな。」
クーズマはお菓子を一口食べ、もごもごと口を動かしながら言う。
「なぁ、シアラ。記憶には無いだろうけど、3年前、シアラと約束したんだよ。
俺を振るなら、シアラはちゃんと好きな人と一緒になって幸せになれよってさ。」
「クーズマ様・・・。」
「けど、招待状に書かれてたシアラの結婚相手は、俺が聞いてたシアラの好きな男じゃなかった。
だから、シアラがちゃんと俺との約束を守ったのか、それが知りたくてルカドル国に来たんだ。」
クーズマは私がオークリィと婚約破棄したことをまだ知らないのだ。そして、彼は記憶を失う前のシアラが誰を好きだったのか知っている。
「なぁ。シアラは、ちゃんと好きな奴と結婚するのか?オークリィ、だっけ。」
私は大きく首を振った。
きっとクーズマは私の味方だ。
友達じゃなかったら、こんな馬鹿みたいなことしないはず。
素直に伝えたかった。
「いいえ。私は、オークリィとは、結婚しません、、、。私、私はアルフレッドと一緒に、この国を逃げるつもりです。
記憶を失う前のシアラが誰を好きだったか、わからないけれど私はアルフレッドが好きです。」
クーズマは大きく頷き、満足げに笑った。
「約束、ちゃんと守れよ。」
クーズマは立ち上がり、大きく伸びをした。
「そうしたら、シアラの事情を聞こうか。友達として、俺にできることをしよう。」
それから、にやにやと笑って親指をドアの方に向けた。
「さあアルフレッドを呼んでやろうか。きっと、今頃心配すぎて泣いてるぜ?」
◇◇◇
「私が、クーズマ様と結婚したら、願いをなんでも叶えてくれるのですか?」
声が震える。
クーズマは優しい表情を変えずに続けた。
「結婚するだけじゃ、だめだ。俺のことを好きになって欲しい。」
クーズマは私の目を覗き込む。その目から逃れるように私は俯いた。
この人と結婚すると約束したら、カーシャさんだけじゃなくてルカドル国を救えるかもしれない。
だけど、アルフレッドとの約束や私の願いを叶えられなくなってしまう。
「クーズマ様。」
私はゆっくりと顔をあげた。
まだ何も決められない。言葉が出てこない。
「いいから、シアラが思ったことをそのまま教えて。」
なぜクーズマはこんなにも、優しい顔をしてるんだろう。過去のシアラはクーズマのことを友達だと言っていた。記憶をなくす前のシアラの言葉を信じよう。
「できません。」
私は唾を飲み込んだ。
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ですが、貴方のことを好きになることは私にはできません。」
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だから、、だから、、、私は。」
「シアラ。」
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涙が流れていることに気が付かなかった。アルフレッドと離れ離れになりたくなくて、苦しいんだ。
「どういうこと、、、ですか?」
クーズマは私にハンカチを手渡す。
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「どういうこと、ですか?」
「3年前にも、俺は同じことを言われてシアラに振られてるんだ。
驚かして悪かったな。」
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俺を振るなら、シアラはちゃんと好きな人と一緒になって幸せになれよってさ。」
「クーズマ様・・・。」
「けど、招待状に書かれてたシアラの結婚相手は、俺が聞いてたシアラの好きな男じゃなかった。
だから、シアラがちゃんと俺との約束を守ったのか、それが知りたくてルカドル国に来たんだ。」
クーズマは私がオークリィと婚約破棄したことをまだ知らないのだ。そして、彼は記憶を失う前のシアラが誰を好きだったのか知っている。
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「いいえ。私は、オークリィとは、結婚しません、、、。私、私はアルフレッドと一緒に、この国を逃げるつもりです。
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クーズマは大きく頷き、満足げに笑った。
「約束、ちゃんと守れよ。」
クーズマは立ち上がり、大きく伸びをした。
「そうしたら、シアラの事情を聞こうか。友達として、俺にできることをしよう。」
それから、にやにやと笑って親指をドアの方に向けた。
「さあアルフレッドを呼んでやろうか。きっと、今頃心配すぎて泣いてるぜ?」
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