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二章 互いの秘密
お出かけ
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「あ、そうだ。ついでだからさ、お昼食べた後日高くんのクレンジングとか化粧水買おうか?」
「は?」
歩きながら提案すると、ものすごく嫌そうな顔をされた。
「だって、今のメイク落とすならクレンジングは必要だし、そのあとちゃんとケアしないとまた乾燥しちゃうし」
「化粧落とすのは一回だけなんだろ? 買うのもったいねぇ。ケアにしたって、今までやってなかったし要らねぇよ」
その発言に、私は彼の袖を掴み軽く睨みつけるように見上げる。
「今までしなかったけど、これからは必要なの。いつまでも若いと思って油断してると後が酷くなるんだよ⁉」
「わーかった! 分かったからそんなに顔を近付けるな!」
ちょっと迫り過ぎたみたいだ。
でもケアが要らないなんて言葉は許容出来なかったんだもん。
「ったく、タチの悪りぃ強迫だな……」
離れるとそんな言葉が漏れ聞こえた。
強迫なんて大袈裟な。
……いや、まあ。ちょっとは強迫っぽいかも知れないけれど。
昼食は何にしようかとなって、日高くんが「ハンバーガーで良くねぇ?」なんて言うから、また迫りそうになった。
ハンバーガーが悪い訳じゃ無いけれど、チェーン店のメニューでは野菜が少な過ぎる。
しかもセットメニューで頼んで付けるのはサラダじゃなくポテト。
気持ちは分かる。
私もどうしても食べたくなるときはあるから。
でもそういう時は夜などに多めの生野菜を取ることにしてる。
日高くんがちゃんと夜に生野菜を食べてくれるなら良いけれど、ちょっと疑わしい。
そんな話をすると、「ちゃんと食うから」と力なく言われた。
勢いのなくなった日高くんに、ちょっと色々言い過ぎちゃったかなと反省する。
なので、彼の言葉を信じてお昼はハンバーガーにする事にした。
でもこんな事なら家で私が何か作った方が良かったかも知れない。
家を出て結構歩いちゃったから、もう無理だけれど。
店の中で注文した品を食べながら、話題はやっぱりメイクの事。
とは言え楽しいのは私だけで日高くんはもう相槌を打つことしかしてくれなくなった。
「ああ」とか「そうか」とか。
流石に私ばっかり楽しく話しても仕方ないので、共通の話題を振ってみる。
「そういえばゴールデンウィーク明けたらすぐに中間テスト始まるね」
でも、その話題でも日高くんは嫌な顔をした。
「ゴールデンウィーク始まったばかりだってのにテストの話すんなよ……」
まあ、確かにそういう反応になるよね。
「そんなに嫌そうな顔するってことは、日高くんって勉強苦手?」
授業の様子を見ているとそれほど勉強が出来ない様には見えないけれど、いつも眠そうな感じだし、授業に集中出来ているのか怪しいところ。
苦手くらいならともかく、赤点取りまくったりしたら大変そうだ。
「テストが好きな学生なんてほんの一部の変態だけだろ」
変態とまで言い切るか。
「勉強は……好きでもねぇけど嫌いってわけでもねぇかな? 中学でも学年の半分より下の順位なったことねぇし、まあ赤点取ることはねぇだろ」
「へぇ……ん? でも総長とかやってたんだよね? 学校ちゃんと行ってたんだ?」
「まあ義務教育だしな。行ける日はちゃんと行ってたぜ?」
「そっかぁ」
それなら問題なさそうだね。
なんて思いながらハンバーガーをパクリと食べる。
咀嚼していると、日高くんはポテトに手を伸ばしていた手を止めて言った。
「おい、ソースついてるぞ?」
「ん?」
どこについているのか教えてくれると思って次の言葉を待っていたら、言葉ではなくて手が伸びて来る。
そうしてサッと彼の親指が唇に触れた。
「ほら、とれた」
そう言って親指についたソースをペロリと舐める。
数秒固まった私は、一気に顔に熱が集まった。
な、何? 今のは何⁉
自分のものではない指が唇に触れた。
しかも硬そうな男らしい指が。
他人の指が唇に触れるのって、こんなに恥ずかしいんだ……。
触られる機会なんてなかったから今まで気付かなかった。
でもそう言えば日高くんは私が唇に触れるの嫌がってたっけ。
これは確かに恥ずかしいし、嫌だよね。
納得しながら顔の熱を下げるためドリンクを飲んだ。
そうしていると、少し離れた席から会話が聞こえる。
「あそこのカップル美男美女じゃない?」
「え? どこ? あ、ホントだー。目の保養だね」
それを聞いて私はキョロキョロと周りを見渡した。
「……お前何してんの?」
不思議そうな声で真正面の日高くんに問われてしまう。
「あ、いや。なんか美男美女のカップルがいるらしいから見たいと思って」
そう口にすると「ああ」と納得の声を出して、チラリとさっき会話が聞こえた方を見た日高くん。
彼にも聞こえていたんだろう。
「綺麗な顔の人を見るのは勉強になるから、見ておきたいと思って。……でも見当たらないね。ここから死角になってるところの席なのかな?」
綺麗な人の顔立ちは、パーツをよく見るとどうすればこんな風に見えるのかと勉強になる。
だから見たかったんだけれど、残念だ。
そう思っていると、日高くんは呆れたように「お前それ本気で言ってんの?」と言う。
「本気だよ。本当に勉強になるんだよ?」
と返すと。
「そういう意味じゃねぇんだけど……まあいいか」
と、何かを諦めつつどうでもよさそうに言われた。
よく分からないけれど、大したことじゃないってことだよね?
昼食を食べ終わったら、私達は百円均一のショップに行く。
日高くんのコスメを買うためだ。
ちゃんと買うならコスメショップに行くところだけれど、今は必要なものだけを少量欲しい状態。
まずは日高くんにスキンケアを慣れて貰わないといけないし、何より学生である私達にはお金がない。
少量とはいえ百十円でコスメが買える百均はもはや救世主だ。
しかもクオリティも年々上がっていて百均様々って感じ。
取りあえず化粧を落とすクレンジングは必須。
そして化粧水はテスターを試してもらいつつ選ぶ。
あとはメンズ用に保湿美白ジェルがあったので、それを選んだ。
本当はパッチテストをして問題が無いか確かめてから使うんだけれど、日高くんはスキンケア用品を持っていないし、何より丸二日様子を見なければならないことを伝えたら「面倒くせぇ」という言葉が返ってきたため今日から使ってもらうことにした。
肌に湿疹が出たり、かゆみが出て赤くなってきたりして来たらすぐに使うのをやめるように念を押してから買ってもらう。
コスメを買うことに抵抗があったみたいだけれど、「まあ、三百円くらいなら」と買ってくれた。
その後は特に予定もなかったので、各々必要な買い物に付き合いながら歩き回る。
そうして四時半くらいに駅で解散という事になった。
「クレンジングと保湿は絶対にしてね。あと約束通り夜は生野菜も食べて。それと、寝不足が肌荒れの主な原因だろうから、十時には寝ること」
別れ際、念を押すようにつらつらと並べ立てる。
日高くんはウンザリして「お前は俺のおふくろか⁉」と叫んでいた。
確かに、まるで母親が言いそうな言葉だな、と言われてから思う。
でも絶対にやって欲しいことしか言ってないし……。
そんな風に思っていると、「はぁ」とため息をつかれた。
「このスキンケアとか? 毎日やんなきゃないんだよな? 十時に寝ろっていうのも」
本当はやりたくないというのがありありと態度に出ている。
今日だけなら約束もしたしちゃんとやってくれるだろう。
でも、明日以降は日高くん次第になる。
「そうだけど……。私に強制力はないからね。母親じゃないし」
「でもお前は俺にスキンケアをちゃんとやって欲しいんだろ?」
「それは勿論」
そう言って大きく頷く。
すると日高くんはニヤリと笑って、屈んで私と目線を合わせた。
「お前がご褒美でもくれるってんならやってやらねぇこともねぇけど?」
その言葉に少し悩む。
日高くんの表情を見ると碌なことを考えていない感じがする。
でもスキンケアはちゃんとやって欲しい。
「別に大したことじゃねぇよ。定期的にそれをくれるなら、俺もちゃんとスキンケアしてやるよ」
「定期的にって、お金かかる事だったら無理だよ? ただでさえ今月はすでにピンチなのに」
それを伝えると、「金はかかんねぇよ」と言われた。
「今すぐにでも出来ることだから、大したことじゃねぇ」
「今すぐに出来るのに、ご褒美になるの?」
「ああ」
何をするのか分からないし、疑問は残る。
けれどお金はかからないし大したことじゃないと言うなら、私でも簡単に出来ることなんだろう。
それでちゃんとスキンケアをしてくれると約束してくれるなら、良いかもしれないと思った。
日高くんは元総長だし、未だに不良っぽさはあるけれど約束は守ってくれる人だしね。
「じゃあ、良いよ」
それで何をすればいいの? と聞こうとする前に、日高くんは笑みを深めて言う。
「じゃあ、貰うぜ?」
「え?」
と口にした次の瞬間には奪われていた。
何が起こったのか分からない。
どうしてこんなことをしているのかも。
でも、近すぎる日高くんの顔と唇の感触に何をされたのか理解する。
触れるだけの口づけは、数秒後に離れて行った。
固まる私の目の前で、日高くんは「ごちそうさま」と妖艶に笑う。
何の反応も返せない私に、彼は続けた。
「約束はちゃんと守るから、心配すんなよ。じゃあまたな、灯里」
そう言って日高くんは踵を返し去って行く。
そのまま姿が見えなくなるまで固まっていた私は、下の名前を呼び捨てにされたことにもしばらく気付けず突っ立っていた。
少しずつ回復してきた思考でも、どうしてあんなことをされたのか分からない。
でも、取りあえずこれだけは言いたかった。
大したこと、あるじゃない。
私のファーストキスを返せーーーーー!!
「は?」
歩きながら提案すると、ものすごく嫌そうな顔をされた。
「だって、今のメイク落とすならクレンジングは必要だし、そのあとちゃんとケアしないとまた乾燥しちゃうし」
「化粧落とすのは一回だけなんだろ? 買うのもったいねぇ。ケアにしたって、今までやってなかったし要らねぇよ」
その発言に、私は彼の袖を掴み軽く睨みつけるように見上げる。
「今までしなかったけど、これからは必要なの。いつまでも若いと思って油断してると後が酷くなるんだよ⁉」
「わーかった! 分かったからそんなに顔を近付けるな!」
ちょっと迫り過ぎたみたいだ。
でもケアが要らないなんて言葉は許容出来なかったんだもん。
「ったく、タチの悪りぃ強迫だな……」
離れるとそんな言葉が漏れ聞こえた。
強迫なんて大袈裟な。
……いや、まあ。ちょっとは強迫っぽいかも知れないけれど。
昼食は何にしようかとなって、日高くんが「ハンバーガーで良くねぇ?」なんて言うから、また迫りそうになった。
ハンバーガーが悪い訳じゃ無いけれど、チェーン店のメニューでは野菜が少な過ぎる。
しかもセットメニューで頼んで付けるのはサラダじゃなくポテト。
気持ちは分かる。
私もどうしても食べたくなるときはあるから。
でもそういう時は夜などに多めの生野菜を取ることにしてる。
日高くんがちゃんと夜に生野菜を食べてくれるなら良いけれど、ちょっと疑わしい。
そんな話をすると、「ちゃんと食うから」と力なく言われた。
勢いのなくなった日高くんに、ちょっと色々言い過ぎちゃったかなと反省する。
なので、彼の言葉を信じてお昼はハンバーガーにする事にした。
でもこんな事なら家で私が何か作った方が良かったかも知れない。
家を出て結構歩いちゃったから、もう無理だけれど。
店の中で注文した品を食べながら、話題はやっぱりメイクの事。
とは言え楽しいのは私だけで日高くんはもう相槌を打つことしかしてくれなくなった。
「ああ」とか「そうか」とか。
流石に私ばっかり楽しく話しても仕方ないので、共通の話題を振ってみる。
「そういえばゴールデンウィーク明けたらすぐに中間テスト始まるね」
でも、その話題でも日高くんは嫌な顔をした。
「ゴールデンウィーク始まったばかりだってのにテストの話すんなよ……」
まあ、確かにそういう反応になるよね。
「そんなに嫌そうな顔するってことは、日高くんって勉強苦手?」
授業の様子を見ているとそれほど勉強が出来ない様には見えないけれど、いつも眠そうな感じだし、授業に集中出来ているのか怪しいところ。
苦手くらいならともかく、赤点取りまくったりしたら大変そうだ。
「テストが好きな学生なんてほんの一部の変態だけだろ」
変態とまで言い切るか。
「勉強は……好きでもねぇけど嫌いってわけでもねぇかな? 中学でも学年の半分より下の順位なったことねぇし、まあ赤点取ることはねぇだろ」
「へぇ……ん? でも総長とかやってたんだよね? 学校ちゃんと行ってたんだ?」
「まあ義務教育だしな。行ける日はちゃんと行ってたぜ?」
「そっかぁ」
それなら問題なさそうだね。
なんて思いながらハンバーガーをパクリと食べる。
咀嚼していると、日高くんはポテトに手を伸ばしていた手を止めて言った。
「おい、ソースついてるぞ?」
「ん?」
どこについているのか教えてくれると思って次の言葉を待っていたら、言葉ではなくて手が伸びて来る。
そうしてサッと彼の親指が唇に触れた。
「ほら、とれた」
そう言って親指についたソースをペロリと舐める。
数秒固まった私は、一気に顔に熱が集まった。
な、何? 今のは何⁉
自分のものではない指が唇に触れた。
しかも硬そうな男らしい指が。
他人の指が唇に触れるのって、こんなに恥ずかしいんだ……。
触られる機会なんてなかったから今まで気付かなかった。
でもそう言えば日高くんは私が唇に触れるの嫌がってたっけ。
これは確かに恥ずかしいし、嫌だよね。
納得しながら顔の熱を下げるためドリンクを飲んだ。
そうしていると、少し離れた席から会話が聞こえる。
「あそこのカップル美男美女じゃない?」
「え? どこ? あ、ホントだー。目の保養だね」
それを聞いて私はキョロキョロと周りを見渡した。
「……お前何してんの?」
不思議そうな声で真正面の日高くんに問われてしまう。
「あ、いや。なんか美男美女のカップルがいるらしいから見たいと思って」
そう口にすると「ああ」と納得の声を出して、チラリとさっき会話が聞こえた方を見た日高くん。
彼にも聞こえていたんだろう。
「綺麗な顔の人を見るのは勉強になるから、見ておきたいと思って。……でも見当たらないね。ここから死角になってるところの席なのかな?」
綺麗な人の顔立ちは、パーツをよく見るとどうすればこんな風に見えるのかと勉強になる。
だから見たかったんだけれど、残念だ。
そう思っていると、日高くんは呆れたように「お前それ本気で言ってんの?」と言う。
「本気だよ。本当に勉強になるんだよ?」
と返すと。
「そういう意味じゃねぇんだけど……まあいいか」
と、何かを諦めつつどうでもよさそうに言われた。
よく分からないけれど、大したことじゃないってことだよね?
昼食を食べ終わったら、私達は百円均一のショップに行く。
日高くんのコスメを買うためだ。
ちゃんと買うならコスメショップに行くところだけれど、今は必要なものだけを少量欲しい状態。
まずは日高くんにスキンケアを慣れて貰わないといけないし、何より学生である私達にはお金がない。
少量とはいえ百十円でコスメが買える百均はもはや救世主だ。
しかもクオリティも年々上がっていて百均様々って感じ。
取りあえず化粧を落とすクレンジングは必須。
そして化粧水はテスターを試してもらいつつ選ぶ。
あとはメンズ用に保湿美白ジェルがあったので、それを選んだ。
本当はパッチテストをして問題が無いか確かめてから使うんだけれど、日高くんはスキンケア用品を持っていないし、何より丸二日様子を見なければならないことを伝えたら「面倒くせぇ」という言葉が返ってきたため今日から使ってもらうことにした。
肌に湿疹が出たり、かゆみが出て赤くなってきたりして来たらすぐに使うのをやめるように念を押してから買ってもらう。
コスメを買うことに抵抗があったみたいだけれど、「まあ、三百円くらいなら」と買ってくれた。
その後は特に予定もなかったので、各々必要な買い物に付き合いながら歩き回る。
そうして四時半くらいに駅で解散という事になった。
「クレンジングと保湿は絶対にしてね。あと約束通り夜は生野菜も食べて。それと、寝不足が肌荒れの主な原因だろうから、十時には寝ること」
別れ際、念を押すようにつらつらと並べ立てる。
日高くんはウンザリして「お前は俺のおふくろか⁉」と叫んでいた。
確かに、まるで母親が言いそうな言葉だな、と言われてから思う。
でも絶対にやって欲しいことしか言ってないし……。
そんな風に思っていると、「はぁ」とため息をつかれた。
「このスキンケアとか? 毎日やんなきゃないんだよな? 十時に寝ろっていうのも」
本当はやりたくないというのがありありと態度に出ている。
今日だけなら約束もしたしちゃんとやってくれるだろう。
でも、明日以降は日高くん次第になる。
「そうだけど……。私に強制力はないからね。母親じゃないし」
「でもお前は俺にスキンケアをちゃんとやって欲しいんだろ?」
「それは勿論」
そう言って大きく頷く。
すると日高くんはニヤリと笑って、屈んで私と目線を合わせた。
「お前がご褒美でもくれるってんならやってやらねぇこともねぇけど?」
その言葉に少し悩む。
日高くんの表情を見ると碌なことを考えていない感じがする。
でもスキンケアはちゃんとやって欲しい。
「別に大したことじゃねぇよ。定期的にそれをくれるなら、俺もちゃんとスキンケアしてやるよ」
「定期的にって、お金かかる事だったら無理だよ? ただでさえ今月はすでにピンチなのに」
それを伝えると、「金はかかんねぇよ」と言われた。
「今すぐにでも出来ることだから、大したことじゃねぇ」
「今すぐに出来るのに、ご褒美になるの?」
「ああ」
何をするのか分からないし、疑問は残る。
けれどお金はかからないし大したことじゃないと言うなら、私でも簡単に出来ることなんだろう。
それでちゃんとスキンケアをしてくれると約束してくれるなら、良いかもしれないと思った。
日高くんは元総長だし、未だに不良っぽさはあるけれど約束は守ってくれる人だしね。
「じゃあ、良いよ」
それで何をすればいいの? と聞こうとする前に、日高くんは笑みを深めて言う。
「じゃあ、貰うぜ?」
「え?」
と口にした次の瞬間には奪われていた。
何が起こったのか分からない。
どうしてこんなことをしているのかも。
でも、近すぎる日高くんの顔と唇の感触に何をされたのか理解する。
触れるだけの口づけは、数秒後に離れて行った。
固まる私の目の前で、日高くんは「ごちそうさま」と妖艶に笑う。
何の反応も返せない私に、彼は続けた。
「約束はちゃんと守るから、心配すんなよ。じゃあまたな、灯里」
そう言って日高くんは踵を返し去って行く。
そのまま姿が見えなくなるまで固まっていた私は、下の名前を呼び捨てにされたことにもしばらく気付けず突っ立っていた。
少しずつ回復してきた思考でも、どうしてあんなことをされたのか分からない。
でも、取りあえずこれだけは言いたかった。
大したこと、あるじゃない。
私のファーストキスを返せーーーーー!!
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