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四章 校外学習そして
校外学習 仲直り①
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翌日。
「なー、ここもついでに寄ってみないか?」
「いいじゃん!」
「ねー、あのお店で何食べるか決めた?」
「まだー、迷うんだよねー」
他の生徒たちは楽しそうに今日の予定をキャアキャア話題にしていた。
そんな中、私たちのグループだけはお通夜の様な……ピリピリしている様な、なんとも言えない雰囲気を漂わせている。
「お、おはよう」
まずは工藤くんが挨拶してきた。
でも、それすらもぎこちない。
「おはよう、今日は楽しみだね」
そんな工藤くんに、さくらちゃんはこの雰囲気とは真逆な笑顔で返す。
その様子を見て安心したのか、いつもの調子を取り戻して「おう、楽しみだな!」と笑顔になる工藤くん。
空気が重苦しいままだということに気付いていないみたいだ。
鈍感だって言われる私でも、朝からずっと続くこの空気には知らないふりも出来なかったのに……。
でも男子は何だかそれで安心したみたいで、みんなも挨拶し始めた。
そして、ためらいがちではあるけれど花田くんもさくらちゃんに声を掛ける。
「宮野さん、おはよう。その、昨日の――」
「あ! 先生も集まって来たよ。そろそろ並んでた方が良いんじゃないかな?」
花田くんの言葉を遮って、さくらちゃんは先に離れて行ってしまった。
「……」
取り残された花田くんは無言。
その様子を見た男子たちは流石にこの重苦しい空気に気付いた様で固まっていた。
「……なあ、宮野って……もしかしなくても滅茶苦茶怒ってる?」
私の近くにいた日高くんが小さな声で探るように聞いて来た。
「……うん」
どう伝えるべきか考えて、結局肯定の言葉だけを口にする。
取り残された花田くんが可哀想にも見えるけれど、元は彼の失言が原因なのだからどうしようもない。
それに昨日協力すると約束したし。
『明日は二人きりにしようとか、くっつけようとかしないでね』
昨日のさくらちゃんの言葉が蘇る。
何でも、とにかく怒ってることだけは伝えたいのだとか。
嫌いにはなっていない。
好きなことには変わりはない。
でも、だからこそ滅茶苦茶腹を立てているっていうのは分かってもらいたいから、と。
でもだからって無視までして大丈夫なのかな……?
関係が更に悪化するんじゃないかと私と美智留ちゃんはハラハラ状態だ。
「昨日花田が何言ったのかは聞いたよ。宮野が花田の事好きなのはみんな薄々分かってたみたいだから、みんなして花田が悪いって言ってた」
私にだけ聞こえる様に、更に近付いて日高くんが話し出す。
「花田も自分が悪いってのは分かってたんだろ。すげえ落ち込んでてな、ちゃんと謝るって言ってたんだけど……」
そこで言葉が途切れた。
それもそうだ。
さくらちゃんがあの状態だと、謝ることすら出来ないだろう。
まあ、それくらい怒ってるんだってのは伝わったと思うけれど……。
でも謝ってもらえないと許すことも出来ないんじゃんないかな?
あのまま謝らせない状態を続けていて本当に大丈夫なんだろうか?
心配は尽きない。
「……ん? 灯里、お前もしかしてメイクしてるのか?」
近くに来て気付いたらしい日高くんが顔を近付けて来る。
不意打ちの様な接近に、一瞬言葉が詰まった。
「っ! あ、うん。美智留ちゃんが少し持って来ててね、今日の自由行動ではみんな羽目を外してるから、ちょっとくらいのメイクなら先生も見逃してくれるとか言って……」
そうして、半強制的にメイクさせられた。
半分は強制。
でも、もう半分は我慢出来なかったからだ。
学校行事とはいえ、みんなで楽しくお出かけの予定。
そしてそこに化粧品がある。
そんな状態で我慢なんて出来なかった。
それでも自分のだけにして、二人のメイクには手を出さないようにしたよ?
滅茶苦茶手を出したかったけど!
すっっっごくやりたかったけれど!!
今なら血の涙を出せるんじゃないかと思うくらい我慢した。
「ガッツリメイクって感じじゃねぇけど、それだけでも雰囲気変わるんだな」
日高くんの感想に、意識を今に戻す。
「うん。アイブロウとアイライン、あとリップ軽く付けただけだけどね」
目元はマスカラを付けると更に印象が変わるけれど、流石にそこまですると叱られそうとでも思ったんだろう。
美智留ちゃんが持って来ていた化粧品の中には入っていなかった。
「……あんまし他の男に近付くなよ?」
「へ?」
言葉は分かるけれど、意味が分からない。
彼は突然何を言い出すのか。
「前にも言ったと思うけど、お前メイクすると変わるんだよ。そんなちょっとしたメイクでもよく見れば可愛いって思うやつは結構いるんだ」
「そうかなぁ?」
流石にそこまではいないと思うけど……。
「だから、近付くなよ?」
近くで念を押される。
「う、うん」
強い眼差しで見つめられて、それ以外言えなかった。
私が了承すると、「よし」と頷いてやっと離れてくれる。
あんまり近付かれると、今までキスとか色々されたことを思い出してしまうから心臓に悪い。
うるさい心臓を落ち着かせてみんなと共に並ぶと、さくらちゃんの姿が目に入る。
とにかく私のことは置いておいて、さくらちゃんと花田くんがちゃんと仲直り出来ると良いなと思った。
そんなこんなで、気まずい雰囲気を継続しながら動物園に到着した私たち。
入場してすぐに工藤くんが分かれて回ろうかと提案して来た。
「で、宮野は司と――」
「日高くん、一緒に行こう!」
「え?」
二人を仲直りさせようとでも思ったんだろう。
工藤くんはさくらちゃんと花田くんでペアにしたかったみたい。
だけど、当のさくらちゃんがその言葉を遮って日高くんの腕を掴んだ。
「ほら、早く行こう!」
「お、おい、ちょっ⁉」
いつにない勢いに日高くんは戸惑い、連れられて行く。
私たちもまさかさくらちゃんがこんなに積極的に動くとは思わなかったので、ただ呆然とそれを眺めていた。
「……行っちゃった」
誰かがそう呟いて、みんな我にかえる。
「えっと……」
どうしようか、と顔に書いてある工藤くんが他の三人を見回す。
でもそれに答えられる人はいない。
「あー」と声を出しながら頭を掻いた工藤くんは、花田くんに視線を止める。
「うん、やっぱ元凶に頑張ってもらうしかねぇよな。司、お前宮野追いかけろよ? 倉木、悪いけど一緒に行って日高頼むな」
「はい?」
聞き返したけれど、それには返事が無かった。
「というわけで、俺たちはあっち行くか」
「は? ちょっと、放っておくの? 待って、自分で歩くから引っ張らないで!」
美智留ちゃんは工藤くんに強く引っ張られたのか、振りほどけずに付いて行くしか出来ないみたい。
何だか、カップルってわけじゃないけれどこういう分かれ方が自然になって来たな。
工藤くんと美智留ちゃん。
そして日高くんと私。
まあ、最初に私たちが花田くんとさくらちゃんを二人きりにしようとしてたからなんだろうけれど。
いつの間にか男女一組になるときはこの分かれ方が普通になってる気がする。
さて、いつもと違う取り合わせになってしまった私と花田くん。
みんなに取り残されてしまったけれど、こうなったらさくらちゃんのところに行くしかないよね。
「……えっと、さくらちゃんたち追いかけようか?」
「……ああ、そうだね」
明らかに気落ちした声でそう返事をした花田くんと一緒に、さくらちゃんと日高くんが向かった方へ歩き出した。
「なー、ここもついでに寄ってみないか?」
「いいじゃん!」
「ねー、あのお店で何食べるか決めた?」
「まだー、迷うんだよねー」
他の生徒たちは楽しそうに今日の予定をキャアキャア話題にしていた。
そんな中、私たちのグループだけはお通夜の様な……ピリピリしている様な、なんとも言えない雰囲気を漂わせている。
「お、おはよう」
まずは工藤くんが挨拶してきた。
でも、それすらもぎこちない。
「おはよう、今日は楽しみだね」
そんな工藤くんに、さくらちゃんはこの雰囲気とは真逆な笑顔で返す。
その様子を見て安心したのか、いつもの調子を取り戻して「おう、楽しみだな!」と笑顔になる工藤くん。
空気が重苦しいままだということに気付いていないみたいだ。
鈍感だって言われる私でも、朝からずっと続くこの空気には知らないふりも出来なかったのに……。
でも男子は何だかそれで安心したみたいで、みんなも挨拶し始めた。
そして、ためらいがちではあるけれど花田くんもさくらちゃんに声を掛ける。
「宮野さん、おはよう。その、昨日の――」
「あ! 先生も集まって来たよ。そろそろ並んでた方が良いんじゃないかな?」
花田くんの言葉を遮って、さくらちゃんは先に離れて行ってしまった。
「……」
取り残された花田くんは無言。
その様子を見た男子たちは流石にこの重苦しい空気に気付いた様で固まっていた。
「……なあ、宮野って……もしかしなくても滅茶苦茶怒ってる?」
私の近くにいた日高くんが小さな声で探るように聞いて来た。
「……うん」
どう伝えるべきか考えて、結局肯定の言葉だけを口にする。
取り残された花田くんが可哀想にも見えるけれど、元は彼の失言が原因なのだからどうしようもない。
それに昨日協力すると約束したし。
『明日は二人きりにしようとか、くっつけようとかしないでね』
昨日のさくらちゃんの言葉が蘇る。
何でも、とにかく怒ってることだけは伝えたいのだとか。
嫌いにはなっていない。
好きなことには変わりはない。
でも、だからこそ滅茶苦茶腹を立てているっていうのは分かってもらいたいから、と。
でもだからって無視までして大丈夫なのかな……?
関係が更に悪化するんじゃないかと私と美智留ちゃんはハラハラ状態だ。
「昨日花田が何言ったのかは聞いたよ。宮野が花田の事好きなのはみんな薄々分かってたみたいだから、みんなして花田が悪いって言ってた」
私にだけ聞こえる様に、更に近付いて日高くんが話し出す。
「花田も自分が悪いってのは分かってたんだろ。すげえ落ち込んでてな、ちゃんと謝るって言ってたんだけど……」
そこで言葉が途切れた。
それもそうだ。
さくらちゃんがあの状態だと、謝ることすら出来ないだろう。
まあ、それくらい怒ってるんだってのは伝わったと思うけれど……。
でも謝ってもらえないと許すことも出来ないんじゃんないかな?
あのまま謝らせない状態を続けていて本当に大丈夫なんだろうか?
心配は尽きない。
「……ん? 灯里、お前もしかしてメイクしてるのか?」
近くに来て気付いたらしい日高くんが顔を近付けて来る。
不意打ちの様な接近に、一瞬言葉が詰まった。
「っ! あ、うん。美智留ちゃんが少し持って来ててね、今日の自由行動ではみんな羽目を外してるから、ちょっとくらいのメイクなら先生も見逃してくれるとか言って……」
そうして、半強制的にメイクさせられた。
半分は強制。
でも、もう半分は我慢出来なかったからだ。
学校行事とはいえ、みんなで楽しくお出かけの予定。
そしてそこに化粧品がある。
そんな状態で我慢なんて出来なかった。
それでも自分のだけにして、二人のメイクには手を出さないようにしたよ?
滅茶苦茶手を出したかったけど!
すっっっごくやりたかったけれど!!
今なら血の涙を出せるんじゃないかと思うくらい我慢した。
「ガッツリメイクって感じじゃねぇけど、それだけでも雰囲気変わるんだな」
日高くんの感想に、意識を今に戻す。
「うん。アイブロウとアイライン、あとリップ軽く付けただけだけどね」
目元はマスカラを付けると更に印象が変わるけれど、流石にそこまですると叱られそうとでも思ったんだろう。
美智留ちゃんが持って来ていた化粧品の中には入っていなかった。
「……あんまし他の男に近付くなよ?」
「へ?」
言葉は分かるけれど、意味が分からない。
彼は突然何を言い出すのか。
「前にも言ったと思うけど、お前メイクすると変わるんだよ。そんなちょっとしたメイクでもよく見れば可愛いって思うやつは結構いるんだ」
「そうかなぁ?」
流石にそこまではいないと思うけど……。
「だから、近付くなよ?」
近くで念を押される。
「う、うん」
強い眼差しで見つめられて、それ以外言えなかった。
私が了承すると、「よし」と頷いてやっと離れてくれる。
あんまり近付かれると、今までキスとか色々されたことを思い出してしまうから心臓に悪い。
うるさい心臓を落ち着かせてみんなと共に並ぶと、さくらちゃんの姿が目に入る。
とにかく私のことは置いておいて、さくらちゃんと花田くんがちゃんと仲直り出来ると良いなと思った。
そんなこんなで、気まずい雰囲気を継続しながら動物園に到着した私たち。
入場してすぐに工藤くんが分かれて回ろうかと提案して来た。
「で、宮野は司と――」
「日高くん、一緒に行こう!」
「え?」
二人を仲直りさせようとでも思ったんだろう。
工藤くんはさくらちゃんと花田くんでペアにしたかったみたい。
だけど、当のさくらちゃんがその言葉を遮って日高くんの腕を掴んだ。
「ほら、早く行こう!」
「お、おい、ちょっ⁉」
いつにない勢いに日高くんは戸惑い、連れられて行く。
私たちもまさかさくらちゃんがこんなに積極的に動くとは思わなかったので、ただ呆然とそれを眺めていた。
「……行っちゃった」
誰かがそう呟いて、みんな我にかえる。
「えっと……」
どうしようか、と顔に書いてある工藤くんが他の三人を見回す。
でもそれに答えられる人はいない。
「あー」と声を出しながら頭を掻いた工藤くんは、花田くんに視線を止める。
「うん、やっぱ元凶に頑張ってもらうしかねぇよな。司、お前宮野追いかけろよ? 倉木、悪いけど一緒に行って日高頼むな」
「はい?」
聞き返したけれど、それには返事が無かった。
「というわけで、俺たちはあっち行くか」
「は? ちょっと、放っておくの? 待って、自分で歩くから引っ張らないで!」
美智留ちゃんは工藤くんに強く引っ張られたのか、振りほどけずに付いて行くしか出来ないみたい。
何だか、カップルってわけじゃないけれどこういう分かれ方が自然になって来たな。
工藤くんと美智留ちゃん。
そして日高くんと私。
まあ、最初に私たちが花田くんとさくらちゃんを二人きりにしようとしてたからなんだろうけれど。
いつの間にか男女一組になるときはこの分かれ方が普通になってる気がする。
さて、いつもと違う取り合わせになってしまった私と花田くん。
みんなに取り残されてしまったけれど、こうなったらさくらちゃんのところに行くしかないよね。
「……えっと、さくらちゃんたち追いかけようか?」
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