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四章 校外学習そして
話し合い①
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「……つまり、日高は元はケンカの強い暴走族の総長で、今は普通の学生になるために地味な格好をしてたってことか……?」
校外学習でのことをすべて話し終えると、工藤くんがまずはそうまとめた。
校外学習から一日経って、今日は土曜の休みの日。
昨日の疲れもあるからとゆっくり目に集まった場所は内密の話をするにはうってつけのカラオケ。
ドリンクと軽くつまめるものを注文したけれど、飲み物以外はほとんど手をつけられていない。
主に音楽系の宣伝が流れるテレビの音をBGMに、部屋の中が何とも表現しがたい雰囲気になっていた。
「……日高の本性が口悪いのも納得って感じね」
ポツリとそんな感想を口にしたのは美智留ちゃんだ。
一昨日陸斗くんが素顔を皆に見せた辺りから、口調は素のものになって来ていたから口が悪いのはバレてたんだろう。
「まあ、色々思う所はあるけどそこはまず良いとしよう。それより、その前の仲間とか敵対してたやつとかがまたちょっかい出してくることは無いのか?」
一番心配な所なんだろう。
工藤くんは誤魔化しは許さないといった様子で真っ直ぐ陸斗くんを見て言った。
今回は私がさらわれただけで、特に何もされずに帰してもらえた。
でもまた何かある様だったら今度は誰かがケガをするかも知れない。
下手をしたら、事件に巻き込まれるかも知れない。
色んな不安は出てくるだろう。
その不安だけはちゃんと解消したい気持ちは分かる。
私は取りあえず黙って陸斗くんに回答を任せた。
「まず、前の仲間が何かして来ることはねぇよ」
陸斗くんは初めにそう言って話し出す。
「元々火燕ってグループは喧嘩っ早かったり、ちょっと周りについていけねぇはみ出し者が集まってるようなもので、なんつーか……来るもの拒まず去る者追わずって感じのグループなんだよ」
聞きながら、そういえば陸斗くんの口から火燕のことを詳しく聞いたことは私もなかったな、と思い出す。
「だから去ったやつに何かちょっかい出すのはタブーなんだ。特に俺の場合は前の総長の口添えもあったから、何かされるってことは絶対にねぇ」
そう断言する陸斗くんは、少し誇らしくも見えて……彼は火燕ってグループが好きなんだな、って思った。
「……そっか」
工藤くんも陸斗くんの思いを受け止めたのか、少し安心して肩の力を抜く。
「それに敵対してたのも今回灯里を連れ去ったやつがいたチームだけだし、もうほぼ解散状態で八つ当たりで俺を恨んでるバカが一人いるくらいだ」
「……つまり、そのバカが今回倉木をさらったやつで、そいつがまた何かして来る可能性があるってことか?」
まとめながら工藤くんが続きを聞いた。
「その可能性もないとは言い切れねぇが、そいつも今はまともに仕事しようとはしてるみてぇだから今回ほどの騒ぎにはならねぇだろ」
希望的観測かも知れないけれど、今回も騒ぎを起こさないために陸斗くんを人気のないところに呼び出す目的で私がさらわれたみたいだった。
それ自体が騒ぎになるってことに考えが行かないバカなお兄さんだけど、基本的に陸斗くんにしかちょっかいは出さない。
ストッパーもいるみたいだし、多分陸斗くんの言う通り今回ほどの騒ぎは無いだろう。
「そっか、じゃあ日高の方は問題ないってことだな」
軽く安心したように結論を口にした工藤くんは、その目を私に向けた。
倣うようにみんなの視線が私に向けられる。
その眼差しはほとんどが“苦い”の一歩手前のような困り笑顔。
「それと、倉木も地味なのはカモフラージュだったってことなんだな?」
確認するように聞かれて、「えっと……ごめんね?」と謝っておいた。
別に私は嘘をついていたわけじゃあないんだけれど、みんなの表情が騙されたって顔に見えたから……。
今日の私はコンタクトで、しかもバッチリメイクをしている。
アイメイクをタレ目気味にして、今日はちょっと可愛い系にしてみた。
服装もフリルの多めなもの。
でも子供っぽくはならないようにパンツで締める。
陸斗くんに、全部話すなら私もメイク好きなこと言った方が良いんじゃないかと言われたのでこうして来てみたんだ。
私が陸斗くんの秘密を知っていて黙っていたことも話すなら、確かにそれも話すだろうしと思って。
「いや、いいんだけどさ。……なんつーか、化けたよな?」
「化けたは失礼でしょ」
工藤くんの感想に美智留ちゃんが突っ込む。
「でも灯里ちゃん本当に可愛い。メイク上手なんだね」
ホワホワとそう言ったのはさくらちゃんだ。
そんなさくらちゃんこそ可愛いと思う。
その隣では花田くんが感心したように話す。
「すごいね。……校則違反しない様にってわざわざ地味な格好をするところも含めて」
「あ、あはは……」
ある意味皮肉とも取れる言葉に笑うしかない。
まあ、花田くんは純粋に驚いているっぽいけどね。
「ねえ、灯里は誰かにメイクしてあげたりもするの?」
ワクワクしているのが伝わってくるくらい楽しそうに、美智留ちゃんが話しかけてきた。
「あ、うん。中学の友達とか、たまにお母さんにとか……。あとは、陸斗くんにも一回したことあるよ」
「日高にも⁉」
驚いたのは工藤くんだ。
「男にもメイクねぇ……なんか違和感が……」
「いや、悪くはなかったぜ?」
ちょっと敬遠気味な工藤くんに陸斗くんがフォローしてくれる。
だから私も気軽に言ってみた。
「あ、じゃあ今ちょっとやってみようか?」
「え?」
なのにその言葉に拒否反応を示す陸斗くん。
「少しだけどメイク道具は一通り持って来てるし……駄目なの?」
スキンケアもして、寝不足も解消されてクマも肌の荒れもなくなった陸斗くん。
そんな彼にまたメイクするのを密かに楽しみにしていたんだけど……。
と、ちょっとしょんぼりしていると「ダメじゃねぇよ」と返って来た。
「ダメじゃねぇけど……今ここでやるのか?」
「うん、そうだけど……?」
男性メイクを見せるために今やろうかって言ってるんだからそうなるでしょう。
何当然のことを聞いて来るんだろうと不思議に思った。
でも陸斗くんは理由は話さず、ちょっと迷ってから「分かった」と了承する。
不思議に思いながらも、メイクをしやすいように陸斗くんの隣に席移動した。
校外学習でのことをすべて話し終えると、工藤くんがまずはそうまとめた。
校外学習から一日経って、今日は土曜の休みの日。
昨日の疲れもあるからとゆっくり目に集まった場所は内密の話をするにはうってつけのカラオケ。
ドリンクと軽くつまめるものを注文したけれど、飲み物以外はほとんど手をつけられていない。
主に音楽系の宣伝が流れるテレビの音をBGMに、部屋の中が何とも表現しがたい雰囲気になっていた。
「……日高の本性が口悪いのも納得って感じね」
ポツリとそんな感想を口にしたのは美智留ちゃんだ。
一昨日陸斗くんが素顔を皆に見せた辺りから、口調は素のものになって来ていたから口が悪いのはバレてたんだろう。
「まあ、色々思う所はあるけどそこはまず良いとしよう。それより、その前の仲間とか敵対してたやつとかがまたちょっかい出してくることは無いのか?」
一番心配な所なんだろう。
工藤くんは誤魔化しは許さないといった様子で真っ直ぐ陸斗くんを見て言った。
今回は私がさらわれただけで、特に何もされずに帰してもらえた。
でもまた何かある様だったら今度は誰かがケガをするかも知れない。
下手をしたら、事件に巻き込まれるかも知れない。
色んな不安は出てくるだろう。
その不安だけはちゃんと解消したい気持ちは分かる。
私は取りあえず黙って陸斗くんに回答を任せた。
「まず、前の仲間が何かして来ることはねぇよ」
陸斗くんは初めにそう言って話し出す。
「元々火燕ってグループは喧嘩っ早かったり、ちょっと周りについていけねぇはみ出し者が集まってるようなもので、なんつーか……来るもの拒まず去る者追わずって感じのグループなんだよ」
聞きながら、そういえば陸斗くんの口から火燕のことを詳しく聞いたことは私もなかったな、と思い出す。
「だから去ったやつに何かちょっかい出すのはタブーなんだ。特に俺の場合は前の総長の口添えもあったから、何かされるってことは絶対にねぇ」
そう断言する陸斗くんは、少し誇らしくも見えて……彼は火燕ってグループが好きなんだな、って思った。
「……そっか」
工藤くんも陸斗くんの思いを受け止めたのか、少し安心して肩の力を抜く。
「それに敵対してたのも今回灯里を連れ去ったやつがいたチームだけだし、もうほぼ解散状態で八つ当たりで俺を恨んでるバカが一人いるくらいだ」
「……つまり、そのバカが今回倉木をさらったやつで、そいつがまた何かして来る可能性があるってことか?」
まとめながら工藤くんが続きを聞いた。
「その可能性もないとは言い切れねぇが、そいつも今はまともに仕事しようとはしてるみてぇだから今回ほどの騒ぎにはならねぇだろ」
希望的観測かも知れないけれど、今回も騒ぎを起こさないために陸斗くんを人気のないところに呼び出す目的で私がさらわれたみたいだった。
それ自体が騒ぎになるってことに考えが行かないバカなお兄さんだけど、基本的に陸斗くんにしかちょっかいは出さない。
ストッパーもいるみたいだし、多分陸斗くんの言う通り今回ほどの騒ぎは無いだろう。
「そっか、じゃあ日高の方は問題ないってことだな」
軽く安心したように結論を口にした工藤くんは、その目を私に向けた。
倣うようにみんなの視線が私に向けられる。
その眼差しはほとんどが“苦い”の一歩手前のような困り笑顔。
「それと、倉木も地味なのはカモフラージュだったってことなんだな?」
確認するように聞かれて、「えっと……ごめんね?」と謝っておいた。
別に私は嘘をついていたわけじゃあないんだけれど、みんなの表情が騙されたって顔に見えたから……。
今日の私はコンタクトで、しかもバッチリメイクをしている。
アイメイクをタレ目気味にして、今日はちょっと可愛い系にしてみた。
服装もフリルの多めなもの。
でも子供っぽくはならないようにパンツで締める。
陸斗くんに、全部話すなら私もメイク好きなこと言った方が良いんじゃないかと言われたのでこうして来てみたんだ。
私が陸斗くんの秘密を知っていて黙っていたことも話すなら、確かにそれも話すだろうしと思って。
「いや、いいんだけどさ。……なんつーか、化けたよな?」
「化けたは失礼でしょ」
工藤くんの感想に美智留ちゃんが突っ込む。
「でも灯里ちゃん本当に可愛い。メイク上手なんだね」
ホワホワとそう言ったのはさくらちゃんだ。
そんなさくらちゃんこそ可愛いと思う。
その隣では花田くんが感心したように話す。
「すごいね。……校則違反しない様にってわざわざ地味な格好をするところも含めて」
「あ、あはは……」
ある意味皮肉とも取れる言葉に笑うしかない。
まあ、花田くんは純粋に驚いているっぽいけどね。
「ねえ、灯里は誰かにメイクしてあげたりもするの?」
ワクワクしているのが伝わってくるくらい楽しそうに、美智留ちゃんが話しかけてきた。
「あ、うん。中学の友達とか、たまにお母さんにとか……。あとは、陸斗くんにも一回したことあるよ」
「日高にも⁉」
驚いたのは工藤くんだ。
「男にもメイクねぇ……なんか違和感が……」
「いや、悪くはなかったぜ?」
ちょっと敬遠気味な工藤くんに陸斗くんがフォローしてくれる。
だから私も気軽に言ってみた。
「あ、じゃあ今ちょっとやってみようか?」
「え?」
なのにその言葉に拒否反応を示す陸斗くん。
「少しだけどメイク道具は一通り持って来てるし……駄目なの?」
スキンケアもして、寝不足も解消されてクマも肌の荒れもなくなった陸斗くん。
そんな彼にまたメイクするのを密かに楽しみにしていたんだけど……。
と、ちょっとしょんぼりしていると「ダメじゃねぇよ」と返って来た。
「ダメじゃねぇけど……今ここでやるのか?」
「うん、そうだけど……?」
男性メイクを見せるために今やろうかって言ってるんだからそうなるでしょう。
何当然のことを聞いて来るんだろうと不思議に思った。
でも陸斗くんは理由は話さず、ちょっと迷ってから「分かった」と了承する。
不思議に思いながらも、メイクをしやすいように陸斗くんの隣に席移動した。
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