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第一章
14話 立ち上がれ、チロ
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角ウサギとの戦いから数日後。
トゲテントウを食べて逆に開き直ったチロは、積極的に虫を探し、食べていた。
とは言っても、所詮虫は虫。
異世界でも、基本的には指先に満たないほどのサイズしかない虫がほとんどで、常食に足るような大きさを持つものは一種類だけだった。
それが、赤みがかった紫色で、チロの手首くらいの太さがあるイモムシの『サツマイモムシ』────略称『サツマイモ』である。
「…………」
サツマイモの輪切りとドリンギを枝に刺して焼きながら、チロは物思いに耽っていた。
このままではいけない。
その思いが、日増しに強くなっているのだ。
なにせ、地力では角が生えただけのウサギにすら劣っているのである。
まだこの森の狭い範囲しか探索していないチロだが、どこかには必ず、角ウサギ以上の強敵がいるに違いない。
そしてもし、運悪くその強敵に出会ってしまったなら、その瞬間にチロの命は終わるだろう。
角ウサギと戦った時には作戦がうまくいったが、あれですら半ば賭けのようなものだった。
いくらドリンギの毒が強力だと分かったとはいえ、相手に体内に入らなければ無力。
その方法を確立するか、新しい戦い方でも編み出さない限り、チロがこの森で生き延びていくのは難しい。
「どうしたもんかな……」
焼きあがった串焼きをむしゃむしゃと頬張りながら、チロは自分のステータスを再度確認してみた。
----------ステータス----------
個体名=タナカ チロ
種族=ゴブリン
能力値
筋力=F
体力=F
知力=E
魔力=F
パッシブスキル
毒耐性
麻痺耐性
成長阻害
アクティブスキル
生活魔術(初級)
------------------------------
清々しいまでの低スペックである。
最初に確認した時から何一つ変化していない。
あれから雑魚とは言えスライムを数匹、そして強敵の角ウサギを一匹倒したにも関わらずだ。
「はぁ~…………」
ため息を吐きながら、チロはステータスを閉じた。
予想はしていたことだった。
なにせ、強くなった実感など何一つなかったのである。
これが『成長阻害』の効果によるものなのか、それとも単純にスライムや角ウサギの経験値では足りないのか、それは分からない。
いや、そもそも、ゲームのように敵を倒せば成長するというシステムなのかどうかも分からない。
なので、チロにできることがあるとすれば…………
「…………鍛えるか」
結局のところ、それしかないのであった。
食事を終えたチロは、枝を焚き火の中に投げ入れると、傍らに置いてあった槍を手に取った。
目指すは身体能力を向上させる『レベルアップ』ではなく、技術を向上させる『スキルアップ』である。
「そういえばっ、おりゃっ! 剛田先輩もっ、そりゃっ! 話術は営業の基本スキルだからっ、てりゃっ! 人といっぱい話して、スキルアップしろって、言ってたっけなっ、せりゃっ!」
面倒見の良かった会社の先輩、剛田の言葉を思い出しながら、チロは槍を振り続けるのであった。
トゲテントウを食べて逆に開き直ったチロは、積極的に虫を探し、食べていた。
とは言っても、所詮虫は虫。
異世界でも、基本的には指先に満たないほどのサイズしかない虫がほとんどで、常食に足るような大きさを持つものは一種類だけだった。
それが、赤みがかった紫色で、チロの手首くらいの太さがあるイモムシの『サツマイモムシ』────略称『サツマイモ』である。
「…………」
サツマイモの輪切りとドリンギを枝に刺して焼きながら、チロは物思いに耽っていた。
このままではいけない。
その思いが、日増しに強くなっているのだ。
なにせ、地力では角が生えただけのウサギにすら劣っているのである。
まだこの森の狭い範囲しか探索していないチロだが、どこかには必ず、角ウサギ以上の強敵がいるに違いない。
そしてもし、運悪くその強敵に出会ってしまったなら、その瞬間にチロの命は終わるだろう。
角ウサギと戦った時には作戦がうまくいったが、あれですら半ば賭けのようなものだった。
いくらドリンギの毒が強力だと分かったとはいえ、相手に体内に入らなければ無力。
その方法を確立するか、新しい戦い方でも編み出さない限り、チロがこの森で生き延びていくのは難しい。
「どうしたもんかな……」
焼きあがった串焼きをむしゃむしゃと頬張りながら、チロは自分のステータスを再度確認してみた。
----------ステータス----------
個体名=タナカ チロ
種族=ゴブリン
能力値
筋力=F
体力=F
知力=E
魔力=F
パッシブスキル
毒耐性
麻痺耐性
成長阻害
アクティブスキル
生活魔術(初級)
------------------------------
清々しいまでの低スペックである。
最初に確認した時から何一つ変化していない。
あれから雑魚とは言えスライムを数匹、そして強敵の角ウサギを一匹倒したにも関わらずだ。
「はぁ~…………」
ため息を吐きながら、チロはステータスを閉じた。
予想はしていたことだった。
なにせ、強くなった実感など何一つなかったのである。
これが『成長阻害』の効果によるものなのか、それとも単純にスライムや角ウサギの経験値では足りないのか、それは分からない。
いや、そもそも、ゲームのように敵を倒せば成長するというシステムなのかどうかも分からない。
なので、チロにできることがあるとすれば…………
「…………鍛えるか」
結局のところ、それしかないのであった。
食事を終えたチロは、枝を焚き火の中に投げ入れると、傍らに置いてあった槍を手に取った。
目指すは身体能力を向上させる『レベルアップ』ではなく、技術を向上させる『スキルアップ』である。
「そういえばっ、おりゃっ! 剛田先輩もっ、そりゃっ! 話術は営業の基本スキルだからっ、てりゃっ! 人といっぱい話して、スキルアップしろって、言ってたっけなっ、せりゃっ!」
面倒見の良かった会社の先輩、剛田の言葉を思い出しながら、チロは槍を振り続けるのであった。
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